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闘技祭 決戦編
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――翌朝、身支度を整えた闘技祭の参加者はギルドの前に集まり、大勢の人間に見送られながら馬車に乗り込む。白銀の剣士「ルナ」に変装したレナは馬車に乗り込む前にウルと別れを告げる。
「元気でなウル……あんまりギルドの皆を困らせたら駄目だぞ」
「クゥ~ンッ……」
「今生の別れじゃないんだからいい加減に離れなさいよ……」
「ウルとスラミンとヒトミンは私が面倒を見る……安心して暴れてきて」
寂しそうに胸元に顔を摺り寄せるウルをレナは宥め、彼の世話はギルドに残るコトミン達に任せる。流石に闘技場にウル達を連れ込む事は難しく、魔獣達は安全なギルドに預けるしかない。
「まあ、頑張りな。あんた等なら大丈夫だとは思うけど、せいぜい気を付けるんだね」
「バルも出たら良かったのに」
「あたしが現役だったら参加してただろうけど、今の腕じゃせいぜい予選止まりさ。それにこの怪我じゃね……」
「というか、どうしたのそれ?」
見送りには黒虎のギルドマスターのバルの姿もあり、何故か彼女は左腕にギブスを付けた状態で現れる。レナが回復魔法を施そうとしても断わり、試合前に余計な魔力の消費を抑えるように告げる。
「まあ、試合に出る以上は王妃の動向には気をつけな。大会の運営を行っているのは王国である以上、どんな卑怯な手を使うか分かったもんじゃないからね」
「それはどうかしら。今回の大会は世界各国の武芸者も参加しているのよ。あまりに不正行為を行うと他の国の非難を浴びるわ。だけど、油断しないで行動する事は悪い事ではないわ」
「叔母様も出ればいいのに」
「私が出たら闘技場その物がなくなるわよ?」
「それは不味いな……」
マリアが出場すれば彼女の最上級魔法でどんな相手も打ち倒せるだろうが、闘技祭は表向きは武芸大会であり、魔術師の参加は禁止されていないが参加者の殆どは武芸者を占めている。最もレナのように魔術師の職業の人間も少なからず参加しているという。
「おい、坊主!!そろそろ行くぞ!!皆乗り込んだぞ!!」
「あ、はい。それじゃあ、行ってくるよ」
「頑張ってこい」
「負けるなよ!!」
「んっ」
ゴンゾウが拳を突き出し、ダインが腕を捲り、コトミンが右手を振る。そんな彼等にレナは笑いかけ、退魔刀と反鏡剣を身に付けて馬車に乗り込む。既に大会の参加者は集まっており、剣聖組も座り込んでいた。
『がはははっ!!試合が楽しみだな!!なあ、ジャンヌよ!!』
「え、ええ……そうですね」
「ちっ……てめえだけは俺がぶっ倒す」
「……静かにしろ」
ハヤテを除く4人の剣聖が横一列に並び、闘技場に辿り着く前に精神統一を行ったり、あるいは子供のようにはしゃいだり、剣を磨く。そんな彼等の様子をみながらもレナは一人だけ馬車の隅で瞼を閉じたまま座り込むロウガに視線を向ける。
――今回の大会にはロウガも参加する。マリアとしてはレナの命を二度も狙った彼を許す事は出来ないが、レナが彼女に頼み込んでロウガの謹慎処分を解いてもらう。マリアはロウガを許す事に不満を抱いたが、王妃に対抗するためには剣聖である彼を失うのはギルド側としても損失は大きく、結局は他の剣聖の監視の元で闘技祭の参加が許された。
「おい、ロウガ!!もう坊主に手を出すんじゃねえぞ。嬢ちゃんからの命令だ」
「分かっている……むしろ、貴様の方こそ大丈夫なのか?二度もそこの少年に負けているんだろう?」
「はっ!!最後に俺が勝てばいいんだよ。何度負けようと最後に勝てば俺の強さが証明されるからな」
