文字の大きさ
大
中
小
296 / 2,093
闘技祭 決戦編
聖将レミア
「あいつ……やっぱり始末しておくべきだったな」
「こ、殺しやがった……なんて奴だ」
「……前の時よりも確実に強くなっているな」
試合場で運ばれる選手の死体を見てレナは険しい表情を浮かべ、立ち去ったミノタウロスの事を思い返す。深淵の森でミノタウロスを見逃した自分の甘さに悔やむ一方、どうしてミノタウロスが闘技祭に参加しているのか疑問を抱く。
(そういえばアイリスがミノタウロスが人間に捕まって戦奴にされたとか言ってたけど、まさかさっきの奴が買い取っていたのか?)
ミノタウロスを使役していた魔物使いの事を思いだし、闘技祭を勝ち抜くために奴隷として売り出されていたミノタウロスを買い取った可能性はある。しかし、何の因果か再び自分の前に立ちはだかるように現れたミノタウロスにレナは拳を握り締める。
(あいつだけは……俺が始末する)
係員に運び出される死体を見つめながらレナは両手を合わせ、必ずミノタウロスを仕留めることを誓う。その一方で試合場の清掃が完了すると、解説役のラビットの声が響く。
『え~……お待たせしました。試合場の準備が整いましたので次の試合を開始したいと思います』
初めての死傷者が現れたことでラビットの声音も重く、観客達の顔色も悪い。しかし、午後の部の予選試合はまだ始まったばかりであり、進行に支障がない限りは試合は中止されない。
『続いての選手は……おっと?ここで報告が入りました。冒険都市に出向いていたレミア選手が帰還したようです。都市の陽光教会にて問題があったようですが、無事に解決して戻ってきたようです』
「帰還?どういう事だ?」
「レミアというと、王国の大将軍の事だろ?」
「何があったんだ?」
レミアの名前が出てきたことで観客達に動揺が広がり、自分達の知らない間にレミアが都市に出向いていた事を不思議に思う。しかし、ラビットは観客の関心がレミアに向いた事を利用して予選試合の順番を変更させる事にした。
「では次の試合の選手を紹介します!!お戻りになられたばかりで疲れているかもしれませんが、大将軍のレミア選手の入場です!!」
『うおおおおおっ!!』
名前が発表された瞬間に暗い雰囲気に包まれていた試合場に歓声が上がり、北門が開かれてレミアが堂々と出現する。事前に試合場で待機していた選手と比べると随分と派手な登場に観客は拍手を行う。
「遂に私の出番ですか……全力は尽くします」
修道女を想像させる衣服を身にまとったレミアは何の武器も装備せずに試合場の中央部に集まり、その際に観客席の中に存在する国王の姿を発見し、頭を下げる。そんな彼女の行動にバルトロス13世は頷き、拍手する。
「レミアよ!!王国の大将軍の力を見せつけるのだ!!」
「はっ!!」
国王の言葉にレミアは返事をすると、両手を祈るように握りしめて天を仰ぐ。その光景に誰もが神秘的な雰囲気を感じ取り、ラビットが紹介した他の対戦相手の選手達も圧倒された。
『巨人国のバトラ選手!!冒険者のアルバ選手!!同じく冒険者のリオン選手の入場です!!』
「くそっ……初戦から大将軍が相手かよ」
「運が悪いぜ……」
「…………」
3人の選手が試合場の中央部に移動すると、レミアは彼等を見て自分の対戦相手の特徴を掴む。バトラは巨人族ではあるがまだ青年であり、身長も3メートル弱しか存在しない。アルバは人間のようだが背中にカトラスを2本背負っており、最後のリオンに関しては仮面を顔に憑りつけた黒髪の女性だった。
(なるほど、参加資格を得られている以上は全員が強者ですね)
闘技祭に参加できるのは冒険都市に存在する旧闘技場にて「5回」の試合を勝利した者に限る為、大会の出場資格を所持しているだけで相応の実力者揃いなのは確かである。しかし、レミアは黒髪の女性に対して妙な気配を感じ取り、彼女は試合が開始される前に話しかける。
「あの……失礼ですが、その仮面は外されないのですか?」
「…………」
