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しおりを挟む「おおっ……!なんと美しい姫だろう」
棒読み気味ながら台詞を紡いだ俺はベッドに手をついて上半身を倒し…………キャー!!という甲高い悲鳴を聞きながら一瞬だけセレナードに顔を寄せ、そのままサッと背中に腕を回して起き上がらせた。
ベッドに腰かけた状態のセレナードは目をパシパシと瞬いている。
きっと目が乾いたのだろう。
全力で目をかっぴらいてたしな。
「あの……エリオット様?」
訝し気な女子にキラキラ度5割増しの王子さまスマイルを向けた。
社交の場や外交なんかでよく使うやつだ。
「すみません。このシーンの練習はこれだけでいいですか?」
「え、でも……」
「どうやらキスシーンの練習はさすがに恥ずかしいみたいで……」
目で合図を送れば、セレナードもこくり、こくりと首を動かす。
どこか必死ながらもぎこちない動きは信憑性もあったようで……さらにはセレナードが眉を下げてじっと訴えるように見ればクラスメイトたちはそれ以上無理強いもできなかったようだ。
「なら次のシーンの練習に移りましょうか」
「ありがとうございます」
「おい、あれはねぇだろ」
休み時間、生徒会室に入るなり俺は苦情を口にした。
「目を開けたまま寝る人もいるらしいぞ?」
「そういう問題じゃねぇわ」
目をかっぴらいたままの眠り姫。
どんなホラーだ。
「半目ならいい?」
「ダメだろ」
「薄目?」
「議論の主題そこじゃねぇよ」
聞き分けがない、と言わんばかりに溜息を吐かれムカついた。
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「いいか、エリオット。ベッドだぞ?あそこで僕が目をつぶったらどんな悲劇が起こるか想像できないわけじゃないだろう」
「むちゃくちゃ想像できる」
「だろう?」
寝る。
コイツは確実に寝る。
目をつぶったら3秒で寝れるのはコイツの特技だ。
「だろう?じゃねーよ。だからって目ん玉かっぴらいてる眠り姫とか怖ぇだろ!」
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けど血走った目で凝視してくる姫とか怖すぎるんだよ!!
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