不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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剣鬼 闘技祭準備編

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『しまった……盲点でしたね。確かにこの世界には変装や擬態のスキルも存在しますから影武者を作り出すなんて朝飯前でしたね』
『俺もスラミンやヒトミンを利用して変装してここまで来たからね。そう考えると親父も第二王子も誘拐しても仕方ないか……』
『しょうがありません。それなら危険ですが……ここは王妃の方を誘拐しましょう』
『そっちの方が危険じゃない?』


確かに王妃を誘拐すれば影武者を用意出来るはずがない。しかし、王妃には必ず国王や第二王子以上の護衛が存在する事は間違いなく、この二人を誘拐するよりも難易度が高い。それに王妃を捕まえた所で事態はどう動くのか予想出来ず、闘技祭その物が中止されるかも知れない。


『まあ、流石に王妃が誘拐されたらあの国王も黙っていないでしょうね。王妃の派閥の人間も動くだろうし、そう簡単にはいきません』
『だろうね。でも、それ以外に王妃の企みを阻止できる方法はないんじゃない?』
『いえ、ありますよ。誘拐は無理でも王妃自身を闘技祭に参加させないようにするんです』
『……どうやって?』


アイリスの言葉にレナは不思議に思い、誘拐以外の方法でどのように王妃を止めるのかと問いただすと、彼女は突拍子もない返答を行う。


『毒です。王妃に毒を仕込みましょう』
『ええっ……』
『まあ、こちらの方が誘拐よりも難しくはないでしょうね』
『いやいやいや……どうやって毒を仕込むんだよ』


毒という不穏な単語が出てきたことにレナは呆れるが、アイリスによると最も成功確率が高い作戦らしい。


『王妃は常に自分の信頼する護衛を付けています。その中には男性もいますが、全員が10代の人間なんです』
『10代……?それがどうかしたの?』
『只の王妃の趣味ですよ。年老いたおっさんよりも若い男の子が好きなんです』
『えええっ……!?』


予想外の言葉にレナは動揺を隠せず、ここにきて王妃の男性の好みが10代の男子だと判明し、どのように反応すればいいのか分からない。


『まあ、それ以外にも一応は理由はあります。この子供達は王妃が育てている騎士達なんです。だいたい7、8歳の頃から面倒を見ている子供達で全員が王妃と協力関係を築いている貴族の跡取りです。ぶっちゃければ人質の役割もありますね』
『人質?』
『自分の身に何かあったらこの子達も無事では済まないぞと暗に知らせているんです。王妃は約10年前からこの子供達を育て上げています。レナさんが私の指導を受けていたように王妃が指導を行い、将来は将軍職に就かせる予定です』
『なるほど、そういう事か。それなら納得した』


王妃が本当に少年趣味があるのかと思ったレナは納得し、アイリスの作戦はこの幼い護衛の騎士達を利用して王妃の元へ潜り込む作戦を立てる。


『この少年たちは基本的に常に王妃の傍に仕えています。その中の一人をどうにか拉致して入れ替わって下さい。前にもカラドボルグを奪ったときにも変装はした事があるでしょう?』
『あの時みたいに忍びこめという事か。上手くいくかな……』
『重要なのは今回は王妃の食事に毒を仕込むという事です。勿論、殺さない程度の毒を仕込みます。闘技祭の開催中は王妃にはトイレに入り浸って貰いましょう』
『毒って下剤!?』
『強力な毒だと王妃の命が危ないし、だからと言って弱い毒だと簡単に薬の類で解毒されます。だから遅効性で尚且つに気付かれにくい毒を仕込みます。他の人間からは病気の類だと勘違いされる毒が必要になりますね』
『なんか、悪人らしい考え方だな……』


毒で王妃の行動を阻止するという作戦にレナは気乗りしないが、他に手立てはない。重要なのは王妃の企みを中止する必要があり、レナは交信を終えて現実世界に戻る。


「ふうっ……エリナ、悪いけどナオの元まで案内してくれない?」
「え?もう行っちゃうんですか?ティナ王女が会いたがってるんですけど……」
「用事が出来たから急いで戻らないといけない。案内して」
「うぃっす!!」


ナオとシズネが待機している別室までエリナに案内して貰い、まずは二人と合流して氷雨のギルドに戻り、王妃に毒を仕込む作戦は後でアイリスと話し合う事を決めた――








――結果的には今回の話し合いは無事に成功に終わり、ナオはヨツバ王国の協力関係を築くことが出来た。王妃が唐突に宿屋に訪れたのは驚いたが、どうにか存在は気付かれずに済んだか、あるいは見逃されたのかは不明だが、ヨツバ王国がナオを支援する取引を結ぶ事には成功する。

しかし、これからの問題も山積みであり、ギルドに戻って早々にレナはマリアのいるギルド長室に向かう。彼女には話しておかなければならない事があり、そして王妃に近づくにはマリアの力も必要不可欠だった。




※だんだんと物語が進んできました。ここからどの程度まで続くのかは作者自身も分かりませんが、一応は王妃との決着まで描きたいと思っています。
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