三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして

七転び八起き

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第53話

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 ──初陣前日の夜

 姉から電話がかかってきた。

『あれからどう~?』

 姉ちゃんが私をあの頃の平凡な私に戻してくれる……。

「姉ちゃん……私、林ホールディングスに入社することになったんだ……」
『え、転職?大企業じゃん。よかったね~』
「実は……勇凛くんはその会社の社長の息子だったの……』

『は?』

 今まで聞いた中で一番大きな『は?』である。

「実は……副社長のお兄さんに結婚反対されて、二人であそこに入社する流れになったの……」
『なぜ??』
「お兄さんの秘書になって、私が有能だって証明しないと認めないって感じ」
『秘書!?結婚してからそんなことになるって。やっぱ結婚までの順序はちゃんとするべきだったね……。今言っても仕方ないけど』
「ハイ……」

 ぐうの音もでない。

『そんな無理する必要あるの?そんな扱いうけて。もう手を引いたら?』

 わかってる。その方が楽。

 ──でも

「勇凛くんと一緒にいたいんだよ~~~!」

 号泣。

『そうか……“勇凛くん ”はどうなの?今』
「他の会社の内定取り消されて、強制的にあの会社に入社になって、研修中」
『えぐ。……とりあえず二人でやってみて、しんどかったら話し合って決めるしかないね……』
「うん……。ねえちゃん、話聞いてくれてありがとう」
『心配だわー。また教えてね』

 電話を終えた。
 少しスッキリした。

 その時、スマホに通知が来た。

『明日、何かあったらすぐに連絡ください。心配です』

 私を心配してくれる人がいる。
 その人たちのためにも頑張ろうと思えた。

 ***

 ──朝

 私は早朝から起きて、全身を林ホールディングス社員にできるだけ相応する格好にした……つもり。

 緊張する!!
 あまり眠れなかったし、心臓はずっと強く早く鳴っている。

 よし!!

 私は時間になって家を出た。

 ***

 会社最寄駅の出口。
 勇凛くんが立っていた。

「七海さん、おはようございます」
「おはよう!」

 空元気。

 勇凛くんと会社まで向かう。

「不安です……」

 勇凛くんの方が緊張しているのではないか……?

「大丈夫。私、これでも社畜として何年間もやってきたから!」
「また倒れたらと思うと……」

 それはなんとも言えない。

 でも。

「倒れても私は辞めない。折れない」

 勇凛くんが手をそっと握ってくれた。

「二人で乗り越えましょう」

 朝日が私達を照らす。

 そしてビルのエントランスに入った。
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