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第59話
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目を逸らせないでいると
「……ふ」
勇哉さんが爆笑した。
「七海ちゃん……変な人に騙されないようにね」
部屋を出て行った。
ふざけんな!!
また振り回されてうんざりだ。
勇哉さんはさておき──
私は勇凛くんに報告した。
今日は大学に行く日だから会社にいない勇凛くん。
『明日、勇輝さんと福岡の出張に同行することになった』
そうメッセージを送ってしばらくすると、すぐに電話がかかってきた。
『なんで七海さんまで行かないといけないんですか!?』
「会議に同席してほしいって言われて……」
『日帰りですか……?』
「夜に会食があるから、泊まりなの」
──沈黙
『不安です……。そんな遠かったらすぐに助けに行けません。俺もついていきます』
え!?
「ダメだよ!明日は勇凛くん研修の日だよね?それを休んでこっちに来て勇輝さんにバレたら、私たちが今頑張ってる意味がなくなっちゃうよ……」
勇凛くんの気持ちはわかるんだけど。
『……わかりました。でも何かあったら必ず連絡ください。なんとかして駆けつけます』
勇凛くんの優しさが心に沁みる。
「ありがとう」
『今日、会社に迎えにいきます。少しでも会いたいので……』
「待たせちゃうかもしれないけど……」
『大丈夫です。待ってます』
なんとかして今日は早く終わらせよう。
***
一人で電話をとりながら、様々な要望に応えてあっという間に終業時刻。
明日必要な資料を机に出すと、部屋のドアが開いた。
勇輝さんだった。
「明日は空港で待ち合わせだ。もう帰りなさい」
「はい」
私はパソコンをシャットダウンした。
すると机の上に紙袋が置かれた。
これはまさか……
中を見ると、また高価な服。
「それを着ていきなさい」
「ハイ……」
彼は出て行った。
大きなショッピングバッグを持って私は会社を出た。
そして、待っている勇凛くんの元へ。
待ち合わせのカフェに行くと、私服の勇凛くんがいた。
「勇凛くんお待たせ!」
振り返る勇凛くん。
「七海さんお疲れ様です」
天使のような笑顔。
またほのぼのした日常に戻った気分だった。
「明日は何時に出発するんですか?」
「空港に8時だから、一時間前には家を出ようかなぁと」
「そうですか……できるなら空港まで送りたいです。でも明日は研修で……」
勇凛くんが申し訳なさそうにしている。
「気持ちだけでも嬉しいよ。ありがとう」
胸が温かくなった。
「あの、七海さんを家まで送ってもいいですか……?」
「うん。私ももう少し一緒にいたい」
私たちはカフェからでて、家に向かった。
***
会社の最寄り駅から約一時間。
自宅の最寄り駅にたどり着いた。
二人で手を繋いで家までの帰路を歩く。
二人の薬指の指輪がたまに光に反射して輝いた。
早く一緒に暮らしたい。
ずっと思っている。
でもなかなか叶わない。
でもずっと勇凛くんの心は側にいてくれる。
だからなんとか頑張れる。
あっという間に家についてしまった。
私たちは動けなかった。
お互い明日があるから早く帰らないといけないのに──
「勇凛くん、家で少しだけゆっくりしていってくれるかな……?」
そう言うと勇凛くんは穏やかで優しい笑顔になった。
「はい」
二人で家に入ると。
こらえていた想いが溢れるように二人で抱き合っていた。
「勇凛……」
この時は私も“くん”がなくなる。
「七海、離れたくない」
胸が締め付けられる。
深く深く唇を重ね合わせて境界がなくなっていく。
そのまま私たちはベッドに沈んだ。
勇凛くんでいっぱいになっていく。
満たされていく。
今までこんな気持ちになったのは初めてだった。
心も体も深く深く彼を求めている。
運命だと勇凛くんは言った。
私も今ならそう思える。
勇凛くんと出会うために私は生まれたのかもしれないと──
勇凛くんは早朝に帰った。
そして私は出張への準備をした。
その時私は、とんでもないミスをおかしていた。
それをこの時はまだ気づいていなかった。
「……ふ」
勇哉さんが爆笑した。
「七海ちゃん……変な人に騙されないようにね」
部屋を出て行った。
ふざけんな!!
