不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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闘技祭 決戦編

騎士の意地、将軍の誇り  ※書籍版第二巻の発売決定!!

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「正拳……三連突き!!」
「回し受け」


ゴウは残像が生み出すほどの速度で拳を突き出し、一般人には彼の右腕が3つに増えてリンダに繰り出したように見えた。その攻撃に対してリンダは冷静に両腕を構え、両手で拳を振り払う。


「ぬうっ……やるな!!」
「乱打!!」


今度はリンダが前に出るとボクシングのジャブのように無数の拳をゴウの腹部に叩きつけるが、ゴウはそれを全て受け止め、逆に腹を突き出して跳ね返す。


「ふんっ!!」
「くっ……巨人族の硬化ですか」


巨人族とその血筋を継ぐ人間だけが扱える「硬化」の戦技でゴウはリンダの攻撃を受け、逆に攻撃を仕掛けたリンダが拳に痛みが走る。しかし、それでも彼女は右手を掌底へと変化させ、突き出す。


「発徑!!」
「甘いわっ!!」


再び強烈な衝撃波を肉体の内部から与えようとしたリンダに対し、ゴウは敢えて身体を引いて彼女の突き出した右手を紙一重で躱す。彼女の掌から衝撃波が誕生したが、直撃は避けたゴウは踏み止まり、リンダの頭上に手刀を叩きこむ。


「ぬんっ!!」
「ぐうっ!?」


咄嗟にリンダは両腕を交差してゴウの手刀を受け止めるが、足場が耐えきれずに彼女の両足が沈み、亀裂が生じる。さらにゴウは容赦せずに踵を振り上げ、追撃を加えた。


「踵落とし!!」
「発徑!!」


頭上から接近してきた右足に対し、リンダは両手を突き出して振り落とされた足に対して発徑を放ち、逆にゴウの肉体を吹き飛ばす。しかし、足場が安定していなかったのが原因なのか跳ね返す事が精一杯であり、リンダは左腕を痛めてしまう。


「ぐっ……左腕はやられましたか」
「ぬううっ……右足がいかれたか」


どちらも衝突の際に肉体を負傷する。特に体格に劣るリンダの場合は左腕は間違いなく骨折し、ゴウの場合は右足を酷い打撲を負う。この状態では戦技を発動するのも難しく、二人は緊張した面持ちで向かい合う。


「ふ、ふふっ……ふはははっ!!」
「……何がおかしいのです?」
「いや、すまんな。別に馬鹿にしたわけではない……ただ、これほどまでに儂と渡り合える強者は久しぶりでな」
「そうですか……私も素手でここまで渡り合える人は久しぶりですよ。以前に出会ったS級冒険者以来です」
「なんじゃい、儂が初めてではないのか」


リンダは数十年前、無敗だった自分を打ち破った女性の事を思い出し、同時に最初の試合で見た「仮面剣士」を思い出す。何故かリンダが知っている人物と姿が重なり、同一人物ではないかと考えたが、今は考えずにゴウと向かい合う。


(流石は巨人国の将軍……決勝まで温存したかったのですが、出し惜しみしている場合ではないですね)


向かい合うゴウに対し、リンダはこのまま戦っても敗北すると確信する。理由としては体格に大きな差があり、力も肉体の頑丈さもゴウが遥かに上回る。技量に関しても並の巨人族とは比べ物にならず、本来ならばリンダでは敵わない相手だった。

しかし、常に研鑽を積んで来たリンダは闘技祭の開催前に新たな戦法を編み出しており、肉体の負担が大きいので決勝までは使わないことを決めていたが、ゴウは力を制限して勝てる相手ではないと判断する。彼女は残された右腕を引き、拳を握りしめる。


「ふううっ……」
「ぬっ……!?」


リンダの雰囲気が変化した事に気付き、ゴウは危険を感じ取る。まるで大型の魔獣と相対したような緊張感が身体に走り、ゴウはリンダが何かを仕掛けようとしている事を見抜く。


(面白い!!)


しかし、ゴウは敢えて彼女が何をするのかを確かめるため、自分も両手を重ね合わせる。今は亡き友人に教わった戦技の準備を行い、自身の誇る最高の技で迎え撃つ準備を行う。巨人国の将軍としての誇りが彼を後退させることは許さず、敢えて正面から迎え撃つ準備を整える。


(失敗すれば終わり……ですが!!)
(来るかっ!!)


