257 / 2,091
闘技祭 決戦編
ミドルの忠誠
しおりを挟む
『では試合を終えた選手は退場してください。勝敗に関係なく、選手の場合は観客席の中でも特等席を用意しています!!どうぞご堪能ください!!』
「へえ、そんなサービスもあるのか」
「うっ……すいません、肩を貸して貰って……」
「いいって、ついでに武器も直しといたから」
ジャンヌに肩を貸しながらレナは試合場を後にすると、他の2人の選手も闘技場の兵士が運び出す。その光景を見て試合に敗れると兵士に身を任せない事を知り、決して油断できない事をレナは悟る。
(試合が終わっても油断は出来ないな。用心しないと……)
負傷したジャンヌを連れて試合場の北門から通路に出ると、レナの前に少し前に顔を合わせた人物が現れた。
「やあっ」
「あっ……ミドル、さん?」
「さん付けはいらないさ。呼び捨てで構わないよ」
姿を現したのは異様なまでに長い槍を身に付けた大将軍のミドルであり、全長は4メートルは軽く超える槍を掲げながら笑いかける。特に敵意や殺気は感じられないが、試合場で待機せずに通路で待ち構えていた彼にレナは警戒心を抱く。
「どうしてここに?」
「君と少し話をしたかったんだが……その子は友達かい?治療が必要なら治療室に行くといいよ」
「平気です。レナ様から回復魔法を施されているので……」
「無理するなって……」
ジャンヌがミドルの言葉に反応すると、彼は苦笑いを浮かべながら道を開け、槍で行き先を示す。
「この先の通路を真っすぐに行くと上の階段に続くけど、そこには兵士が待機している。途中で別の通路があるからそこから迂回するといいよ」
「……どういう意味ですか?」
「信じられないなら僕の言葉は無視してもいい。だけどね、僕としてはレナ君にはこんな所で試合に出られないようなるのは困るんだよ」
「言っている意味がよく分からないけど?」
ミドルの発言にレナは不思議に思うと、彼は神妙な表情を浮かべ、自分の目的を話す。
「僕はね、ずっと王国に仕えてきたんだよ。もう20年以上もね」
「えっ……ちょっと待ってください。貴方、何歳ですか?」
「今年で42だけど……?」
「いや、外見若すぎでしょ!!」
どう見ても外見は20代半ばにしか見えないにも関わらず、ミドルの実年齢は40才を超えているという話にレナは驚く。そんな彼の言葉にミドルは苦笑いを浮かべ、自分の腕を見つめる。
「僕が大将軍に任命されてから18年……君が生まれる前から僕はこの国を支えてきたんだよ。だけどね、本当の事を言うと僕が忠誠を誓っているのは王国じゃないんだ」
「それは……どういう意味ですか?大将軍が王国に忠誠を誓っていないなんて……」
「レミアが怒りそうな発言ですね」
「レミア君か……彼女は本当に凄いね。僕の年齢の半分も生きていないのに、僕よりも立派な軍人だ」
堂々と王国に忠誠を誓っていないと告げたミドルにジャンヌは戸惑うが、レナは驚かない。最初に会った時からこの人物は油断ならないと剣鬼の本能が告げており、彼が忠誠を誓う人物を問い質す。
「貴方の忠誠を誓っている相手は……王妃ですか?」
「……そうさ、僕はあの方のために生きている。最初に彼女と出会った時から僕の人生は彼女に全てを捧げるためにあると思った」
「えっ……」
ミドルの言葉にジャンヌは目を見開き、その言葉はまるで王妃に忠誠を誓うというよりは彼女に思慕を抱いているようにしか見えなかった。しかし、王妃は形式上は国王の妻であり、彼は自分の恋敵の配下として20年以上も仕えていたことになる。
「ああ、勘違いしないで欲しいだけど僕は別に国王様に不満があるわけじゃない。あの方の事を嫌っているわけじゃないよ。先王の時代から色々と気を配ってくれたからね。それに僕は王妃様と恋仲になりたいわけじゃないんだ……ただ、あの方の傍に何時までも仕えていたい、そう思うんだ」
「そのためにどれだけの人間を苦しめてもいいの?王妃の行動で一体何人の人間が犠牲になった?」
レナは王妃の犯した罪を突きつけると、ミドルも流石に眉を顰めるが、それは王妃の犯した悪行の罪悪感からではなく、彼女の事を侮辱されたと感じたからだ。
「王妃様のお陰でこの国は間違いなくいい方向に進んでいる。多少の犠牲はやむを得ないさ」
「王妃が旧帝国と繋がりを持っていたのは明らかだ。腐敗竜が現れた時、あんた達は何もしなかった。そのせいでどれだけの人間が犠牲になったと思っている?」
「関係ないね」
旧帝国の件を持ち出してもミドルは顔色一つ変えず、二人の横を通り抜ける。そんな彼の態度に怒りを通り越して呆れてしまい、レナは背後を振り返って告げる。
「国よりも……あの王妃を取るのか」
「そうさ。僕にはあの方しかいない、あの方だけなんだ」
ミドルの迷いのない言葉にジャンヌは言葉を失い、レナは溜息を吐いて立ち去ろうとした時、背後からミドルの言葉が響く。
「観客席に向かうなら急いだ方が良い。僕の試合はそれほど長くはかからないからね」
自信満々に答えたミドルに二人は振り返ったが、既に彼は試合場に足を踏み入れ、門の扉が閉じられた――
