三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして

七転び八起き

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第41話

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 会社から出ると、勇凛くんが待っていた。

「お待たせ」
「お疲れ様です」

 私はすぐに勇凛くんに近寄って腕を組んだ。
 もう関係を隠すつもりもなくなり、この会社とももうすぐお別れ。
 あの会社の前では流石にできないけど。

 勇凛くんの口数が少ない。
 心なしか元気がない。

「どうしたの……?」
「あ……すみません、ちょっと兄から連絡があって」

 なんだろう……。
 嫌な予感がする。

「来週から研修を受けろと」

 え。

「本社で?」
「はい。今のところは」
「急だね……」

 容赦なく追い詰めてくる。

「バイトはもうできなくなるので、今住んでるマンションから退去しないといけなくて……」

 やばい……じゃあ勇凛くん、住む場所無くなるの……?
 まさか、お兄さん達と暮らすことに?
 私と会う時間は??
 勇凛くんと離れ離れは嫌だ。

「勇凛くん、私の家で一緒に暮らそう!」

 私は思い切って提案した。
 勇凛くんは驚いて少し微笑んだと思ったのも束の間、すぐに表情が曇った。

「俺に近づくと七海さんが危険な目に遭う気がするんです」

 ──そんな……

 あいつらの思惑通りにいってたまるか!

「勇凛くん。私たちは夫婦だよ。夫のピンチなんだから、私も一緒に戦うよ」

 私は勇凛くんの手を握った。

「……ありがとうございます」

 勇凛くんの表情が柔らかくなった。

 私のマンションの前に着いた。

「家に着いたら電話します」
「うん」

 勇凛くんが駅に戻ってゆく。

 その背中が寂しそうで──
 思わず全力で走って後ろからしがみついた。

「え!?」

 勇凛くんが驚いている。

「勇凛くん大好き!!」

 勇凛くんごめん、耐えられなかった。
 勇凛くんが私の頭を撫でてくれた。

「俺も、七海さんのこと大好きです」

 私たちはキスをして、別れた。

 部屋に戻って、余韻に浸っていると、スマホに着信がきた。
 勇凛くん!!

 ……と思ったら知らない番号。
 誰?

「……もしもし」

『私だ』

 この声は──
 勇輝さんだ。

 重い声の響きに体が震えた。

「なぜ私の番号を……?」
『君がこの前置いていった書類に書いてあった』

 最悪だ。

「勇凛くん、来週から研修って早くないですか……?」
『勇凛から聞いたのか。別に早くない。私もそうだった』

 でも、勇凛くんは内定取り消されたばかりで心の準備もできてない。

「バイト辞めなきゃいけないって悩んでましたよ。ちゃんと相談して決めるべきだと思いますが?」
『私に何も相談なく結婚した勇凛が悪い』

 勇凛くんはこの人の所有物かなんかなの……?

『それより君は自分の心配をした方がいい。いつからこっちに来るんだ』
「今日辞表だしたので、あと二週間くらいです」
『そうか……。明日は空いているか?』
「明日?仕事ですけど……」
『夜だ』

 夜?

「仕事終わったあとは特にありませんが」
『またここに来い』

 え。

「本社にですか……?」
『ああ』
「なんでですか?」
『それは来ればわかる。あと──』

 あと?

『勇凛にはこのことを言うな』

 そして一方的に電話を切られた。

 ──不安すぎる。
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