不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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闘技祭 決戦編

ミノタウロスの蹂躙

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「ブモォオオッ……!!」
「何だとっ……!?」


ミノタウロスに体当たりを仕掛けたダンガイだが、全力で突進を仕掛けたにも関わらずに数歩後退させる程度で止められてしまう。老いたとはいえ力に特化した巨人族の膂力でさえもミノタウロスはびくともせず、逆に組み付いてきたダンガイの背中に肘を叩きつける。


「フンッ!!」
「ぐああっ!?」


強烈な衝撃がダンガイの背中に伝わり、鎖骨が砕けたダンガイは白目を向いて倒れこむ。その光景を目撃した他の二人の盾騎士は表情を青くさせ、圧倒的な力で巨人族の老騎士を捻じ伏せたミノタウロスに恐怖を抱く。


「は、はははっ!!こりゃ凄い!!こんなに強かったのかお前……高い金を払ったかいはあるぜ」
「ブモォッ……」


レギンは笑い声をあげてミノタウロスの背中を叩きつけ、そんな彼に煩わしそうにミノタウロスは視線を向けるが、逆らう真似はしない。他の二人は顔を見合わせ、同時に頷く。ミノタウロスを撃破するのは難しいが、そのミノタウロスを操作しているレギンの場合は別であり、先に魔物使いの方を倒すことを決めた。


「よし、行くぞ!!」
「化物の注意は俺が引く!!」


二人の選手は左右に回り込んで接近し、速度に特化した獣人族の「ダンプ」という選手が真っ先にミノタウロスに向かう。ミノタウロスは自分の左側から回るダンプに視線を向けて迎え撃とうとするが、レギンが新たな指示を与える。


「お、おい!!俺を守れ、離れるんじゃない!!」
「ブフゥッ……」


主人の命令に仕方がないとばかりにミノタウロスは斧を構えると、右側から後ろに回り込んでレギンを仕留めようとしている人間に視線を向ける。こちらの選手の名前は「アラン」という遠方から冒険者であり、位置的にダンプよりもレギンとの距離が近かったため、彼は円盤型の盾にして体当たりを仕掛けた。


「喰らえっ!!」
「ひいっ!?」
「ブモォオッ!!」


レギンに接近するアランに対してミノタウロスは巨大な斧を振り翳し、頭上から叩きつける。しかし、それを予測していたようにアランは盾を上段に構え、攻撃を受け流して回避を試みる。


「受け流し!!」
「ブフゥッ!?」


盾が刃に触れた瞬間に右方向に攻撃の軌道を変化させられ、ミノタウロスの斧が地面に衝突する。それを確認したアランは攻撃を受け流す事に成功して安堵の表情を浮かべるが、その一瞬の隙を逃さずにミノタウロスは前足を繰り出す。


「フゥンッ!!」
「ぐはぁっ!?」
「何だと!?」


斧を防ぐ事に成功して油断していたのか、アランは繰り出されたミノタウロスの前足を真面に受けてしまい、遥か後方に吹き飛ばされる。素の身体能力だけでもトロールやオーガさえも上回るミノタウロスの一撃を受けたアランは血反吐を吐き散らしながら地面に倒れこみ、痙攣を引き起こしながら気絶する。その光景を目撃した最後の選手であるダンプは立ち止まってしまい、恐怖の表情を浮かべる。


「そ、そんな馬鹿な……」
「は、ははっ……どうだ!!こいつの強さは分かっただろう?大人しく降参するなら命だけは見逃してやっても……」
「ブモオオオオッ!!」


怯えた表情を浮かべたダンプに対してレギンは降伏を勧めようとしたが、興奮したミノタウロスは斧を拾い上げるとレギンを放置してダンプに向けて駆け出し、勢いよく跳躍を行う。


「オォオオオオッ!!」
「ひいっ!?」
「お、おいっ!?」


主人の命令も受けずに突っ込んできたミノタウロスに対してダンプは咄嗟に大盾を構えるが、誰が見ても彼の行動は悪手である事は明らかであり、空中から斧を振り翳したミノタウロスはダンプに目掛けて全体重を乗せた一撃を放つ。


「ブフゥウウウッ!!」
「あがぁっ――!?」


次の瞬間、大盾ごとダンプの肉体が斧によって引き裂かれ、頭部から胴体まで切り裂かれたダンプの肉体が左右に分かれて地面に倒れる。その光景に観衆は悲鳴を上げ、遂に試合中に死亡者が現れた事に各国の代表や解説役のラビットも動揺する。


「いやぁああああっ!!」
「や、やりやがった……!!」
「おい、あれいいのか!?殺しちまったぞ!!」
「ば、化物だ……」
『み、皆さん落ち着いて下さい!!し、試合はここまでです!!レギン選手もすぐにミノタウロスを抑えて下さい!!』
「ば、馬鹿野郎!!早く戻れ!!」
「ブモォッ……」


ラビットの声を聞いて慌ててレギンはミノタウロスの元へ駆け寄り、杖を掲げて興奮したミノタウロスを鎮静化させる。慌てて彼はミノタウロスを引き連れて試合場を離れ、即座に兵士達が駆けつけて負傷した二人の選手とダンプの亡骸を運び込む。

あまりの光景に盛り上がっていた観客達の顔色も悪く、圧倒的な暴力を見せつけたミノタウロスに歓声や非難の声すらも上がらず、観客席が恐怖に覆われてしまう。しかし、その中で冷静に試合場の様子を伺う人間も少数ではあるが存在した。
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