「…………」
シュンがロウガに釘を差すと、彼は睨みつけるが特に何も言わず、黙って瞼を閉じる。そんな彼の行動に剣聖ではないが大会の参加者であるミナが恐る恐るレナに顔を近づけて尋ねる。
「ね、ねえ……レナ君。ロウガさんと何かあったの?」
「色々とあったんだよ。詳しい事は後で話すよ」
「う、うん……」
「…………」
ミナとレナの間にはシズネが黙ってゴウライに視線を向けながら座り込み、その瞳には明らかな敵意が混じっていた。王妃の元を離れたとはいえ、シズネの目標はゴウライである事に変わりはなく、彼女が剣の道を選んだのはゴウライに打たれた父の無念を晴らすためであり、今もその気持ちは変わらない。
『ん?どうした小娘よ。吾輩の顔に何か付いているか?』
「付いてるわよ……その悪趣味な兜が」
『がはははっ!!これは一本取られたな!!』
「何がそんなに面白いんだよ……たいして上手くねえだろ」
シズネの皮肉に対してもゴウライは豪快な笑い声を返し、その余裕の態度にシズネは余計に苛立つが、冷静さを取り戻すために顔を反らす。
「……そういえばガロ君はいないの?絶対に大会に出るとか言ってたけど」
馬車の中にガロが存在しない事に気付き、レナは首を傾げる。彼はレナが滞在している間、顔を合わせる度に必ず「大会でぶちのめしてやる!!」と告げていたのだが、参加者全員が集められた馬車の中に姿が見えない事に疑問を抱く。
「あ~……あの馬鹿か。あいつ、最後の試合で負けて今は医療室で寝てるよ」
「え?そうなんですか?」
「う、うん……あと一人勝てば試合出場だったんだけどね、よりにもよって戦った相手がその……巨人族のダイゴという人だったの」
「あ~……あいつか」
シュンとミナによるとよりにもよってガロの対戦相手はレナが闘技場で戦った巨人族のなかでも一際体格が大きい巨人の剣士の「ダイゴ」と戦ったらしく、奮闘虚しく破れたという。同時に巨人族のダイゴも闘技祭に参加する事が確定したらしく、試合の組み合わせによってはレナとの再戦もあり得た。
「元気でなウル……あんまりギルドの皆を困らせたら駄目だぞ」
「クゥ~ンッ……」
「今生の別れじゃないんだからいい加減に離れなさいよ……」
「ウルとスラミンとヒトミンは私が面倒を見る……安心して暴れてきて」
寂しそうに胸元に顔を摺り寄せるウルをレナは宥め、彼の世話はギルドに残るコトミン達に任せる。流石に闘技場にウル達を連れ込む事は難しく、魔獣達は安全なギルドに預けるしかない。
「まあ、頑張りな。あんた等なら大丈夫だとは思うけど、せいぜい気を付けるんだね」
「バルも出たら良かったのに」
「あたしが現役だったら参加してただろうけど、今の腕じゃせいぜい予選止まりさ。それにこの怪我じゃね……」
「というか、どうしたのそれ?」
見送りには黒虎のギルドマスターのバルの姿もあり、何故か彼女は左腕にギブスを付けた状態で現れる。レナが回復魔法を施そうとしても断わり、試合前に余計な魔力の消費を抑えるように告げる。
「まあ、試合に出る以上は王妃の動向には気をつけな。大会の運営を行っているのは王国である以上、どんな卑怯な手を使うか分かったもんじゃないからね」
「それはどうかしら。今回の大会は世界各国の武芸者も参加しているのよ。あまりに不正行為を行うと他の国の非難を浴びるわ。だけど、油断しないで行動する事は悪い事ではないわ」
「叔母様も出ればいいのに」
「私が出たら闘技場その物がなくなるわよ?」
「それは不味いな……」
マリアが出場すれば彼女の最上級魔法でどんな相手も打ち倒せるだろうが、闘技祭は表向きは武芸大会であり、魔術師の参加は禁止されていないが参加者の殆どは武芸者を占めている。最もレナのように魔術師の職業の人間も少なからず参加しているという。
