底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路

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最終章 ドラゴンとの生配信バトル

第64話 ショウトウル戦

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「試合の前に、ちょっといいかい?」

 子どもを抱いたまま、ランさんがスマホを構える。

「この戦いは、生放送で配信させてもらうからね。うちのドラゴン共が、うるさくてさ」

 どうもドラゴンたちは、不正がないかチェックしたいという。

 仲居さんがランさんと交代して、スマホを掲げる。

「これでいいよ。感度良好。始めておくれ」

 ランさんの合図で、本当に戦いが始まった。



「いきなり、全力でいくぜえ!」

 ショウトウルが、巨大な龍の姿になる。ワイバーンとは、比較にならない。

「ワラビ、ボクたちも全力で行こう」

「はい。マスターツヨシ」

 鬼神のヨロイを装備して、ヒヒイロカネの剣を構えた。

「ほほう。八層をクリアしたか。とんでもねえな! だが、俺様に勝てるかな?」

 やってみなければ、わからない。

 ボクは、ワラビで左手を包み込む。ワイバーンを撃退したフックを、ショウトウルに向けて試した。

「こんのお!」

「いいぜ。一発目は、殴らせてやらあ!」

 まったくの無防備で、ショウトウルは中腰になる。

 気持ちいいくらいの快音を鳴らし、ショウトウルの頬にボクとワラビのパンチがめり込んだ。

 しかし、高速の属性攻撃がまったく通じない。すべて、同じ属性攻撃で跳ね返される。

 ボヨン、とバウンドして、ワラビが弾き飛ばされた。ボクもつられて、吹っ飛ぶ。

「なんて力だ。これがドラゴンか」

 信じられない動きだ。強いだけじゃない。こちらの戦闘スタイルを読んでいる。

 これが、何世紀も地球を守ってきたドラゴンの力か。

「俺様たちドラゴン族は、地球に魔物を寄せ付けない、最後の砦だからな」

「くっちゃべってないで、あんたも攻撃を仕掛けな!」

 奥さんのランさんが、子どもをあやしながらショウトウルに檄を飛ばす。

「わーってるよ、母ちゃん!」

 ショウトウルが、軽くシッポを振る。

「ぐお!?」

「くううう!」

 すぐ後ろから攻撃しようとしていたセンディさんとコルタナさんを、一撃で吹っ飛ばした。

 ヒヨリさんのバリアのお陰で、地面に激突だけは免れる。

「これは本気を出さなきゃダメね。コンラッド!」

『仰せのままに』

 メイヴィス姫が、コンラッドと合体した。【聖騎士パラディン】モードとなる。

「サマーヘイズの姫様かい。ツヨシはとんでもねえ奴と、お友達なんだな?」

 どうやらショウトウルは、メイヴィス姫のことも知っているみたい。

「なんで俺様が、サマーへイズを知ってんのか、って顔をしてるな? 異世界と地球のパイプを繋いだのが、サマーヘイズと俺様ってわけよ」

 ただ、そのせいでオニが湧き、当時いた地球のサムライたちが活躍したという。

「そのうちの一人が、この姫さんの先祖だ、よっ!」

 ショウトウルの爪と、ミスリルの剣が、激しく火花を散らす。 

「祀り代をケチったから、手は貸してやらなかったぜ。あんときはよお。だから姫さんも戦ったってわけさ。記録には残っていねえがよ」

「いいから早くケリを付けな!」

「いちいちうるせえな、ランは! ほらよ!」

 ショウトウルが、ストレートパンチをメイヴィス姫に与えた。

「あたしだって、伊達に鍛えてはいない! 【シールドバッシュ】!」

 ミスリルの盾で、姫はショウトウルのパンチを受け流す。

「攻防一体の技か、やるなあ。鬼の角を折ったって聞くぜ」

「そのオニのデータを分析して作ったのが、コンラッドだ」

 サマーヘイズは、オニの角に先祖代々の魔力を注ぎ込んでいたらしい。その角をミスリルの武装に注ぎ込んだのが、コンラッドだという。

「戦闘経験も、すべてこのヨロイに込められている。サマーヘイズの歴史、とくと味わうがいい!」

「いいねえ。熱くなってきた!」

 ショウトウルが、本気のブレスを吐く。

 青白い光線状のブレスが、ボクたちに迫った。

「耐えろコンラッド! 【オーラシールド】!」

 魔力を全開にして、メイヴィス姫が盾を正面に構える。

 ドーム状のバリアが、ボクたち全員を囲む。

 しかし、ドームがだんだんと後ろへ下がっていく。

「お手伝いします!」

 ヒヨリさんも、同じようなバリアを張った。

「ダメだ。押し切られる!」

 姫とヒヨリさんを持ってしても、まだ光線はバリアを突き抜けようとしている。

「ツヨシ、手伝ってくれ!」

「はい!」

 ボクとセンディさんで、盾を抑えた。

 それでも、まだ圧力が抑えられない。

「メイヴィス姫、ワタシをお使いください!」

 ワラビが、メイヴィス姫のシールドの裏に張り付く。ワラビが大量の魔力を放ち、ミスリルとヒヒイロカネの相乗効果をアップさせた。

「なにいいい!」

 ついには、ショウトウルのブレスを防ぎ切る。

「とんでもねえヤロウだ! ここまで強いとは」

 ショウトウルが、人間サイズに戻った。さすがに連発はできないか。

「ワラビは、強いんです」

「違うな。このスライムの強さは、お前の意志力から来ている。お前が強くなっているから、このスライムも強い。俄然、お前さんに興味が湧いてきた」

 仕切り直しとばかりに、ショウトウルがリーゼントを直す。

「お前らの強さ、絆の深さ。見せてもらった。たいしたもんだ。全体戦は、もう意味がなさそうだな」

 大きく息を吸い込んで、ショウトウルが再びドラゴンに変化した。しかし、人間サイズである。リーゼントはそのまま、トカゲの頭になっていた。体つきも、スカジャンの下はドラゴンのウロコだ。これが、竜人族としての姿か。

「ツヨシ、サシでやろう」

 ショウトウルのファイティングポーズが、キックボクサーのような構えに変わった。
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