レミアの質問に答えずにリオンと呼ばれた女性選手は黙って南の方角に存在する黒柱の元へ移動を行い、そんな彼女の態度にレミアは訝しる。しかし、これから戦う相手と雑談を行いたくはないだけかもしれず、そもそも仮面の下に人に見せたくないような事情があるのならば彼女の行動は不審とは言い切れない。
(……この臭い)
しかし、レミアは立ち去り際のリオンから何故か「死臭」のような物を感じ取る。只の気のせいかも知れないが、それでも彼女はリオンを標的に定め、試合の開始と同時に仕掛ける事を決めた。
『では各選手の準備が整いました。これより、試合を開始します!!』
「早くしろぉっ!!」
「大将軍の力を見せてやれ!!」
「他の奴らも無様な敗北だけはするじゃねえぞ!!」
大将軍の試合が見れるという事で観客の大部分の注目はレミアの元に集まっており、彼女と対戦する選手に同情を抱く。しかし、当のレミア本人は決して驕らず油断もせず、試合の開始の合図が行われる前に両手を組んで神に祈るように精神統一を行う。
「こ、殺しやがった……なんて奴だ」
「……前の時よりも確実に強くなっているな」
試合場で運ばれる選手の死体を見てレナは険しい表情を浮かべ、立ち去ったミノタウロスの事を思い返す。深淵の森でミノタウロスを見逃した自分の甘さに悔やむ一方、どうしてミノタウロスが闘技祭に参加しているのか疑問を抱く。
(そういえばアイリスがミノタウロスが人間に捕まって戦奴にされたとか言ってたけど、まさかさっきの奴が買い取っていたのか?)
ミノタウロスを使役していた魔物使いの事を思いだし、闘技祭を勝ち抜くために奴隷として売り出されていたミノタウロスを買い取った可能性はある。しかし、何の因果か再び自分の前に立ちはだかるように現れたミノタウロスにレナは拳を握り締める。
(あいつだけは……俺が始末する)
係員に運び出される死体を見つめながらレナは両手を合わせ、必ずミノタウロスを仕留めることを誓う。その一方で試合場の清掃が完了すると、解説役のラビットの声が響く。
『え~……お待たせしました。試合場の準備が整いましたので次の試合を開始したいと思います』
初めての死傷者が現れたことでラビットの声音も重く、観客達の顔色も悪い。しかし、午後の部の予選試合はまだ始まったばかりであり、進行に支障がない限りは試合は中止されない。
『続いての選手は……おっと?ここで報告が入りました。冒険都市に出向いていたレミア選手が帰還したようです。都市の陽光教会にて問題があったようですが、無事に解決して戻ってきたようです』
「帰還?どういう事だ?」
「レミアというと、王国の大将軍の事だろ?」
「何があったんだ?」
レミアの名前が出てきたことで観客達に動揺が広がり、自分達の知らない間にレミアが都市に出向いていた事を不思議に思う。しかし、ラビットは観客の関心がレミアに向いた事を利用して予選試合の順番を変更させる事にした。
「では次の試合の選手を紹介します!!お戻りになられたばかりで疲れているかもしれませんが、大将軍のレミア選手の入場です!!」
『うおおおおおっ!!』
名前が発表された瞬間に暗い雰囲気に包まれていた試合場に歓声が上がり、北門が開かれてレミアが堂々と出現する。事前に試合場で待機していた選手と比べると随分と派手な登場に観客は拍手を行う。
「遂に私の出番ですか……全力は尽くします」
修道女を想像させる衣服を身にまとったレミアは何の武器も装備せずに試合場の中央部に集まり、その際に観客席の中に存在する国王の姿を発見し、頭を下げる。そんな彼女の行動にバルトロス13世は頷き、拍手する。
「レミアよ!!王国の大将軍の力を見せつけるのだ!!」
「はっ!!」
国王の言葉にレミアは返事をすると、両手を祈るように握りしめて天を仰ぐ。その光景に誰もが神秘的な雰囲気を感じ取り、ラビットが紹介した他の対戦相手の選手達も圧倒された。
『巨人国のバトラ選手!!冒険者のアルバ選手!!同じく冒険者のリオン選手の入場です!!』
