1 / 85
第1話
しおりを挟む
社畜の私は、毎日残業でも、飲み会には出る。
飲みも仕事の人間関係を円滑にするために必要だからだ。
クタクタの体を引きずって、忘年会が行われる飲み屋に行く。
雑居ビルのエレベーターで3階。
店に入ると賑やかな声が聞こえる。
既に潰れている社員もいるなか、存在感を消しつつ空いてる席に座る。
「川崎さん、今日も頑張ってたねー!真面目で偉い!」
やかましい先輩社員に早速絡まれる。
真面目じゃない、ただ迷惑をかけたくないだけ。
波風立てずに与えられた仕事をこなしてるうちに、なぜかどんどん増えた仕事量。
キャパシティを超えそう。
ああそろそろ潮時か?
ビールを注文して暫くつまみを食べていると、女子社員が騒いでる。
ジョッキを持ってきたバイトの男の子に絡んでいる。
バイト君可哀想。
でも、この子、イケメンだな。
眼福。
それ以外の感情はなかった。
でも、その時、目が合った。
そのバイト君と。
サラサラの黒い髪、黒く澄んだ瞳、白い肌、顔のパーツも完璧。
スタイルが良くて背が高い。
こんなモデルみたいで芸能人みたいな子をリアルで見たことがない。
ずっと見てる、私を。
何故かわからない。ただ、私はその子から目を離せなかった。
ジョッキを机に置いて、その子は厨房に戻った。
***
店のトイレに行こうと立ち上がり、廊下を歩く。
すると、さっきのバイト君がいた。
今度は酔っ払った男性客に絡まれている。
その客はバイト君に向かって皿を投げつけた。
皿はバイト君は当たらず、運良く割れずに私の方へ転がってきた。
「申し訳ありません!」
バイト君は客に謝っている。
私は皿を持ってバイト君のところに行った。
「あの、これ……」
私がバイト君に声をかけると、目を見開いた後、目を伏せて申し訳なさそうにしている。
「ありがとうございます」
そのまま私はトイレに行けばいい。
──はずなのに。
「何があったの……?」
聞いてしまった。
「注文したものと違うと怒ってて……。間違ってはないんですけど、酔ってるので、よくあります」
「そうなんだ……。気をつけてね」
「ありがとうございます!」
バイト君は眩しい笑顔を向けた。
***
飲み会が終わって二次会に行くところ、私は脱出に成功した。
流石に二次会まで参加したら明日に支障がでる。
というか、飲み会がなくても、残業まみれで毎日ストレスで、帰ったら缶ビール飲んですぐ寝てしまう。
土日は誰とも会わずに現実逃避に一人で海に行っている。
そして一人で映画を見たりカラオケをしたり。
とにかく一人でいた。
恋をしても続かない。社畜はデートをする余裕もない。
自分のことで精一杯。
とぼとぼと駅まで歩く。
すると視線を感じた。
振り返ると、そこには──
あのバイト君がいた。
目が合ったまま動けない。
何故私を見てるの?
バイト君が近づいてくる。
「さっき、店にいた方ですよね?」
「はい……。なんでしょうか?」
バイト君は視線を外して少し何かを考えている。
「あなたと話したいんです」
「……何を?」
「あなたのことが知りたい」
ナンパ……?
知ってどうする。私から出てくるのはストレスとお一人様の寂しさくらい。
「駅まで一緒に歩いていいですか?」
私は悩んだ。
彼が何か私を陥れようとしているのではないかと。
突然こんな若くてかっこいい男の子に声をかけられるなんて何か裏がある。
──でも
「いいですよ」
私は承諾した。
興味があったからだ。
この子に。
飲みも仕事の人間関係を円滑にするために必要だからだ。
クタクタの体を引きずって、忘年会が行われる飲み屋に行く。
雑居ビルのエレベーターで3階。
店に入ると賑やかな声が聞こえる。
既に潰れている社員もいるなか、存在感を消しつつ空いてる席に座る。
「川崎さん、今日も頑張ってたねー!真面目で偉い!」
やかましい先輩社員に早速絡まれる。
真面目じゃない、ただ迷惑をかけたくないだけ。
波風立てずに与えられた仕事をこなしてるうちに、なぜかどんどん増えた仕事量。
キャパシティを超えそう。
ああそろそろ潮時か?
