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剣鬼 闘技祭準備編
レナの意思
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色々と考え込むナオを素通りし、マリアはレナの両肩を掴むと、彼女は微笑みながらレナに質問する。
「レナ……一つだけ聞かせてちょうだい。貴方はこの国の王様になりたいと考えた事はある?貴方が本気で国王になりたいと考えているのなら、私は貴方を支援するわよ」
「え、嫌だよ。そんな面倒臭そうなの……そういうのはナオに任せる」
『えっ』
「でしょうね」
レナの返答にその場の全員が呆気にとられるが、彼の答えを聞いてマリアは安心したように溜息を吐き、レナならば彼女の質問を断ると確信していた。だが、他の人間が慌ててレナに問い質す。
「ちょ、ちょっと待てよレナ!!お前、面倒って……王様だぞ?王様になれるんだぞ!?」
「そうだぞレナ、もしかして私に気を遣っているのか?それなら……」
「いやいや、別にそういうのじゃないから。というか、王様なんて面倒そうだし、責任感が大きそうだから嫌だよ」
「そんな事で諦めるのっ!?」
「そんな事で諦めるよ。俺は王様なんか目指さない」
今更自分の正体を晒し、王位を狙うなどレナは考えるはずがなく、そんな事をしてしまったらこれまでの行為が水の泡となる。彼の目的は国王として王国を支配する事ではなく、あくまでも普通の生活を送りたいだけなのだ。最も現在の生活も普通とは言い難いが、それでも仲間に囲まれて暮らす生活を満喫している。
だが、ここでレナが王位を継承するために世間に自分の正体を晒せば当然だが彼の周囲の人間も問題に巻き込んでしまう。まずはこれまで以上に命を狙われるのは間違いなく、王国側の人間も彼を放置するはずがない。そうなれば平穏な生活など望めるはずがなく、そんな事態に陥るならば正体を隠して生きる生活を選ぶ。
例えば野球を知らない人間にプロ野球選手になれる好機を与えられたとしても、大抵の人間はそんな好機を受け入れるはずがないだろう。仮にプロ野球選手になれたとしても野球も知らない自分が上手くやり続けられるのか不安を抱き、取り返しのつかない失敗を行うのではないかと考える。普通の人間には訪れない絶対に訪れない絶好の機会なのかもしれなくとも、レナにとっては国王という称号は何の価値もない。
「俺は今まで通りに皆と一緒に居る方がいいよ。そもそも国王なんてなっても何の教育も受けていない俺が国を支えるなんて出来ないしね」
「だけど、本当ならお前が王様になるはずだったんだぞ?悔しく……いや、納得できるのか?他の人間が自分を差し置いて国を受け継ぐなんて……」
「いや、全然?むしろ、国王になる方が大変そうだよ。だって今の国王は全然羨ましいとは思えないし……」
「ふふっ」
レナの言葉にマリアが笑い声を抑えきれず、確かに現在の国王の立場を知っている人間からすれば誰も彼の地位を羨む者はいないだろう。王妃の傀儡人形として彼女の支持されるがままにしか行動できず、自分の愛していた妻からは息子を見捨てた事で痛めつけられ、数多くの人間に見放されている。彼が「国王」という立場でなければここまでの事態には陥らなかっただろう。
「俺は王位なんて興味ないし、そのハヅキ家という人達にも利用されるのは御免だよ」
「レナ……」
「よく言ったわ。それでこそ姉さんの子供よ」
マリアはレナの言葉を聞いて満足そうに頷き、彼の身体を抱き締める。姉の元を離れても国王の座に興味を抱くような人間に育って居なかった事に彼女は安堵し、同時に自分も覚悟を決める事にした。
「ナオ、聞いての通りよ。レナは王位を引き継ぐつもりがない以上、貴女がこの国を引き継ぎなさい」
「そ、それは……ですが、父上は私の事を……」
「いい加減に目を覚ましなさい。何時までも養父に気遣っていたらこの国は王妃に奪われるわよ」
「くっ……!!」
ナオは自分の養父であり、レナの実父である「バルトロス国王」の事を内心は未だに慕っていた。実際に先王が死去した後に自分と2人の妹を引き取り、何不自由のない生活を送らせていたのだ。しかし、王妃が子供を出産してから関係がおかしくなり、お互いが避けるようになった。
それでもナオは心の何処かで養父である国王との関係を修復出来ないのかと考えており、何度も王妃の危険性を伝え、騎士団を結成して功を立てる事で国王から認められようとした。しかし、結局は国王は王位を引き継がせようとしているのは自分の子供である「第二王子」であり、ナオの事よりも彼と王妃を優先する。
「このまま時が経過すれば国王は間違いなく第二王子を王太子と認め、この王国はあの王妃の手によって狂わされるわ。それを阻止するためには貴女が王太子と認めさせるしかないのよ?」
「ですが、父上は……」
「貴女も分かっているのでしょう?このままどれだけ騎士団を動かして功を立てようと、王妃の正体を伝えても国王は貴女を認めはしない……ここで覚悟を決めなさい。例え、養父と対立するような事態に陥ろうとも国王の座を手に入れる事を」
「そのために……貴女に協力を頼めというのですか?」
「それが貴方の妹と……義弟を守る唯一の道よ」
マリアの言葉にナオは二人の妹の事を思い出し、そして義理の弟であるレナを見る。ここでマリアの提案を受け入れなければナオは養父に認められるように足掻くしかなく、間違いなく王妃の手によって消されてしまうだろう。だが、ここでマリアの手を取れば養父と対立する事になっても自分の大切な妹と義弟は守ることが出来る。最早、選択肢は1つしか存在せず、ナオは決意を固めたように頷く。