「へえ、そんなサービスもあるのか」
「うっ……すいません、肩を貸して貰って……」
「いいって、ついでに武器も直しといたから」
ジャンヌに肩を貸しながらレナは試合場を後にすると、他の2人の選手も闘技場の兵士が運び出す。その光景を見て試合に敗れると兵士に身を任せない事を知り、決して油断できない事をレナは悟る。
(試合が終わっても油断は出来ないな。用心しないと……)
負傷したジャンヌを連れて試合場の北門から通路に出ると、レナの前に少し前に顔を合わせた人物が現れた。
「やあっ」
「あっ……ミドル、さん?」
「さん付けはいらないさ。呼び捨てで構わないよ」
姿を現したのは異様なまでに長い槍を身に付けた大将軍のミドルであり、全長は4メートルは軽く超える槍を掲げながら笑いかける。特に敵意や殺気は感じられないが、試合場で待機せずに通路で待ち構えていた彼にレナは警戒心を抱く。
「どうしてここに?」
「君と少し話をしたかったんだが……その子は友達かい?治療が必要なら治療室に行くといいよ」
「平気です。レナ様から回復魔法を施されているので……」
「無理するなって……」
ジャンヌがミドルの言葉に反応すると、彼は苦笑いを浮かべながら道を開け、槍で行き先を示す。
「この先の通路を真っすぐに行くと上の階段に続くけど、そこには兵士が待機している。途中で別の通路があるからそこから迂回するといいよ」
「……どういう意味ですか?」
「信じられないなら僕の言葉は無視してもいい。だけどね、僕としてはレナ君にはこんな所で試合に出られないようなるのは困るんだよ」
「言っている意味がよく分からないけど?」
ミドルの発言にレナは不思議に思うと、彼は神妙な表情を浮かべ、自分の目的を話す。
「僕はね、ずっと王国に仕えてきたんだよ。もう20年以上もね」
「えっ……ちょっと待ってください。貴方、何歳ですか?」
「今年で42だけど……?」
「いや、外見若すぎでしょ!!」
どう見ても外見は20代半ばにしか見えないにも関わらず、ミドルの実年齢は40才を超えているという話にレナは驚く。そんな彼の言葉にミドルは苦笑いを浮かべ、自分の腕を見つめる。
「僕が大将軍に任命されてから18年……君が生まれる前から僕はこの国を支えてきたんだよ。だけどね、本当の事を言うと僕が忠誠を誓っているのは王国じゃないんだ」
「それは……どういう意味ですか?大将軍が王国に忠誠を誓っていないなんて……」
「レミアが怒りそうな発言ですね」
「レミア君か……彼女は本当に凄いね。僕の年齢の半分も生きていないのに、僕よりも立派な軍人だ」
堂々と王国に忠誠を誓っていないと告げたミドルにジャンヌは戸惑うが、レナは驚かない。最初に会った時からこの人物は油断ならないと剣鬼の本能が告げており、彼が忠誠を誓う人物を問い質す。
「貴方の忠誠を誓っている相手は……王妃ですか?」
「……そうさ、僕はあの方のために生きている。最初に彼女と出会った時から僕の人生は彼女に全てを捧げるためにあると思った」
「えっ……」
ミドルの言葉にジャンヌは目を見開き、その言葉はまるで王妃に忠誠を誓うというよりは彼女に思慕を抱いているようにしか見えなかった。しかし、王妃は形式上は国王の妻であり、彼は自分の恋敵の配下として20年以上も仕えていたことになる。
「ああ、勘違いしないで欲しいだけど僕は別に国王様に不満があるわけじゃない。あの方の事を嫌っているわけじゃないよ。先王の時代から色々と気を配ってくれたからね。それに僕は王妃様と恋仲になりたいわけじゃないんだ……ただ、あの方の傍に何時までも仕えていたい、そう思うんだ」
「そのためにどれだけの人間を苦しめてもいいの?王妃の行動で一体何人の人間が犠牲になった?」
レナは王妃の犯した罪を突きつけると、ミドルも流石に眉を顰めるが、それは王妃の犯した悪行の罪悪感からではなく、彼女の事を侮辱されたと感じたからだ。
「王妃様のお陰でこの国は間違いなくいい方向に進んでいる。多少の犠牲はやむを得ないさ」
「王妃が旧帝国と繋がりを持っていたのは明らかだ。腐敗竜が現れた時、あんた達は何もしなかった。そのせいでどれだけの人間が犠牲になったと思っている?」
「関係ないね」
旧帝国の件を持ち出してもミドルは顔色一つ変えず、二人の横を通り抜ける。そんな彼の態度に怒りを通り越して呆れてしまい、レナは背後を振り返って告げる。
「国よりも……あの王妃を取るのか」
「そうさ。僕にはあの方しかいない、あの方だけなんだ」
ミドルの迷いのない言葉にジャンヌは言葉を失い、レナは溜息を吐いて立ち去ろうとした時、背後からミドルの言葉が響く。
「観客席に向かうなら急いだ方が良い。僕の試合はそれほど長くはかからないからね」
自信満々に答えたミドルに二人は振り返ったが、既に彼は試合場に足を踏み入れ、門の扉が閉じられた――
12
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。