「くそっ……初戦から大将軍が相手かよ」
「運が悪いぜ……」
「…………」
3人の選手が試合場の中央部に移動すると、レミアは彼等を見て自分の対戦相手の特徴を掴む。バトラは巨人族ではあるがまだ青年であり、身長も3メートル弱しか存在しない。アルバは人間のようだが背中にカトラスを2本背負っており、最後のリオンに関しては仮面を顔に憑りつけた黒髪の女性だった。
(なるほど、参加資格を得られている以上は全員が強者ですね)
闘技祭に参加できるのは冒険都市に存在する旧闘技場にて「5回」の試合を勝利した者に限る為、大会の出場資格を所持しているだけで相応の実力者揃いなのは確かである。しかし、レミアは黒髪の女性に対して妙な気配を感じ取り、彼女は試合が開始される前に話しかける。
「あの……失礼ですが、その仮面は外されないのですか?」
「…………」
レミアの質問に答えずにリオンと呼ばれた女性選手は黙って南の方角に存在する黒柱の元へ移動を行い、そんな彼女の態度にレミアは訝しる。しかし、これから戦う相手と雑談を行いたくはないだけかもしれず、そもそも仮面の下に人に見せたくないような事情があるのならば彼女の行動は不審とは言い切れない。
(……この臭い)
しかし、レミアは立ち去り際のリオンから何故か「死臭」のような物を感じ取る。只の気のせいかも知れないが、それでも彼女はリオンを標的に定め、試合の開始と同時に仕掛ける事を決めた。
『では各選手の準備が整いました。これより、試合を開始します!!』
「早くしろぉっ!!」
「大将軍の力を見せてやれ!!」
「他の奴らも無様な敗北だけはするじゃねえぞ!!」
大将軍の試合が見れるという事で観客の大部分の注目はレミアの元に集まっており、彼女と対戦する選手に同情を抱く。しかし、当のレミア本人は決して驕らず油断もせず、試合の開始の合図が行われる前に両手を組んで神に祈るように精神統一を行う。
感想 5,097
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『ベルンハルト・フォン・バーデンは平穏に暮らしたい』
GamaFrog男爵家三男、ベルンハルト・フォン・バーデン。
家督継承権はなく、本来ならどこかの官職に就くか、他家へ仕えるか、婿入りするか――そんな将来が待っているはずだった。
しかしベルは少しだけ優秀すぎた。
小遣い稼ぎのつもりで始めた商売は成功し、気付けば父親より金を持ち、長男より領地経営に詳しく、次男より商売が上手くなっていた。
本人に出しゃばる気はない。
ただ普通に生きていただけだ。
それでも、優秀すぎる三男の存在は家族との距離を少しずつ広げていった。
家に居場所がなくなった。
だからベルは学園へ来た。
貴族だから一応入学した。
家にいるより気楽だったから。
静かに暮らしたかったから。
寄付金を積んで手に入れた広い寮部屋で、本を読み、昼寝をし、卒業後は適当な文官になって平穏に生きる
そのはずだった。
だが現実は違った。
男装令嬢に懐かれ。
王太子に目を付けられ。
商会には囲い込まれ。
気付けば平穏はどこへやら。
本人はただ平穏に暮らしたいだけ。
周囲はなぜか放っておいてくれない。
これは、面倒事を嫌う規格外の天才が、静かな人生を目指して失敗し続ける物語である。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
クラス全員で異世界召喚されたが、俺だけ教室に取り残されたのでとりあえず帰宅した
中山(ほ) クラス全員で異世界召喚されたが、先生と俺が残っていた。
魔法もチートスキルもステータス画面すら表示されない、ただの「残され損」
異世界に行けなかった俺を待っていたのは、世知辛い現実だった。
AI使用状況
GoogleのGeminiさん使ってます〜
誤字脱字チェックと調べ物お願いしてます
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。