【「麗しの眠り姫」シリーズ】苦労性王子は今日も従兄に振り回される

黒木  鳴

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ホールの使用が被って上演できないことに一縷いちるの望みをかけていたのに、無情にも企画は通ってしまった。

承認したの俺らだけど……。
作成された企画書は詳細かつ完璧で承認の印を押すよりなかったのだ。


台詞セリフ、完ぺき」

LHRの時間、大まかな流れの説明を聞きつつセレナードは自信満々に頷いた。

記憶力のいいコイツはきっと完全に覚えているのだろう。
……自分の台詞セリフだけでなく、ナレーションや他の役のそれまで完璧に。

それだってきっと読んで暗記したわけじゃないのだ。
寝ている間に使用人に朗読してもらって覚えたのに決まっている。

「こんにちは、おばあさん。なにをしているの?」

「おや、可愛らしいお嬢さん。糸を紡いでいるんだよ」

「糸を……?」

「ほら、もっと近くてみてごらん」

「あっ……」

練習は順調だ。

外野たちがセレナードが可愛い!可愛い!とうるさいが……。

それにしてもこれ……。
演者が全員男ってことは女役の奴ら当日は女装するんだよな?

違和感なく着こなすだろうセレナードは別にいい。
全身黒ローブの魔女もまだいい。
王妃やメイド役……大丈夫なのか?
魔女の一人なんてガチで体格のいい野郎なんだが……。
あんなのの女装、見たくねぇ……。


「…………」

「…………」

俺とセレナードは無言で顔を見合わせた。

そして俺らの間にあるものへと視線を落とす。
用意されていたのは保健室からでも借りてきたのであろう簡素なベッド。

「じゃあセレナード様はそこに寝転んでください。こう両手は胸の前で合わせて」

こう、と演技指導の女子が胸の前で手を組んで瞳をつぶって見せる。

「…………」

「…………」

またも無言で顔を見合わせたのち、靴をぬいてもぞもぞとベッドによじ登ったセレナードは仰向けに寝っ転がった。

ただでさえデカい瞳はこれでもかと大きく見開かれている。

「おい、目ぇ閉じろ」

小声で囁けばじっと見つめ返しながらフルフルと小さく首を振られた。

「エリオット様?」

立ち位置的に俺が邪魔でセレナードの顔が見えていないのだろう。
棒立ちしてる背にかけられた声に「いえ、なんでも」と笑みを返す。

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