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闘技祭 決戦編
聖将レミア
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「あいつ……やっぱり始末しておくべきだったな」
「こ、殺しやがった……なんて奴だ」
「……前の時よりも確実に強くなっているな」
試合場で運ばれる選手の死体を見てレナは険しい表情を浮かべ、立ち去ったミノタウロスの事を思い返す。深淵の森でミノタウロスを見逃した自分の甘さに悔やむ一方、どうしてミノタウロスが闘技祭に参加しているのか疑問を抱く。
(そういえばアイリスがミノタウロスが人間に捕まって戦奴にされたとか言ってたけど、まさかさっきの奴が買い取っていたのか?)
ミノタウロスを使役していた魔物使いの事を思いだし、闘技祭を勝ち抜くために奴隷として売り出されていたミノタウロスを買い取った可能性はある。しかし、何の因果か再び自分の前に立ちはだかるように現れたミノタウロスにレナは拳を握り締める。
(あいつだけは……俺が始末する)
係員に運び出される死体を見つめながらレナは両手を合わせ、必ずミノタウロスを仕留めることを誓う。その一方で試合場の清掃が完了すると、解説役のラビットの声が響く。
『え~……お待たせしました。試合場の準備が整いましたので次の試合を開始したいと思います』
初めての死傷者が現れたことでラビットの声音も重く、観客達の顔色も悪い。しかし、午後の部の予選試合はまだ始まったばかりであり、進行に支障がない限りは試合は中止されない。
『続いての選手は……おっと?ここで報告が入りました。冒険都市に出向いていたレミア選手が帰還したようです。都市の陽光教会にて問題があったようですが、無事に解決して戻ってきたようです』
「帰還?どういう事だ?」
「レミアというと、王国の大将軍の事だろ?」
「何があったんだ?」
レミアの名前が出てきたことで観客達に動揺が広がり、自分達の知らない間にレミアが都市に出向いていた事を不思議に思う。しかし、ラビットは観客の関心がレミアに向いた事を利用して予選試合の順番を変更させる事にした。
「では次の試合の選手を紹介します!!お戻りになられたばかりで疲れているかもしれませんが、大将軍のレミア選手の入場です!!」
『うおおおおおっ!!』
名前が発表された瞬間に暗い雰囲気に包まれていた試合場に歓声が上がり、北門が開かれてレミアが堂々と出現する。事前に試合場で待機していた選手と比べると随分と派手な登場に観客は拍手を行う。
「遂に私の出番ですか……全力は尽くします」
修道女を想像させる衣服を身にまとったレミアは何の武器も装備せずに試合場の中央部に集まり、その際に観客席の中に存在する国王の姿を発見し、頭を下げる。そんな彼女の行動にバルトロス13世は頷き、拍手する。
「レミアよ!!王国の大将軍の力を見せつけるのだ!!」
「はっ!!」
国王の言葉にレミアは返事をすると、両手を祈るように握りしめて天を仰ぐ。その光景に誰もが神秘的な雰囲気を感じ取り、ラビットが紹介した他の対戦相手の選手達も圧倒された。
『巨人国のバトラ選手!!冒険者のアルバ選手!!同じく冒険者のリオン選手の入場です!!』
「くそっ……初戦から大将軍が相手かよ」
「運が悪いぜ……」
「…………」
3人の選手が試合場の中央部に移動すると、レミアは彼等を見て自分の対戦相手の特徴を掴む。バトラは巨人族ではあるがまだ青年であり、身長も3メートル弱しか存在しない。アルバは人間のようだが背中にカトラスを2本背負っており、最後のリオンに関しては仮面を顔に憑りつけた黒髪の女性だった。
(なるほど、参加資格を得られている以上は全員が強者ですね)
闘技祭に参加できるのは冒険都市に存在する旧闘技場にて「5回」の試合を勝利した者に限る為、大会の出場資格を所持しているだけで相応の実力者揃いなのは確かである。しかし、レミアは黒髪の女性に対して妙な気配を感じ取り、彼女は試合が開始される前に話しかける。
「あの……失礼ですが、その仮面は外されないのですか?」
「…………」
レミアの質問に答えずにリオンと呼ばれた女性選手は黙って南の方角に存在する黒柱の元へ移動を行い、そんな彼女の態度にレミアは訝しる。しかし、これから戦う相手と雑談を行いたくはないだけかもしれず、そもそも仮面の下に人に見せたくないような事情があるのならば彼女の行動は不審とは言い切れない。
(……この臭い)
しかし、レミアは立ち去り際のリオンから何故か「死臭」のような物を感じ取る。只の気のせいかも知れないが、それでも彼女はリオンを標的に定め、試合の開始と同時に仕掛ける事を決めた。
『では各選手の準備が整いました。これより、試合を開始します!!』
「早くしろぉっ!!」
「大将軍の力を見せてやれ!!」
「他の奴らも無様な敗北だけはするじゃねえぞ!!」
大将軍の試合が見れるという事で観客の大部分の注目はレミアの元に集まっており、彼女と対戦する選手に同情を抱く。しかし、当のレミア本人は決して驕らず油断もせず、試合の開始の合図が行われる前に両手を組んで神に祈るように精神統一を行う。
「こ、殺しやがった……なんて奴だ」
「……前の時よりも確実に強くなっているな」
試合場で運ばれる選手の死体を見てレナは険しい表情を浮かべ、立ち去ったミノタウロスの事を思い返す。深淵の森でミノタウロスを見逃した自分の甘さに悔やむ一方、どうしてミノタウロスが闘技祭に参加しているのか疑問を抱く。
(そういえばアイリスがミノタウロスが人間に捕まって戦奴にされたとか言ってたけど、まさかさっきの奴が買い取っていたのか?)
