不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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闘技祭 決戦編

予選試合 〈休憩〉

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――午前中の予選試合が終了し、1時間の休憩を挟む。多くの観客は食事を行うために闘技場の周囲に建設されている屋台や建物内の食堂に向かい、中には冒険都市に引き返す者も居た。特等席の選手達には希望者には豪勢な食事が用意され、シズネ達は氷雨の冒険者が運んできた食事を行う。


「シズネ、見事な勝利だったぞ」
「そうかしら?私としては恥ずかしい試合を見せてしまったわ……どうも雪月花で無い事を忘れて魔法を使おうとしてしまうわ」
「ああ、だから最後の方は変な動きしてたわけ?距離があるのに剣を突き刺してた時は何してんだろうと思ったけど……」
「うるさいわね……」
「ぷるぷるっ」


観客席にはダインとゴンゾウも降り立ち、ヒトミンを抱えたシズネと机を挟んで座り込む。特等席に残った選手はそれほど多くはなく、剣聖組は全員席を外している。マリアへの報告と闘技場内の調査を行っているらしく、表向きは部外者のシズネ達は休憩を行う。


「あの、シズネ様……試合の関係者以外の御方はこちらの席を使用するのはご遠慮願いたいのですが……」
「む、すまない……」
「いいわよ。別に残っても問題はないでしょう?何か不都合でもあるのかしら?」
「その、他のお客様から抗議が……」
「別に試合は行っていないのだから問題も何もないでしょう。清掃員が働いている姿を楽しめと言うの?」


休憩の間に破損した試合場の修復が行われており、兵士が罅割れた地面を修正していた。シズネが指摘すると注意を行う兵士は苦々し気な表情を浮かべ、黙って引き下がる。その姿を見たゴンゾウは彼等に申し訳なさげに頭を下げた。


「シズネ、やはり俺達は元の席に戻る」
「駄目よ。ここは敵地なのよ?兵士に同情なんかしないで、彼等も王妃の手先なのよ」
「ゴンゾウは優しすぎるんだよな……あれ、そういえばレナとコトミンは?」
「あの二人なら例の彼女の元へ向かっているわよ。スラミン君も一緒にね」
「ああ……あいつか」


シズネの言葉にダインは深いため息を吐き出し、ゴンゾウが黙って彼の肩を叩く、そんな彼の態度にシズネは不思議に思い、落ち込んでいる理由を尋ねる。


「どうしたのよ?あの娘と何かあったの?」
「別にそんなんじゃないけどさ……ほら、今のあいつって外見がさ」
「ああ、確かに驚いたわね。馴れ馴れしく話してきたから変な宗教の勧誘かと思ったわ」
「うむ。あの姿は驚いたな」
「本当、中身がああじゃなければ凄い好みだったのになぁっ……」


溜息を吐きながら机にうつ伏せるダインにシズネは納得し、彼が落ち込んだ理由を悟る。半ば呆れながらも同時に彼に対して同情心も抱き、シズネも黙って肩を撫でる。


「儚い初恋だったわね……」
「いや、別にそんな大層なもんじゃないけどさ……はあ、外見だけは本当に美少女なのにな……」
「何だい?一体何を落ち込んでいるんだい?」


話し込んでいる3人の背後に女性の声が響き、振り返るとそこには黒虎のギルドマスターのバルが存在した。彼女は試合には参加していないはずだが何故か武装しており、背中には大剣が抱えられていた。


「バル!?どうしてここに……それになんだよその恰好」
「何だい、久しぶりに会ったていうのに素っ気ないね。少しは成長したのかい?」
「ば、馬鹿にするなよ!!僕だって強くなったんだ!!この日のために新しい影魔法も覚えたし……」
「あ~はいはい、後でちゃんと話を聞くから今は私の話を聞きな」


ダインの頭を力任せに撫でながらバルは堂々と座り込み、彼女も部外者なので本来ならば特等席に立ち寄る事は禁じられているのだが、本人は気にせずに話しかける。


「試合見てたよ。ジャンヌとロウガと忍者娘の奴は残念だったね、まあとっちも相手が悪かったね」
「レナと大将軍が相手ならな……おっと、今はルナか」
「別に正体を隠す必要なんてあると思わないけどね……まあいい、それより気になるのは王妃の奴だね。てっきり、あたしはこの予選であんた達を同士討ちにさせると思ったのに……結局は戦ったのはレナとジャンヌだけで他の奴等は不自然な程に別々に試合を分けられたね」


バルの言葉にダインとゴンゾウも頷き、彼等は予選試合が乱戦方式で行われると聞いて王妃は氷雨の冒険者がヨツバ王国側の選手を戦わせると思っていた。しかし、結果はレナとジャンヌが同じ試合で戦っただけで他の人間達は今のところは仲間達とは戦っていない。ハンゾウとロウガは同じ試合だったが相手は大将軍のミドルであり、どうしてわざわざ同じ冒険者ギルドに所属する二人を王国側の最大戦力であるミドルと戦わせたのも気にかかる。


「敵の狙いが読めないとこっちも動きにくいね……あの王妃、何を考えているのやら」
「……これはあくまでも私の予測だけど、あの王妃はこの闘技祭に関してはそれほど重要視していないのではないかしら?」
「どういう事だい?」


シズネの発言にバルは驚き、他の二人も彼女の顔を見る。長年の間、王妃と付き合いがあったシズネはこの中では一番の王妃のやり方を把握しており、彼女なりに推察する。
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