「私は……王を目指します」
「レナ……一つだけ聞かせてちょうだい。貴方はこの国の王様になりたいと考えた事はある?貴方が本気で国王になりたいと考えているのなら、私は貴方を支援するわよ」
「え、嫌だよ。そんな面倒臭そうなの……そういうのはナオに任せる」
『えっ』
「でしょうね」
レナの返答にその場の全員が呆気にとられるが、彼の答えを聞いてマリアは安心したように溜息を吐き、レナならば彼女の質問を断ると確信していた。だが、他の人間が慌ててレナに問い質す。
「ちょ、ちょっと待てよレナ!!お前、面倒って……王様だぞ?王様になれるんだぞ!?」
「そうだぞレナ、もしかして私に気を遣っているのか?それなら……」
「いやいや、別にそういうのじゃないから。というか、王様なんて面倒そうだし、責任感が大きそうだから嫌だよ」
「そんな事で諦めるのっ!?」
「そんな事で諦めるよ。俺は王様なんか目指さない」
今更自分の正体を晒し、王位を狙うなどレナは考えるはずがなく、そんな事をしてしまったらこれまでの行為が水の泡となる。彼の目的は国王として王国を支配する事ではなく、あくまでも普通の生活を送りたいだけなのだ。最も現在の生活も普通とは言い難いが、それでも仲間に囲まれて暮らす生活を満喫している。
だが、ここでレナが王位を継承するために世間に自分の正体を晒せば当然だが彼の周囲の人間も問題に巻き込んでしまう。まずはこれまで以上に命を狙われるのは間違いなく、王国側の人間も彼を放置するはずがない。そうなれば平穏な生活など望めるはずがなく、そんな事態に陥るならば正体を隠して生きる生活を選ぶ。
例えば野球を知らない人間にプロ野球選手になれる好機を与えられたとしても、大抵の人間はそんな好機を受け入れるはずがないだろう。仮にプロ野球選手になれたとしても野球も知らない自分が上手くやり続けられるのか不安を抱き、取り返しのつかない失敗を行うのではないかと考える。普通の人間には訪れない絶対に訪れない絶好の機会なのかもしれなくとも、レナにとっては国王という称号は何の価値もない。
「俺は今まで通りに皆と一緒に居る方がいいよ。そもそも国王なんてなっても何の教育も受けていない俺が国を支えるなんて出来ないしね」
「だけど、本当ならお前が王様になるはずだったんだぞ?悔しく……いや、納得できるのか?他の人間が自分を差し置いて国を受け継ぐなんて……」
「いや、全然?むしろ、国王になる方が大変そうだよ。だって今の国王は全然羨ましいとは思えないし……」
「ふふっ」
レナの言葉にマリアが笑い声を抑えきれず、確かに現在の国王の立場を知っている人間からすれば誰も彼の地位を羨む者はいないだろう。王妃の傀儡人形として彼女の支持されるがままにしか行動できず、自分の愛していた妻からは息子を見捨てた事で痛めつけられ、数多くの人間に見放されている。彼が「国王」という立場でなければここまでの事態には陥らなかっただろう。
「俺は王位なんて興味ないし、そのハヅキ家という人達にも利用されるのは御免だよ」
「レナ……」
「よく言ったわ。それでこそ姉さんの子供よ」
マリアはレナの言葉を聞いて満足そうに頷き、彼の身体を抱き締める。姉の元を離れても国王の座に興味を抱くような人間に育って居なかった事に彼女は安堵し、同時に自分も覚悟を決める事にした。
「ナオ、聞いての通りよ。レナは王位を引き継ぐつもりがない以上、貴女がこの国を引き継ぎなさい」
「そ、それは……ですが、父上は私の事を……」
「いい加減に目を覚ましなさい。何時までも養父に気遣っていたらこの国は王妃に奪われるわよ」
「くっ……!!」
ナオは自分の養父であり、レナの実父である「バルトロス国王」の事を内心は未だに慕っていた。実際に先王が死去した後に自分と2人の妹を引き取り、何不自由のない生活を送らせていたのだ。しかし、王妃が子供を出産してから関係がおかしくなり、お互いが避けるようになった。
それでもナオは心の何処かで養父である国王との関係を修復出来ないのかと考えており、何度も王妃の危険性を伝え、騎士団を結成して功を立てる事で国王から認められようとした。しかし、結局は国王は王位を引き継がせようとしているのは自分の子供である「第二王子」であり、ナオの事よりも彼と王妃を優先する。
「このまま時が経過すれば国王は間違いなく第二王子を王太子と認め、この王国はあの王妃の手によって狂わされるわ。それを阻止するためには貴女が王太子と認めさせるしかないのよ?」
「ですが、父上は……」
「貴女も分かっているのでしょう?このままどれだけ騎士団を動かして功を立てようと、王妃の正体を伝えても国王は貴女を認めはしない……ここで覚悟を決めなさい。例え、養父と対立するような事態に陥ろうとも国王の座を手に入れる事を」
「そのために……貴女に協力を頼めというのですか?」
「それが貴方の妹と……義弟を守る唯一の道よ」
マリアの言葉にナオは二人の妹の事を思い出し、そして義理の弟であるレナを見る。ここでマリアの提案を受け入れなければナオは養父に認められるように足掻くしかなく、間違いなく王妃の手によって消されてしまうだろう。だが、ここでマリアの手を取れば養父と対立する事になっても自分の大切な妹と義弟は守ることが出来る。最早、選択肢は1つしか存在せず、ナオは決意を固めたように頷く。
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