三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして

七転び八起き

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第59話

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 目を逸らせないでいると

「……ふ」

 勇哉さんが爆笑した。

「七海ちゃん……変な人に騙されないようにね」

 部屋を出て行った。

 ふざけんな!!
 また振り回されてうんざりだ。

 勇哉さんはさておき──
 私は勇凛くんに報告した。

 今日は大学に行く日だから会社にいない勇凛くん。

『明日、勇輝さんと福岡の出張に同行することになった』

 そうメッセージを送ってしばらくすると、すぐに電話がかかってきた。

『なんで七海さんまで行かないといけないんですか!?』
「会議に同席してほしいって言われて……」
『日帰りですか……?』
「夜に会食があるから、泊まりなの」

 ──沈黙

『不安です……。そんな遠かったらすぐに助けに行けません。俺もついていきます』

 え!?

「ダメだよ!明日は勇凛くん研修の日だよね?それを休んでこっちに来て勇輝さんにバレたら、私たちが今頑張ってる意味がなくなっちゃうよ……」

 勇凛くんの気持ちはわかるんだけど。

『……わかりました。でも何かあったら必ず連絡ください。なんとかして駆けつけます』

 勇凛くんの優しさが心に沁みる。

「ありがとう」
『今日、会社に迎えにいきます。少しでも会いたいので……』
「待たせちゃうかもしれないけど……」
『大丈夫です。待ってます』

 なんとかして今日は早く終わらせよう。

 ***

 一人で電話をとりながら、様々な要望に応えてあっという間に終業時刻。
 明日必要な資料を机に出すと、部屋のドアが開いた。

 勇輝さんだった。

「明日は空港で待ち合わせだ。もう帰りなさい」
「はい」

 私はパソコンをシャットダウンした。
 すると机の上に紙袋が置かれた。

 これはまさか……
 中を見ると、また高価な服。

「それを着ていきなさい」
「ハイ……」

 彼は出て行った。

 大きなショッピングバッグを持って私は会社を出た。
 そして、待っている勇凛くんの元へ。
 待ち合わせのカフェに行くと、私服の勇凛くんがいた。

「勇凛くんお待たせ!」

 振り返る勇凛くん。

「七海さんお疲れ様です」

 天使のような笑顔。
 またほのぼのした日常に戻った気分だった。

「明日は何時に出発するんですか?」
「空港に8時だから、一時間前には家を出ようかなぁと」
「そうですか……できるなら空港まで送りたいです。でも明日は研修で……」

 勇凛くんが申し訳なさそうにしている。

「気持ちだけでも嬉しいよ。ありがとう」

 胸が温かくなった。

「あの、七海さんを家まで送ってもいいですか……?」
「うん。私ももう少し一緒にいたい」

 私たちはカフェからでて、家に向かった。

 ***

 会社の最寄り駅から約一時間。
 自宅の最寄り駅にたどり着いた。

 二人で手を繋いで家までの帰路を歩く。
 二人の薬指の指輪がたまに光に反射して輝いた。

 早く一緒に暮らしたい。
 ずっと思っている。
 でもなかなか叶わない。

 でもずっと勇凛くんの心は側にいてくれる。
 だからなんとか頑張れる。

 あっという間に家についてしまった。
 私たちは動けなかった。

 お互い明日があるから早く帰らないといけないのに──

「勇凛くん、家で少しだけゆっくりしていってくれるかな……?」

 そう言うと勇凛くんは穏やかで優しい笑顔になった。

「はい」

 二人で家に入ると。
 こらえていた想いが溢れるように二人で抱き合っていた。

「勇凛……」

 この時は私も“くん”がなくなる。

「七海、離れたくない」

 胸が締め付けられる。
 深く深く唇を重ね合わせて境界がなくなっていく。

 そのまま私たちはベッドに沈んだ。

 勇凛くんでいっぱいになっていく。
 満たされていく。

 今までこんな気持ちになったのは初めてだった。
 心も体も深く深く彼を求めている。

 運命だと勇凛くんは言った。
 私も今ならそう思える。

 勇凛くんと出会うために私は生まれたのかもしれないと──


 勇凛くんは早朝に帰った。
 そして私は出張への準備をした。


 その時私は、とんでもないミスをおかしていた。
 それをこの時はまだ気づいていなかった。
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