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4篇目タイトル【蘇生の回廊】
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皆も同じような気持ちなのか空気を読んで、千春の仮説に賛同するのだった。四人は顔を見合わせ、示し合わせたかのように解散を決めた。
放っておけば行雄も恵理も飽きて出てくると考えたのである。
隠し部屋を探すという手っ取り早い手もあるが、建築家夫婦の話を聞いた後では少し気も引ける。
「しばらくして出てこなかったら、まぁ探してみるのもありか」
下手に事故があっても困るからと、真吾が提案してそのときは皆して部屋に戻る。なんとなく手洗いや、小腹が空いたとき用の食料を運び入れたのは、何度も廊下に出たくなかったからだろうか。単に、行雄たちといきなり顔をあわせて一番に怒られるのが嫌だっただけかもしれない。
しばしの時間を、ゲームに没頭して過ごした。
「……」
「……」
「……」
「……」
没頭しているつもりでも、言葉にしない中に言わなければならないことがあった。行雄たちが音を上げるのに半時間とかからないと思っていた。
しかし、一時間くらいが経過しても何ら音沙汰もない。
「なぁ」
「あぁ」
なんとか真吾に声をかけ、彼も淳平に返事する。そして嫌な予感について口にしようとしたときのことだ。
カタンッ。
かすかだが音がした。隣から。
「……」
「……」
淳平と真吾は顔を見合わせた。どちらかの気のせいというわけではないとわかり安堵する。
オカルトめいたことなどありえないのだと、淳平たちは言葉にしないまでも自分たちに言い聞かせる。
それからはまたゲームに集中し……ようとした。
「あのぅ」
安心してから数分もしないうちに奈々が部屋を訪ねてきたのだ。
「どうかしました?」
「すみません。やっぱり気になって廊下に出てみたのですが」
淳平が出てみると、間を置かずに彼女はそう言った。
「それで、これが落ちているのを見つけました……」
続けて見せつけてきたのは、可愛らしい花柄のハンカチに包まれた不気味な短剣だった。廊下の壁に飾ってあったものだと記憶にある。
「じゃあ、さっきの物音って、それが落ちた音か? ってことは、まだ行雄さんは……」
真吾も様子を見に来て、安心の原因を理解すると最後まで言葉を紡げずに終わった。
まだ終わっていなかったのだ。
行雄や恵理に起こった出来事も、この別荘にかけられたおかしな事象も。オカルトでないとするなら、考えられるのは短剣が隠し部屋か何かの鍵になっているはずである。
「短剣を壁にハメ直してみたりとかは?」
淳平が聞くも、奈々は首を横に振って答える。
放っておけば行雄も恵理も飽きて出てくると考えたのである。
隠し部屋を探すという手っ取り早い手もあるが、建築家夫婦の話を聞いた後では少し気も引ける。
「しばらくして出てこなかったら、まぁ探してみるのもありか」
下手に事故があっても困るからと、真吾が提案してそのときは皆して部屋に戻る。なんとなく手洗いや、小腹が空いたとき用の食料を運び入れたのは、何度も廊下に出たくなかったからだろうか。単に、行雄たちといきなり顔をあわせて一番に怒られるのが嫌だっただけかもしれない。
しばしの時間を、ゲームに没頭して過ごした。
「……」
「……」
「……」
「……」
没頭しているつもりでも、言葉にしない中に言わなければならないことがあった。行雄たちが音を上げるのに半時間とかからないと思っていた。
しかし、一時間くらいが経過しても何ら音沙汰もない。
「なぁ」
「あぁ」
なんとか真吾に声をかけ、彼も淳平に返事する。そして嫌な予感について口にしようとしたときのことだ。
カタンッ。
かすかだが音がした。隣から。
「……」
「……」
淳平と真吾は顔を見合わせた。どちらかの気のせいというわけではないとわかり安堵する。
オカルトめいたことなどありえないのだと、淳平たちは言葉にしないまでも自分たちに言い聞かせる。
それからはまたゲームに集中し……ようとした。
「あのぅ」
安心してから数分もしないうちに奈々が部屋を訪ねてきたのだ。
「どうかしました?」
「すみません。やっぱり気になって廊下に出てみたのですが」
淳平が出てみると、間を置かずに彼女はそう言った。
「それで、これが落ちているのを見つけました……」
続けて見せつけてきたのは、可愛らしい花柄のハンカチに包まれた不気味な短剣だった。廊下の壁に飾ってあったものだと記憶にある。
「じゃあ、さっきの物音って、それが落ちた音か? ってことは、まだ行雄さんは……」
真吾も様子を見に来て、安心の原因を理解すると最後まで言葉を紡げずに終わった。
まだ終わっていなかったのだ。
行雄や恵理に起こった出来事も、この別荘にかけられたおかしな事象も。オカルトでないとするなら、考えられるのは短剣が隠し部屋か何かの鍵になっているはずである。
「短剣を壁にハメ直してみたりとかは?」
淳平が聞くも、奈々は首を横に振って答える。
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