また振り回されてうんざりだ。
勇哉さんはさておき──
私は勇凛くんに報告した。
今日は大学に行く日だから会社にいない勇凛くん。
『明日、勇輝さんと福岡の出張に同行することになった』
そうメッセージを送ってしばらくすると、すぐに電話がかかってきた。
『なんで七海さんまで行かないといけないんですか!?』
「会議に同席してほしいって言われて……」
『日帰りですか……?』
「夜に会食があるから、泊まりなの」
──沈黙
『不安です……。そんな遠かったらすぐに助けに行けません。俺もついていきます』
え!?
「ダメだよ!明日は勇凛くん研修の日だよね?それを休んでこっちに来て勇輝さんにバレたら、私たちが今頑張ってる意味がなくなっちゃうよ……」
勇凛くんの気持ちはわかるんだけど。
『……わかりました。でも何かあったら必ず連絡ください。なんとかして駆けつけます』
勇凛くんの優しさが心に沁みる。
「ありがとう」
『今日、会社に迎えにいきます。少しでも会いたいので……』
「待たせちゃうかもしれないけど……」
『大丈夫です。待ってます』
なんとかして今日は早く終わらせよう。
***
一人で電話をとりながら、様々な要望に応えてあっという間に終業時刻。
明日必要な資料を机に出すと、部屋のドアが開いた。
勇輝さんだった。
「明日は空港で待ち合わせだ。もう帰りなさい」
「はい」
私はパソコンをシャットダウンした。
すると机の上に紙袋が置かれた。
これはまさか……
中を見ると、また高価な服。
「それを着ていきなさい」
「ハイ……」
彼は出て行った。
大きなショッピングバッグを持って私は会社を出た。
そして、待っている勇凛くんの元へ。
待ち合わせのカフェに行くと、私服の勇凛くんがいた。
「勇凛くんお待たせ!」
振り返る勇凛くん。
「七海さんお疲れ様です」
天使のような笑顔。
またほのぼのした日常に戻った気分だった。
「明日は何時に出発するんですか?」
「空港に8時だから、一時間前には家を出ようかなぁと」
「そうですか……できるなら空港まで送りたいです。でも明日は研修で……」
勇凛くんが申し訳なさそうにしている。
「気持ちだけでも嬉しいよ。ありがとう」
胸が温かくなった。
「あの、七海さんを家まで送ってもいいですか……?」
「うん。私ももう少し一緒にいたい」
私たちはカフェからでて、家に向かった。
***
会社の最寄り駅から約一時間。
自宅の最寄り駅にたどり着いた。
二人で手を繋いで家までの帰路を歩く。
二人の薬指の指輪がたまに光に反射して輝いた。
早く一緒に暮らしたい。
ずっと思っている。
でもなかなか叶わない。
でもずっと勇凛くんの心は側にいてくれる。
だからなんとか頑張れる。
あっという間に家についてしまった。
私たちは動けなかった。
お互い明日があるから早く帰らないといけないのに──
「勇凛くん、家で少しだけゆっくりしていってくれるかな……?」
そう言うと勇凛くんは穏やかで優しい笑顔になった。
「はい」
二人で家に入ると。
こらえていた想いが溢れるように二人で抱き合っていた。
「勇凛……」
この時は私も“くん”がなくなる。
「七海、離れたくない」
胸が締め付けられる。
深く深く唇を重ね合わせて境界がなくなっていく。
そのまま私たちはベッドに沈んだ。
勇凛くんでいっぱいになっていく。
満たされていく。
今までこんな気持ちになったのは初めてだった。
心も体も深く深く彼を求めている。
運命だと勇凛くんは言った。
私も今ならそう思える。
勇凛くんと出会うために私は生まれたのかもしれないと──
勇凛くんは早朝に帰った。
そして私は出張への準備をした。
その時私は、とんでもないミスをおかしていた。
それをこの時はまだ気づいていなかった。
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