三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして

七転び八起き

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第83話

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 仕事が終わってスマホを見ると、勇凛くんからメッセージがきていた。

『今日、話したいことがあります』

 ──え?

 何?
 話したいこと……?
 そんな改まって言われると怖い。

『うん。わかった』

 そう送ると電話がかかってきた。

『七海さん仕事終わりましたか?』
「うん。勇凛くん今どこ?」
『駅前にいます。今日家に来てもらうことできますか……?』
「うん。大丈夫だよ」
『じゃあ待ってます』

 通話を終え、私は勇凛くんの元へ向かった。

 ***

 駅に着くと改札前に勇凛くんがいた。

「七海さん、お疲れ様です」
「勇凛くんもお疲れ様」

 私たちは改札を抜けて、勇凛くんの家へと向かう。

 話したいことってなんだろう。
 勇凛くんの顔を見ると、いつもとそこまで変わらない。
 謎だ。

「七海さん今日俺を見に来てたんですか?」
「え」
「森川さんに聞きました」

 なんで言うんだよ……。

「ごめん。どうしても見たくて」
「嬉しいです。七海さんがこれからも、仕事もそうじゃない時もそばにいてくれるって、幸せです」

 優しく微笑む勇凛くんの顔を見て、不安は安心に変わった。

 ***

 勇凛くんの家に着いて家に上がると、勇凛くんに抱きしめられた。

「七海。好き」

 勇凛くんの温もりが私の疲れた心を癒す。

「私も好きだよ。勇凛」

 優しくキスをする。

 そして二人でソファに座った。

「話したいことって何かな?」

 勇凛くんは真剣な顔をしていた。

「実は兄と話しました」

 兄……とは。

「勇輝さん?」
「はい」
「どんなこと?」
「俺は、無理やりあの会社に入社させられましたが……父の話を聞いて、あの会社と兄のことをもっと知りたいと思ったんです」
「うん」
「それを兄に伝えました」
「なんて言われた……?」
「『そうか』って」

 絶対そう言うと思った。

「あの人の本心、わからないよね……」
「いつかわかる日がくればいいなと、思ってます」

 あんなに酷い仕打ちを受けた私たち。
 でも、今は知ろうとしている。
 不思議だ。

「私たち、成長したのかな」
「七海さんはすごいですよ!兄がこのまま七海さんを秘書にするなら認められてますよ!」

 いや、それは、なんとも言えない。

「あ、あと、このマンションは解約してもいいと言われました」
「え?」

 それってつまり

「二人で暮らせる……」
「はい。俺が迷ってしまってすみませんでした。でも、もう心は決まったので、俺は大丈夫です。七海さんと暮らしたいです。今すぐにでも」

 その言葉を聞いたら、安心して涙が出てきた。

「よかった……」

 やっと、やっと二人で暮らせる。

 夫婦だったら当たり前なことがずっとできなかった。
 でも、諦めなかった。
 そんな自分を、私たちを今心から誇れる。

「七海さん、これからもずっと一緒です」

 勇凛くんが抱きしめてくれた。

 出会っていきなり入籍した私たちが、やっと心置きなく一緒に居られる喜びと安心に包まれ、幸せな余韻に浸りながら今日を終えた。
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