リンダが目を見開いた瞬間、ゴウは両腕を突き出し、それに合わせるようにリンダも右拳を撃ち抜く。



「徑撃!!」
「金剛撃!!」



――両者の拳が衝突した瞬間、凄まじい衝撃が試合場に伝わり、観衆が悲鳴を上げる。そして試合場ではゴウの巨体が壁際にまで吹き飛び、リンダもその場で跪く。



「ぐおっ……!?」
「がはぁっ!?」


ゴウは全身に強烈な衝撃を浴び、一方でリンダは右腕が複雑骨折してしまう。両者共に普通ならば戦える状態ではないが、それでも同時に起き上がり、お互いに向けて駆け出す。


「ぐっ……おおおおおっ!!」
「はあああああっ!!」


両腕を負傷したリンダは途中で跳躍し、一方でゴウは負傷した左足を引きずりながらも頭部を突き出す。両拳は先ほどの戦闘で砕けてしまい、残された彼の攻撃手段は頭突きしかなかった。


「ぬぅんっ!!」
「輪……脚!!」


頭部を突き出してきたゴウに対し、リンダは空中で回転しながら相手の頭部を回避すると、そのまま後頭部に目掛けて膝を叩きつける。額で攻撃を受け止めるつもりだったゴウは予想外の後頭部からの衝撃に白目を向き、倒れこむ。


「ぐはぁっ……!?」
「はあっ……!!」


試合場の地面にゴウの身体が沈み、その様子を両腕を下ろしたリンダは確認し、荒い息を吐き出す。実力は拮抗しており、正直に言えばリンダの方が分が悪かった。それでも自身の頑丈さを過信したゴウの戦法を逆手に取り、勝利を収める事に成功した。


「……今回は私の勝ちです」
『そ、そこまで!!リンダ選手の勝利です!!激闘を制したのは王国四騎士のリンダ選手です!!』


ラビットが遅れて試合終了を宣言すると、観衆が思い出したように歓声を上げ、それほどまでに緊迫した試合だった






※書籍版の第二巻が5月末に発売決定しました!!

カタナヅキ「いやっふぃいいいいっ!!(*´Д`*)←狂気乱舞」
レナ「いぇ~いっ(´∀`)ノハイタッチ」
アイリス「やりましたね(*´ω`*)ノハイタッチ」


カタナヅキ「無事に二巻が発売できるのは良かったよ」
レナ「本当だよ。ほらアイリス、賭けは俺の勝ちだよ」(´ω`)つ
アイリス「ちぇっ、1巻で作者が逮捕されて打ち切りだと思ったのに」(´・ω・)つ50円
カタナヅキ「いや、不吉な賭け事してんじゃねえよ!!」(#^ω^)


カタナヅキ「第二巻の内容は森を抜け出した後の話になります。それと先に報告しておきますが、結構修正していますのでWEB版とは話の展開が変わっている部分もあります」
レナ「変更点……実はアイリスが天使ではなく悪魔だったり?」
アイリス「なんでやねんっ(関西風ツッコミ)」


カタナヅキ「この巻から登場人物もかなり増えます。それと番外編も収録していますのでWEB版では公開されていない話も入っています」
レナ「この巻では本来出番がないはずのキャラクターも結構出てるよね」
アイリス「WEB版では全く目立たなかったキャラクターも居ますね」


カタナヅキ「そして……今日この日に新作!!ではなく、リメイク作品を投稿しています!!この不遇職の前に書いていた「最強の職業は付与魔術師かも知れない」の完全リメイクです!!タイトルは「魔石の勇者」です!!」
アイリス「最初の展開は「最弱職」と被ってますね。まあ、元々は最弱職の方をリメイク作品として書くつもりだったから仕方ありませんけど」
カタナヅキ「ドキッ(´・ω・)」


カタナヅキ「魔石の勇者はとりあえず「最強の職業は付与魔術師かも知れない」の最初の章までリメイクしています。5月の間は毎日投稿しますのでお楽しみください!!」
レナ「あ、2巻からはコトミンも出るよ(*´ω`*)」
コトミン「いぇいっ(・ω・)ノガッツポーズ」
アイリス「最後に重要なことをさらりと!?」
コトミン「100巻購入したら特典ssとして「転生し〇らスラミンだった件について」が付いてくる……はず」
カタナヅキ「付いてないわ!!」
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