ビールを注文して暫くつまみを食べていると、女子社員が騒いでる。
ジョッキを持ってきたバイトの男の子に絡んでいる。
バイト君可哀想。
でも、この子、イケメンだな。
眼福。
それ以外の感情はなかった。
でも、その時、目が合った。
そのバイト君と。
サラサラの黒い髪、黒く澄んだ瞳、白い肌、顔のパーツも完璧。
スタイルが良くて背が高い。
こんなモデルみたいで芸能人みたいな子をリアルで見たことがない。
ずっと見てる、私を。
何故かわからない。ただ、私はその子から目を離せなかった。
ジョッキを机に置いて、その子は厨房に戻った。
***
店のトイレに行こうと立ち上がり、廊下を歩く。
すると、さっきのバイト君がいた。
今度は酔っ払った男性客に絡まれている。
その客はバイト君に向かって皿を投げつけた。
皿はバイト君は当たらず、運良く割れずに私の方へ転がってきた。
「申し訳ありません!」
バイト君は客に謝っている。
私は皿を持ってバイト君のところに行った。
「あの、これ……」
私がバイト君に声をかけると、目を見開いた後、目を伏せて申し訳なさそうにしている。
「ありがとうございます」
そのまま私はトイレに行けばいい。
──はずなのに。
「何があったの……?」
聞いてしまった。
「注文したものと違うと怒ってて……。間違ってはないんですけど、酔ってるので、よくあります」
「そうなんだ……。気をつけてね」
「ありがとうございます!」
バイト君は眩しい笑顔を向けた。
***
飲み会が終わって二次会に行くところ、私は脱出に成功した。
流石に二次会まで参加したら明日に支障がでる。
というか、飲み会がなくても、残業まみれで毎日ストレスで、帰ったら缶ビール飲んですぐ寝てしまう。
土日は誰とも会わずに現実逃避に一人で海に行っている。
そして一人で映画を見たりカラオケをしたり。
とにかく一人でいた。
恋をしても続かない。社畜はデートをする余裕もない。
自分のことで精一杯。
とぼとぼと駅まで歩く。
すると視線を感じた。
振り返ると、そこには──
あのバイト君がいた。
目が合ったまま動けない。
何故私を見てるの?
バイト君が近づいてくる。
「さっき、店にいた方ですよね?」
「はい……。なんでしょうか?」
バイト君は視線を外して少し何かを考えている。
「あなたと話したいんです」
「……何を?」
「あなたのことが知りたい」
ナンパ……?
知ってどうする。私から出てくるのはストレスとお一人様の寂しさくらい。
「駅まで一緒に歩いていいですか?」
私は悩んだ。
彼が何か私を陥れようとしているのではないかと。
突然こんな若くてかっこいい男の子に声をかけられるなんて何か裏がある。
──でも
「いいですよ」
私は承諾した。
興味があったからだ。
この子に。
1
あなたにおすすめの小説
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした
鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、
幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。
アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。
すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。
☆他投稿サイトにも掲載しています。
☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。
恋に異例はつきもので ~会社一の鬼部長は初心でキュートな部下を溺愛したい~
泉南佳那
恋愛
「よっしゃー」が口癖の
元気いっぱい営業部員、辻本花梨27歳
×
敏腕だけど冷徹と噂されている
俺様部長 木沢彰吾34歳
ある朝、花梨が出社すると
異動の辞令が張り出されていた。
異動先は木沢部長率いる
〝ブランディング戦略部〟
なんでこんな時期に……
あまりの〝異例〟の辞令に
戸惑いを隠せない花梨。
しかも、担当するように言われた会社はなんと、元カレが社長を務める玩具会社だった!
花梨の前途多難な日々が、今始まる……
***
元気いっぱい、はりきりガール花梨と
ツンデレ部長木沢の年の差超パワフル・ラブ・ストーリーです。
ヒロインになれませんが。
橘しづき
恋愛
安西朱里、二十七歳。
顔もスタイルもいいのに、なぜか本命には選ばれず変な男ばかり寄ってきてしまう。初対面の女性には嫌われることも多く、いつも気がつけば当て馬女役。損な役回りだと友人からも言われる始末。 そんな朱里は、異動で営業部に所属することに。そこで、タイプの違うイケメン二人を発見。さらには、真面目で控えめ、そして可愛らしいヒロイン像にぴったりの女の子も。
イケメンのうち一人の片思いを察した朱里は、その二人の恋を応援しようと必死に走り回るが……。
全然上手くいかなくて、何かがおかしい??
冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話
水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。
相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。
義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。
陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。
しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。
ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?
溺愛のフリから2年後は。
橘しづき
恋愛
岡部愛理は、ぱっと見クールビューティーな女性だが、中身はビールと漫画、ゲームが大好き。恋愛は昔に何度か失敗してから、もうするつもりはない。
そんな愛理には幼馴染がいる。羽柴湊斗は小学校に上がる前から仲がよく、いまだに二人で飲んだりする仲だ。実は2年前から、湊斗と愛理は付き合っていることになっている。親からの圧力などに耐えられず、酔った勢いでついた嘘だった。
でも2年も経てば、今度は結婚を促される。さて、そろそろ偽装恋人も終わりにしなければ、と愛理は思っているのだが……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる