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闘技祭 決戦編
閑話 〈大会前夜〉
――風呂場から上がった後、レナはギルド内に存在する客室にて仲間達と向き合う。明日の朝から闘技祭が始まるのだが、大会に出場するのはレナとシズネだけである。
「ゴンちゃんは結局大会には出ないんだ」
「ああ、人前で戦うのは苦手だからな」
「本当に勿体ないわね……貴方程の力があれば大会でも良い所まで勝ち残るのと思うのに」
「ダインは出場しないの?」
「何でだよ!?僕は魔術師なんだぞ!?」
「でも、影魔法って対人戦では結構強力じゃないの?」
「相手が聖属性の魔法を覚えていなければな……よし、一抜けた!!」
「むうっ……」
机の上にはトランプが並べられており、スラミンとヒトミンも加えて全員がババ抜きを行っていた。部屋の窓には身体を丸めて眠っているウルの姿もあり、流石に彼は部屋の中には入れられないので裏庭で待機させている。
「ぷるぷるっ」
「……これが正解。スラミンは表情に出やすいからトランプは弱い」
「ぷるるんっ……」
スラミンが触手で抱えているカードの中から当たりを引き抜き、ダインに続いてコトミンが抜ける。その様子を見守りながらレナは自分のカードを確認し、ババが存在するのを気付かれないようにしながらスラミンに差し出す。
「ぷるんっ!!」
「残念、外れ」
「ぷるぷるっ……」
「スラミンはトランプは弱い……他のゲームだと凄く強いのに」
「ヒトミンの方が割とポーカーフェイスだから強いよね」
「ぷるるんっ」
ヒトミンからカードを引き抜いたレナは重なった数字のカードを机に置くと、続いてヒトミンがシズネと向き合い、彼女のカードを引き抜いて嬉し気に跳ね回る。
「ぷるぷるっ♪」
「あら、先に抜かれたわね。でも、これで私も終わりよ」
「ぬうっ……」
ゴンゾウから自分の目当てのカードを抜き取ったシズネは笑顔を浮かべ、ゴンゾウは自分が最も多くのカードを持っている事に眉を顰める。
「ところでさ……ひとつ気になったんだけど、レナはルナとして大会に参加するわけだろ?」
「そうだよ」
「でもさ、もうお前の正体って例の王妃に知られてるんだろ?変装してもあんまり意味ないんじゃないの?」
「いや、ルナとして参加しないと参加資格失われるから」
「あ、そうか……闘技場で勝ち上がったのはあくまでもルナなのか」
レナが変装する理由は世間一般ではドルトン商会の代表選手として知られており、レナとして出場する場合は正体を晒すか、あるいはレナの状態で闘技場を勝ち残らなければならない。しかし、レナの正体を晒すと色々と問題があり、国王も流石に彼の存在に気付く可能性も高い。だからといってわざわざ闘技場で危険を犯して試合を勝ち進む必要性も感じられず、レナはあくまでもルナとして参加するつもりだった。
「私も聞きたいことがある。シズネ、あの綺麗な剣はどうしたの?寝ているときに抱き締めると涼しいから気に入っていたのに」
「貴女ね……雪月花を抱き枕代わりにしないでちょうだい。だいたい剣を抱き締めて寝るなんて危ないわよ」
「そういえば俺も気になっていた。あの魔剣はどうしたんだ?」
シズネが雪月花を王妃に返却した件を知っているのはマリアとレナだけであり、他の人間には話していない。シズネは困った表情を浮かべ、どのように説明するか悩む。
「……本当の持ち主の所に返しただけよ」
「え?持ち主って……あれってお前の魔剣じゃなかったの?」
「まあ、そう事になるわね」
ダインが驚いた声を上げ、シズネは少し寂しそうに自分の腰元に視線を向けるが、雪月花は元々は王妃から与えられた代物である。だから彼女の元から離れる際、王妃に返却する事で筋は通す。
「そういえば氷雨のギルドで出場する冒険者ってどれくらいいるんだ?剣聖は全員参加するんだろ?」
「えっとね……剣聖を除けばミナとハンゾウと……それから何人か参加するみたい」
「呼んだでござるか?」
「うわぁっ!?何時から天井に居た!?」
ハンゾウの名前を口にした瞬間、天井から彼女が姿を現し、驚いたダインが椅子から転げ落ちる。彼女は床に降り立つと、床に落ちたダインに手を差し出す。
「驚かせてしまって申し訳ないでござる。仕事柄、どうにも他人の部屋に入るときは忍び込む癖があって……」
「お前な……次からは普通に扉を開けて入ってこいよ!!」
「まあまあ、それよりどうしたのハンゾウ?何か用事?」
「マリア殿からお茶菓子を持っていくように言われて用意してきたでござる。それと、あまり夜更しないように注意するようにとも言付かっているでござる」
「おお、叔母様も気が利くな~」
「ていうか、食べ物を持ってきたんなら尚更普通に入ってこいよ……埃とかついてないだろうな」
「失礼な!!こういう事態も考えて天井は常に掃除しているでござる!!」
「いや、お前が普通に持ってくればいいだけだよね!?」
「あははははっ」
言い争うダインとハンゾウを見ながら全員が笑い声をあげ、明日から闘技祭が始まるにも関わらず、レナ達は平穏な時間を過ごした――
※次回から闘技祭が開催されます。
「ゴンちゃんは結局大会には出ないんだ」
「ああ、人前で戦うのは苦手だからな」
「本当に勿体ないわね……貴方程の力があれば大会でも良い所まで勝ち残るのと思うのに」
「ダインは出場しないの?」
「何でだよ!?僕は魔術師なんだぞ!?」
「でも、影魔法って対人戦では結構強力じゃないの?」
「相手が聖属性の魔法を覚えていなければな……よし、一抜けた!!」
「むうっ……」
机の上にはトランプが並べられており、スラミンとヒトミンも加えて全員がババ抜きを行っていた。部屋の窓には身体を丸めて眠っているウルの姿もあり、流石に彼は部屋の中には入れられないので裏庭で待機させている。
「ぷるぷるっ」
「……これが正解。スラミンは表情に出やすいからトランプは弱い」
「ぷるるんっ……」
スラミンが触手で抱えているカードの中から当たりを引き抜き、ダインに続いてコトミンが抜ける。その様子を見守りながらレナは自分のカードを確認し、ババが存在するのを気付かれないようにしながらスラミンに差し出す。
「ぷるんっ!!」
「残念、外れ」
「ぷるぷるっ……」
「スラミンはトランプは弱い……他のゲームだと凄く強いのに」
「ヒトミンの方が割とポーカーフェイスだから強いよね」
「ぷるるんっ」
ヒトミンからカードを引き抜いたレナは重なった数字のカードを机に置くと、続いてヒトミンがシズネと向き合い、彼女のカードを引き抜いて嬉し気に跳ね回る。
「ぷるぷるっ♪」
「あら、先に抜かれたわね。でも、これで私も終わりよ」
「ぬうっ……」
ゴンゾウから自分の目当てのカードを抜き取ったシズネは笑顔を浮かべ、ゴンゾウは自分が最も多くのカードを持っている事に眉を顰める。
「ところでさ……ひとつ気になったんだけど、レナはルナとして大会に参加するわけだろ?」
「そうだよ」
「でもさ、もうお前の正体って例の王妃に知られてるんだろ?変装してもあんまり意味ないんじゃないの?」
「いや、ルナとして参加しないと参加資格失われるから」
「あ、そうか……闘技場で勝ち上がったのはあくまでもルナなのか」
レナが変装する理由は世間一般ではドルトン商会の代表選手として知られており、レナとして出場する場合は正体を晒すか、あるいはレナの状態で闘技場を勝ち残らなければならない。しかし、レナの正体を晒すと色々と問題があり、国王も流石に彼の存在に気付く可能性も高い。だからといってわざわざ闘技場で危険を犯して試合を勝ち進む必要性も感じられず、レナはあくまでもルナとして参加するつもりだった。
「私も聞きたいことがある。シズネ、あの綺麗な剣はどうしたの?寝ているときに抱き締めると涼しいから気に入っていたのに」
「貴女ね……雪月花を抱き枕代わりにしないでちょうだい。だいたい剣を抱き締めて寝るなんて危ないわよ」
「そういえば俺も気になっていた。あの魔剣はどうしたんだ?」
シズネが雪月花を王妃に返却した件を知っているのはマリアとレナだけであり、他の人間には話していない。シズネは困った表情を浮かべ、どのように説明するか悩む。
「……本当の持ち主の所に返しただけよ」
「え?持ち主って……あれってお前の魔剣じゃなかったの?」
「まあ、そう事になるわね」
ダインが驚いた声を上げ、シズネは少し寂しそうに自分の腰元に視線を向けるが、雪月花は元々は王妃から与えられた代物である。だから彼女の元から離れる際、王妃に返却する事で筋は通す。
「そういえば氷雨のギルドで出場する冒険者ってどれくらいいるんだ?剣聖は全員参加するんだろ?」
「えっとね……剣聖を除けばミナとハンゾウと……それから何人か参加するみたい」
「呼んだでござるか?」
「うわぁっ!?何時から天井に居た!?」
ハンゾウの名前を口にした瞬間、天井から彼女が姿を現し、驚いたダインが椅子から転げ落ちる。彼女は床に降り立つと、床に落ちたダインに手を差し出す。
「驚かせてしまって申し訳ないでござる。仕事柄、どうにも他人の部屋に入るときは忍び込む癖があって……」
「お前な……次からは普通に扉を開けて入ってこいよ!!」
「まあまあ、それよりどうしたのハンゾウ?何か用事?」
「マリア殿からお茶菓子を持っていくように言われて用意してきたでござる。それと、あまり夜更しないように注意するようにとも言付かっているでござる」
「おお、叔母様も気が利くな~」
「ていうか、食べ物を持ってきたんなら尚更普通に入ってこいよ……埃とかついてないだろうな」
「失礼な!!こういう事態も考えて天井は常に掃除しているでござる!!」
「いや、お前が普通に持ってくればいいだけだよね!?」
「あははははっ」
言い争うダインとハンゾウを見ながら全員が笑い声をあげ、明日から闘技祭が始まるにも関わらず、レナ達は平穏な時間を過ごした――
※次回から闘技祭が開催されます。
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