転生特撮ヲタ、異世界でダークエルフの霊にそそのかされてパワードスーツの開発をして、世界を救うことに。俺は特撮フィギュアが作りたいだけなのに。

椎名 富比路

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第二章 猛将と、闇の博士

第16話 リミッター解除

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 オレを覆っていたパーツが、開く。

 生身をむき出しにするようなものだが、力が一気に解き放たれた。

 さしものウェザーズでさえ、近づくこともできない。

「いくぜフルパワーッ!」

 オレは「マジック・ミサイル」を撃つ。あれだけ通用しないと言ってきたミサイルを。一発一発は弱いと判断した、マジック・ミサイルをだ。

 しかし、効果はある。

 ミサイルで、ウェザーズをとり囲んだのだ。

「ぬう、逃げ道を奪うか!」

 後ろや側面に飛び回るミサイルに、ウェザーズも調子を狂わせる。

「こしゃくな。こうしてくれる……ぬう!?」

 圧迫感に耐えられなくなったウェザーズが、ミサイルを大剣で撃ち落としにかかった。インパクトの瞬間、爆撃を受ける。

「ちいい!」

 剣を持った腕が弾かれたことで、ウェザーズにスキができた。

 相手のこめかみへ、ヒザ蹴りを食らわせる。

 足の裏にブーストを掛けて、すぐに懐から脱出した。

「てええい!」

 ウェザーズが、大剣を振り上げてオレに斬りかかる。

 オレは「マジック・ミサイルの上に足を乗せて」回避した。すぐさま背後に回って、背中にケリを見舞う。

 直後に、裏拳が飛ぶ。

 だが、よそ見しているところへミサイルを連続で食らわせた。

「けえい!」

 目に直撃を受けて、さすがのウェザーズも怯む。

「ならば!」

 今度は火球で、ミサイルを撃墜しようとした。

 発射の直前、それより速いミサイルに指を攻撃される。

 ウェザーズは自らの攻撃で、自爆する形となった。

「なるほど、こんな手があったか。自身のパワーとスピードを、魔力開放によって補い、力の弱い攻撃の爆風で回避と攻撃を繰り出すとは。力は使いようというわけか」
「バカ力だけが、戦闘の醍醐味じゃねえってこった!」
「ふむ。見事なり、ジェンシャンナイト! 吾輩のライバルとしてふさわしい男よ!」

 大剣を掲げ、ウェザーズは雄叫びを上げる。

 対して、オレはすごく白けていた。

「お前は、自分のやってきたことに相当誇りがあるようだな?」
「いかにも」
「じゃあ、この光景を見ろ」

 オレは、下に広がる凄惨な状態を指差す。

「こんなのが、お前たちの望む世界なのか?」

 ちょっと前のオレだったら、ウェザーズの言葉に乗っかっていたかもしれない。

 オレはただの特撮オタクだ。
 自分より強い相手と戦うことだって、憧れがあったと思う。
 素材集めと戦闘を繰り返し、最強のパワードスーツを作ることにだけ夢中になっていたに違いない。

 だが、現実を知ってしまった以上、オレはただのオタではいられなくなった。

「どうなんだ、ウェザーズ!」
「……美しい」

 ウェザーズの瞳は、歓喜に震えている。

「これぞまさしく、吾輩の望む世界そのもの。破壊と殺戮でしか生を実感できぬ吾輩にとって、この修羅道こそ理想郷なり! もっと作るぞ。悲鳴と、血と、屍の山で満ちた世界を」


……もういい。こいつは、殺そう。


 一瞬だけ、こいつとの戦闘を楽しいと思ってしまった自分がバカらしい。

 こんな奴は、さっさと殺すべきだったんだ。

「ニョンゴ、全エネルギーを剣に集中! 決着をつける!」
「待ってました!」

 スーツの魔力を帯びて、刀が青白い炎を上げた。すべてを灰にする炎を上げる。

 ウェザーズはタダの、快楽殺人者だ。殺すことが日常化している。

「ほほう。本気を出したな!」

 対するウェザーズも、同じように剣へと力を注ぐ。赤黒い剣を、オレに向けて振り下ろした。

 おそらく、前の魔王もコイツのこういった部分に嫌気が差していたのだろう。

 今ならよくわかるよ、魔王よ。だから、オレが責任を持って、ウェザーズの一生を終わらせる。地獄へ送ってやるから!

 オレの刀が、ウェザーズの剣を捉える。だが、押し負けそうだ。

「勝ったな!」
「それはどうかな?」

 マジックミサイルが、オレの刀に殺到した。

 ミサイルの爆風が、オレの刀を押し上げる。

「なあ!?」

 爆風によって生まれた剣圧によって、ウェザーズの大剣が両断した。

「ジェンシャン・スラッシュ!」

 オレはウェザーズの胴を払う。

 振り返ると、両断されたウェザーズの身体が地面へと落下していく。
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