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第16話
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「はい、夜間提出の婚姻届、問題なく受理済みです。おめでとうございます。」
婚姻届はちゃんと受理されていた。
「婚姻届受理証明書を発行しますか?」
婚姻届受理証明書?
「それは何に使うんですか?」
「結婚したことを証明する公的書類です。こんなデザインのもあるんですよ」
役所の受付の女性がかわいいデザインの証明書のサンプルを持ってきた。
ハートの模様がついている。
断ろうとした瞬間──
「はい、それで発行してください」
隣に座っている勇凛くんが真剣な顔で言った。
「え、勇凛くんほしいの?」
「はい。二人が結婚した記念に……」
恥ずかしくて私は俯いていた。
「では発行手続き致しますので少々お待ちください」
役所の受付の女性はにこやかだった。
***
役所の近くにあるカフェで私たちは発行された証明書を見ていた。
「これ、額に入れて飾りましょう」
勇凛くんは嬉しそうに眺めている。
──その時私は大切なことを思い出した。
「私……もう川崎七海じゃないんだっけ……」
「はい。俺の姓で提出していたので」
「じゃあ、私のフルネームって何?」
「林七海さんですね……」
あ、そうだ、会社に言わないんといけないんだ……。名義変更とかもしないと。
「うーん……」
私が頭を抱えて考えていると、勇凛くんが心配そうな顔をしている。
「大丈夫ですか?俺にできることがあれば……」
「ありがとう。あとでまた相談するね」
私もしっかりしないと!
「じゃあ私、そろそろ行くね!」
「俺、迎えに行きます。仕事終わったら連絡してください」
「何時になるかわからないよ?」
「大丈夫です」
勇凛くんが優しく微笑む。
「わかった。じゃあ終わったら連絡するね!」
私が立ち上がると「いってらっしゃい」と勇凛くんが手を振ってくれた。
林七海、三十歳。
新たな気持ちで会社に帰還した。
***
「この度はご心配をおかけして申し訳ありませんでした」
私は上司に頭を下げた。
「体調管理、しっかりしろよ」
あんな毎日残業だらけなのに、体調管理もあるか!
「はい、今後気をつけます」
その後、気持ちを落ち着かせるために、自販機でお茶を買った。
それを飲んでいると、人の気配が。
「入院してたって本当?」
森川さんだった。
「はい……倒れちゃいまして」
森川さんは何かを考えている。
「それさ、病院で診断書もらってきたら?」
「え?」
「自分の命削ってまでやるべきじゃないよ」
「……そうですね」
勇凛くんの心配そうな顔が頭に浮かんだ。
「私、ここを辞めようかと思います」
その時、森川さんの表情が変わった。
「待て、まだできることがあるだろう」
「え?」
「今日は早く帰れよ。俺も考えるから」
いつも飄々としている森川さん。
その真剣な表情に驚いた。
「ありがとうございます」
「とにかく、早く診断書もらってくるんだ。わかったか?」
私はその気迫に気圧されて頷いた。
森川さんは戻って行った。
私を気遣ってくれる人がこの会社にいることがありがたいと思った。
婚姻届はちゃんと受理されていた。
「婚姻届受理証明書を発行しますか?」
婚姻届受理証明書?
「それは何に使うんですか?」
「結婚したことを証明する公的書類です。こんなデザインのもあるんですよ」
役所の受付の女性がかわいいデザインの証明書のサンプルを持ってきた。
ハートの模様がついている。
断ろうとした瞬間──
「はい、それで発行してください」
隣に座っている勇凛くんが真剣な顔で言った。
「え、勇凛くんほしいの?」
「はい。二人が結婚した記念に……」
恥ずかしくて私は俯いていた。
「では発行手続き致しますので少々お待ちください」
役所の受付の女性はにこやかだった。
***
役所の近くにあるカフェで私たちは発行された証明書を見ていた。
「これ、額に入れて飾りましょう」
勇凛くんは嬉しそうに眺めている。
──その時私は大切なことを思い出した。
「私……もう川崎七海じゃないんだっけ……」
「はい。俺の姓で提出していたので」
「じゃあ、私のフルネームって何?」
「林七海さんですね……」
あ、そうだ、会社に言わないんといけないんだ……。名義変更とかもしないと。
「うーん……」
私が頭を抱えて考えていると、勇凛くんが心配そうな顔をしている。
「大丈夫ですか?俺にできることがあれば……」
「ありがとう。あとでまた相談するね」
私もしっかりしないと!
「じゃあ私、そろそろ行くね!」
「俺、迎えに行きます。仕事終わったら連絡してください」
「何時になるかわからないよ?」
「大丈夫です」
勇凛くんが優しく微笑む。
「わかった。じゃあ終わったら連絡するね!」
私が立ち上がると「いってらっしゃい」と勇凛くんが手を振ってくれた。
林七海、三十歳。
新たな気持ちで会社に帰還した。
***
「この度はご心配をおかけして申し訳ありませんでした」
私は上司に頭を下げた。
「体調管理、しっかりしろよ」
あんな毎日残業だらけなのに、体調管理もあるか!
「はい、今後気をつけます」
その後、気持ちを落ち着かせるために、自販機でお茶を買った。
それを飲んでいると、人の気配が。
「入院してたって本当?」
森川さんだった。
「はい……倒れちゃいまして」
森川さんは何かを考えている。
「それさ、病院で診断書もらってきたら?」
「え?」
「自分の命削ってまでやるべきじゃないよ」
「……そうですね」
勇凛くんの心配そうな顔が頭に浮かんだ。
「私、ここを辞めようかと思います」
その時、森川さんの表情が変わった。
「待て、まだできることがあるだろう」
「え?」
「今日は早く帰れよ。俺も考えるから」
いつも飄々としている森川さん。
その真剣な表情に驚いた。
「ありがとうございます」
「とにかく、早く診断書もらってくるんだ。わかったか?」
私はその気迫に気圧されて頷いた。
森川さんは戻って行った。
私を気遣ってくれる人がこの会社にいることがありがたいと思った。
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