「おい、坊主!!そろそろ行くぞ!!皆乗り込んだぞ!!」
「あ、はい。それじゃあ、行ってくるよ」
「頑張ってこい」
「負けるなよ!!」
「んっ」
ゴンゾウが拳を突き出し、ダインが腕を捲り、コトミンが右手を振る。そんな彼等にレナは笑いかけ、退魔刀と反鏡剣を身に付けて馬車に乗り込む。既に大会の参加者は集まっており、剣聖組も座り込んでいた。
『がはははっ!!試合が楽しみだな!!なあ、ジャンヌよ!!』
「え、ええ……そうですね」
「ちっ……てめえだけは俺がぶっ倒す」
「……静かにしろ」
ハヤテを除く4人の剣聖が横一列に並び、闘技場に辿り着く前に精神統一を行ったり、あるいは子供のようにはしゃいだり、剣を磨く。そんな彼等の様子をみながらもレナは一人だけ馬車の隅で瞼を閉じたまま座り込むロウガに視線を向ける。
――今回の大会にはロウガも参加する。マリアとしてはレナの命を二度も狙った彼を許す事は出来ないが、レナが彼女に頼み込んでロウガの謹慎処分を解いてもらう。マリアはロウガを許す事に不満を抱いたが、王妃に対抗するためには剣聖である彼を失うのはギルド側としても損失は大きく、結局は他の剣聖の監視の元で闘技祭の参加が許された。
「おい、ロウガ!!もう坊主に手を出すんじゃねえぞ。嬢ちゃんからの命令だ」
「分かっている……むしろ、貴様の方こそ大丈夫なのか?二度もそこの少年に負けているんだろう?」
「はっ!!最後に俺が勝てばいいんだよ。何度負けようと最後に勝てば俺の強さが証明されるからな」
「…………」
シュンがロウガに釘を差すと、彼は睨みつけるが特に何も言わず、黙って瞼を閉じる。そんな彼の行動に剣聖ではないが大会の参加者であるミナが恐る恐るレナに顔を近づけて尋ねる。
「ね、ねえ……レナ君。ロウガさんと何かあったの?」
「色々とあったんだよ。詳しい事は後で話すよ」
「う、うん……」
「…………」
ミナとレナの間にはシズネが黙ってゴウライに視線を向けながら座り込み、その瞳には明らかな敵意が混じっていた。王妃の元を離れたとはいえ、シズネの目標はゴウライである事に変わりはなく、彼女が剣の道を選んだのはゴウライに打たれた父の無念を晴らすためであり、今もその気持ちは変わらない。
『ん?どうした小娘よ。吾輩の顔に何か付いているか?』
「付いてるわよ……その悪趣味な兜が」
『がはははっ!!これは一本取られたな!!』
「何がそんなに面白いんだよ……たいして上手くねえだろ」
シズネの皮肉に対してもゴウライは豪快な笑い声を返し、その余裕の態度にシズネは余計に苛立つが、冷静さを取り戻すために顔を反らす。
「……そういえばガロ君はいないの?絶対に大会に出るとか言ってたけど」
馬車の中にガロが存在しない事に気付き、レナは首を傾げる。彼はレナが滞在している間、顔を合わせる度に必ず「大会でぶちのめしてやる!!」と告げていたのだが、参加者全員が集められた馬車の中に姿が見えない事に疑問を抱く。
「あ~……あの馬鹿か。あいつ、最後の試合で負けて今は医療室で寝てるよ」
「え?そうなんですか?」
「う、うん……あと一人勝てば試合出場だったんだけどね、よりにもよって戦った相手がその……巨人族のダイゴという人だったの」
「あ~……あいつか」
シュンとミナによるとよりにもよってガロの対戦相手はレナが闘技場で戦った巨人族のなかでも一際体格が大きい巨人の剣士の「ダイゴ」と戦ったらしく、奮闘虚しく破れたという。同時に巨人族のダイゴも闘技祭に参加する事が確定したらしく、試合の組み合わせによってはレナとの再戦もあり得た。
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