ミノタウロスを使役していた魔物使いの事を思いだし、闘技祭を勝ち抜くために奴隷として売り出されていたミノタウロスを買い取った可能性はある。しかし、何の因果か再び自分の前に立ちはだかるように現れたミノタウロスにレナは拳を握り締める。
(あいつだけは……俺が始末する)
係員に運び出される死体を見つめながらレナは両手を合わせ、必ずミノタウロスを仕留めることを誓う。その一方で試合場の清掃が完了すると、解説役のラビットの声が響く。
『え~……お待たせしました。試合場の準備が整いましたので次の試合を開始したいと思います』
初めての死傷者が現れたことでラビットの声音も重く、観客達の顔色も悪い。しかし、午後の部の予選試合はまだ始まったばかりであり、進行に支障がない限りは試合は中止されない。
『続いての選手は……おっと?ここで報告が入りました。冒険都市に出向いていたレミア選手が帰還したようです。都市の陽光教会にて問題があったようですが、無事に解決して戻ってきたようです』
「帰還?どういう事だ?」
「レミアというと、王国の大将軍の事だろ?」
「何があったんだ?」
レミアの名前が出てきたことで観客達に動揺が広がり、自分達の知らない間にレミアが都市に出向いていた事を不思議に思う。しかし、ラビットは観客の関心がレミアに向いた事を利用して予選試合の順番を変更させる事にした。
「では次の試合の選手を紹介します!!お戻りになられたばかりで疲れているかもしれませんが、大将軍のレミア選手の入場です!!」
『うおおおおおっ!!』
名前が発表された瞬間に暗い雰囲気に包まれていた試合場に歓声が上がり、北門が開かれてレミアが堂々と出現する。事前に試合場で待機していた選手と比べると随分と派手な登場に観客は拍手を行う。
「遂に私の出番ですか……全力は尽くします」
修道女を想像させる衣服を身にまとったレミアは何の武器も装備せずに試合場の中央部に集まり、その際に観客席の中に存在する国王の姿を発見し、頭を下げる。そんな彼女の行動にバルトロス13世は頷き、拍手する。
「レミアよ!!王国の大将軍の力を見せつけるのだ!!」
「はっ!!」
国王の言葉にレミアは返事をすると、両手を祈るように握りしめて天を仰ぐ。その光景に誰もが神秘的な雰囲気を感じ取り、ラビットが紹介した他の対戦相手の選手達も圧倒された。
『巨人国のバトラ選手!!冒険者のアルバ選手!!同じく冒険者のリオン選手の入場です!!』
「くそっ……初戦から大将軍が相手かよ」
「運が悪いぜ……」
「…………」
3人の選手が試合場の中央部に移動すると、レミアは彼等を見て自分の対戦相手の特徴を掴む。バトラは巨人族ではあるがまだ青年であり、身長も3メートル弱しか存在しない。アルバは人間のようだが背中にカトラスを2本背負っており、最後のリオンに関しては仮面を顔に憑りつけた黒髪の女性だった。
(なるほど、参加資格を得られている以上は全員が強者ですね)
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「あの……失礼ですが、その仮面は外されないのですか?」
「…………」
レミアの質問に答えずにリオンと呼ばれた女性選手は黙って南の方角に存在する黒柱の元へ移動を行い、そんな彼女の態度にレミアは訝しる。しかし、これから戦う相手と雑談を行いたくはないだけかもしれず、そもそも仮面の下に人に見せたくないような事情があるのならば彼女の行動は不審とは言い切れない。
(……この臭い)
しかし、レミアは立ち去り際のリオンから何故か「死臭」のような物を感じ取る。只の気のせいかも知れないが、それでも彼女はリオンを標的に定め、試合の開始と同時に仕掛ける事を決めた。
『では各選手の準備が整いました。これより、試合を開始します!!』
「早くしろぉっ!!」
「大将軍の力を見せてやれ!!」
「他の奴らも無様な敗北だけはするじゃねえぞ!!」
大将軍の試合が見れるという事で観客の大部分の注目はレミアの元に集まっており、彼女と対戦する選手に同情を抱く。しかし、当のレミア本人は決して驕らず油断もせず、試合の開始の合図が行われる前に両手を組んで神に祈るように精神統一を行う。
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