不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
173 / 2,091
剣鬼 闘技祭準備編

思わぬ遭遇

しおりを挟む
氷雨のギルドに帰還を果たしたレナ達を最初に出迎えたのは途中で別れたゴンゾウとウルであり、二人(正確には1人と1匹)はギルドの正門で3人と合流する。


「おお、無事だったのか」
「ウォンッ!!」
「わわっ……よしよし」
「ゴンゾウもウル君も無事だったのね」
「クゥンッ」


レナの元にウルが飛びつき、大きな顔をレナの胸に押し付ける。その間にシズネはゴンゾウの元に向かい、怪我無い事を確認すると安心した表情を抱く。その一方でナオはウルの背中をさすり、改めて立派に成長した彼に驚く。


「これが……ウルなのか?さっきは慌てていたから気にしてなかったが、また大きくなったんじゃないか?」
「ウォンッ!!」
「そうかな?ずっと一緒に居るから気付かなかったけど……」
「明らかに普通の狼の大きさじゃないわよ……流石は白狼種ね」


ウルも森を抜け出した頃から成長しており、今では普通の馬よりも一回りは大きい。その分に餌の量も多くなったが、どうしてもお腹が減ったときは自分で狩猟に出向いて餌をとってくるので面倒は掛からない。


「何だかウルと会うのも久しぶりな気がするな……さっき別れたばかりなのに」
「クゥ~ンッ……?」
「訳の分からないことを言うんじゃないわよ。ウル君が戸惑っているでしょう?」
「というか、シズネはウル達を君付けで呼ぶよね。俺達は呼び捨てなのに……」
「い、いいでしょ別に……私の勝手よ」


レナの指摘にシズネは頬を赤くして顔を反らし、動物好きなのか彼女はウル達と接触するときは言葉使いも優しくなる。じゃれついてくるウルを宥めながらレナはナオに今後の行動を問い質す。


「ナオはこの後はどうするの?俺達と一緒に行動する?」
「いや……私は一度戻る。色々と準備も必要だからな……レナも気を付けろ」
「でも、危なくない?王妃に命を狙われたら……」
「大丈夫だ。私にも信頼出来る配下がいるからな、だが、近いうちに拠点を変える必要はあるだろうが……」
「気を付けてね。一緒に行けたらいいのに……」
「お前も狙われている立場だからな。これ以上に一緒に行動するのは危険すぎる……しっかりと私の弟を守るんだぞ」
「ウォンッ!!」
「いい返事だ。では、また会おう!!」


ナオは最後にウルの頭を撫でると、そのまま馬に乗り込み、最後にレナ達に別れの挨拶を告げて走り去る。彼女を見送るとレナはゴンゾウに振り返り、彼にも一応は今後の話を行う。


「そういえばゴンちゃんはいなかったから何か起きているか分からないよね。えっと、何処から話せばいいかな」
「その辺の説明は私がしておくわ。貴方は先に叔母様に顔を出して安心させなさいよ……心配する家族が居るのは羨ましいわ」
「え?」
「何でもないわ。ほら、ウル君も何時までもじゃれてないで付いてきなさい」
「ウォンッ?」


シズネはゴンゾウとウルを連れてその場から離れ、取り残されたレナは彼女の最後の言葉にシズネが実の父親と母親を失い、親戚から追い出された事を思い出す。彼女と比べれば自分の境遇など恵まれていた方であり、少なくとも家から抜け出してもレナにはアイリスという存在が居たので彼は孤独を味わった事はない。


「シズネにも色々あるんだよな……敵討ちか」


彼女が闘技祭を参加する理由は「ゴウライ」を打ち倒すためであり、父親の仇に等しい彼を倒すためにシズネはこれまで腕を磨いてきた。それでも彼女の力だけではゴウライには及ばず、だからこそレナを相棒と決めて共に闘技祭に出場する事を約束した。

しかし、レナはそのゴウライが所属している冒険者ギルドに厄介になっており、彼女も色々と思う事があるのかもしれない。闘技祭で二人は出場し、ゴウライを倒すという目的は見失ってはいないが、レナにとっては叔母の配下の人間を打ち倒す作業を手伝う事になる。


「う~ん……その辺も相談してみるか」


ゴウライといシズネの関係に関してはマリアにも話す必要があり、一先ずはマリアの元へ赴こうとした時、背後から思いもがけぬ女性の声が掛けられた。


「……そこに居るのはもしかしてドルトン商会の……ルナさんですか?」
「えっ……あっ」


レナが振り返ると、そこには氷雨のギルドに所属する「剣聖」の一角である「ジャンヌ」が立っていた。彼女は何処かで鍛錬でもしていたのか身体に汗を流しており、現在は銀髪に染めているレナを見て驚いた表情を浮かべる。


(あ、そうか。叔母様はこの子には事情を話してないのか)


ドルトン紹介の代表選手である「白銀のルナ」の正体を知っているのは限られており、ジャンヌはルナの正体がレナであることは知らず、それだけにギルドの建物の前に彼が居る事に驚いていた。そんなジャンヌにレナはどのように話しかければいいのか悩み、不意に彼女が背中に所持している武器が視界に入り、以前にレナと手合せした時とは違う形状の剣を所持している事に気付く。
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。