三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして

七転び八起き

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第15話

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 暫く沈黙が続いた。
 でも、特にそれ以上何も起こらない。
 何が何だかわからなくて混乱していると、寝息が聞こえた。

 振り返ったら、勇凛くんは寝ていた。

「寝言……?」

 私はほっとした。
 ただ、体勢は変わらず、私は身動きがとれない。
 どうしよう……。

「七海さん」

 また寝言を言っている。
 これじゃ眠れない。
 脱出を試みた時、腕の力が強くなった。

「七海さん……」

 苦しそうな声。
 どんな夢を見ているんだ……!
 深い眠りだろうから、ちょっと力入れても大丈夫かも。
 勇凛くんの腕を振り解こうとした。

「七海さん……俺とずっと一緒にいてください」

 勇凛くんの静かで切実な声。
 寝言なのにハッキリしている。
 腕を振り払うことができなくなってしまった。

 私はそのまま眠りにつくことにした。

 ***

 朝目が覚めると、私と勇凛くんは向かい合わせに寝ていた。
 勇凛くんの腕はそのままだった。
 その状況に焦ったけれど、私はそのままでいた。

 勇凛くんの腕の中が暖かくて、心臓は早く鳴るのに落ち着く。
 不思議な感覚だった。

 暫くすると、私のスマホのアラームが鳴った。
 ヤバい!!

 すると勇凛くんが目覚めた。

「……七海さん?え、なんで」
「勇凛くんが寝てる時にこうなってしまって……」
「そうなんですね……すみません」
「アラーム消すね」

 私は起き上がってアラームを消した。

「七海さん、今日はどうするんですか……?」
「役所に行こうと思う」

 勇凛くんが起き上がった。

「婚姻届のことですか?」

 少し不安そうな顔をしている。

「うん。ちゃんと確認したいの。私たちが夫婦になってることを」
「はい、そうですね。俺も行きます」

 私と勇凛くんは朝ご飯を食べて支度を始めた。

 ***

 私は会社に電話した。

「川崎です。今日は午後から出勤しようと思います」
『わかった。待っている』

 相変わらず心のない上司の声。

「七海さん今日会社に行くんですか?」
「うん。流石にこれ以上休むと仕事が溜まって余計に大変になるから」

 勇凛くんは悩んでいる。

「まだ退院したばかりなのに、また同じ状態になるか不安です」
「……そこは、気をつける」

 私と勇凛くんはマンションから出て駅に向かって歩いた。

「七海さん」
「なに?」
「手を繋いでいいですか」

 手を繋ぐ……って、周りの人に見られる訳で、もう私は三十路。流石に恥ずかしい。
 私が何も言えないでいると、勇凛くんは恐る恐る私の手に触れた。
 そっと優しく私の手が包まれた。
 心まで温かくなった。

 恥ずかしい。
 だけど、嬉しい。
 勇凛くんの行動にドキドキしてる私は、彼に恋をしているんじゃないのかと、今更ながら思った。
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