転生特撮ヲタ、異世界でダークエルフの霊にそそのかされてパワードスーツの開発をして、世界を救うことに。俺は特撮フィギュアが作りたいだけなのに。

椎名 富比路

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第三章 魔王、本格始動

第36話 魔王、強化の秘密

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 魔王ミルドレットが、手から赤黒い光弾を放ってくる。
 オレは盾で防ぎつつ、バク転を繰り返して回避していく。

「大した反応だ。我が配下がことごとくやられるわけだ」

 さらに、光弾の数が増えていった。

 オレは銃を用いて、光弾を撃ち落としていく。 

「随分と強くなっていないか、ミルドレット?」
「うむ。ドクター・イシロウは、実に役立ってくれたよ」

 魔王が、ローブを開いた。

 ヨロイの胸部に、赤黒い宝玉が埋め込まれていた。宝石は、胸の中央で脈打つように明滅を繰り返している。 

「それは、ウォリハルカニウム! どうしてキミが!?」

 ウォリハルカニウムは、タキがブラック・ドラゴンの素材として利用していたはずだ。

 それが、どうして、魔王の手に?

「彼の操るドラゴンのパーツに、細工をしたのだ。半分でいいから、我が自在に使えるように」

 あの宝石は、正確な調整で制御しないと、まともに作動しない。

「あのドラゴンのウォリハルカニウムには、混ぜモノをしておいた」

 魔王は、ドラゴンの起動時に宝石の一部を拝借したのだ。自分の力とするために。

「そのおかげで、イシロウの竜は自壊してしまったのが。仕方あるまい。だからこそ、我自らが前に出たのだ。ずっと配下の影に隠れていては、魔王としての沽券に関わるでな」

 ミルドレットも、自身の進退を危惧していたらしい。

 このままでは、タキにすべてを奪われてしまうと。

「本来ならば、我が子らに支配を任せる予定だった。世界各地に植え付けた種を活性化させて、我が配下にと。しかし、どの子も自分勝手に育ち、言うことを聞かぬ」

 よって、自らが出撃したと。

「他力本願なところは、相変わらずだね。その宝玉だって、元々はタキが必死で取ってきたものを盗んだに過ぎない」
「有効活用と言ってもらおう!」

 さらに魔王が、両手から光弾を放つ。

「召喚した人間を信じないのかい?」
「得体のしれぬ科学者に頼る魔王が、どこにいる?」
「ブーメラン発言じゃん!」
「そもそもタキを呼んだのは、娘のマーゴットだ! 自分の保身のためにな!」

 妾の子ゆえに王位継承の座を追われたマーゴットが、自己の復権のために呼んだ地球人だという。

「あの科学者は、たしかにすばらしい力を持っている。おそらく我以上の。それが困るのだ」
「だろうな。お前さんよりよっぽど知恵が回るやつだ」
「黙れ! 人間の分際で!」

 逃げ切れないほどの光弾を、魔王ミルドレットが当ててくる。

「ぐおおお!」

 宝玉の力で強化された魔力の弾丸が、オレのスーツを壊しにかかった。

 ミスリル製のスーツ越しでも、痛みが突き抜けてくる。


「ほな、その人間の分際の底力を思い知るがええで」


「なにっ……げああああああああっ!?」

 突然、魔王が金縛りにあって、硬直した。
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