不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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都市崩壊編

流された先には

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川が氾濫を起こしたように大量の水が流れ込み、橋に存在したレナ達と追跡してきた騎士達の身体を飲み込む。コトミンの精霊魔法は水を操るのと同時に身体を癒す効果があり、水に飲み込まれた騎士達の身体からキラウが仕込んだ黒蛇の魔力が浄化される。


『うぐああああああっ……!?』
「ぬおっ……いかん!!」
「お、お父様ぁっ!?」
「うわぁあああっ!?」
「くっ……!?」


しかし、予想外の勢いに橋の上に存在したレナ達にも津波の如く大量の水が襲い掛かり、咄嗟にデブリは娘を抱えて風の精霊を呼び寄せて自分達の周囲を風の防護壁で防ぐ。だが、彼から離れていたダインとレナは水に飲み込まれ、そのまま橋から吹き飛ばされて流されてしまう。


「ぶはっ!!た、助け……!!」
「ウル……ダインを助けろっ!!」
「ウォンッ!!」


流されていく中でレナはダインを救うようにウルに指示を出し、即座にウルがダインの元へ向かう。レナもどうにか陸に上がろうとしたが、押し流される水の力が予想外に強く、川下に流されてしまう。


(不味い……このままだと、皆と離される……!?)


徐々にレナの肉体が水中に沈み、必死に水上へ移動しようとするが水を吸収した衣服が重く、上手く動けない。大量の水を飲み込まないように口を抑えるが、どうにか抜け出す方法を考える。


(どうにか抜け出さないと……何だっ!?)


だが、レナが何らかの行動に移す前に彼の胸元から物体が飛び出し、レナの胴体に張り付く。物体の正体はスラミンとヒトミンであり、2匹は体長を膨らませて形状を変化させ、まるで浮き輪のように変形してレナの身体を水上へ浮上させた。


「ぶはぁっ!!はあっ、はっ……!?」
『ぷるるるんっ!!』
「……レナ!!」


浮き輪のように変形したスライム達はレナを水上へ救い出すと、水中から追跡してきたコトミンが現れ、レナの元へ近づく。コトミンに気付いたレナは彼女に手を伸ばし、腕を掴む。


「コトミン……張り切り過ぎだよ?」
「力加減を間違えた……大丈夫?」
「こいつらのお陰でね……おりがとうウキワミン」
『ぷるぷるっ……』


変な名前を付けるなとばかりに浮き輪に変形したスラミンとヒトミンが振動する。やがて流れる水の勢いが弱まると、コトミンはレナを抱えて陸上へと引き上げる。


「んしょっ……んしょっ」
「ふうっ……助かった」
『ぷるるんっ』


陸上へ移動したスライム達は犬のように身体を震わせて水滴を弾き、レナは大の字のように地面に倒れて身体を休ませる。その間にコトミンはレナの身体に触れ、水中で流されている時に怪我をした箇所の治療を行う。


「動かないで……治療する」
「ありがとう……でも、ここ何処だ?」


橋からかなり流されたのかレナ達が存在するのは見覚えのない場所であり、どうやら冒険都市の東側に流されたらしい。どうにか体力を回復させてレナは起き上がると、濡れた上着を脱いで周囲の様子を伺う。


「ここは初めて来るな……すぐにダイン達の元へ戻らないと」
「大丈夫、ウルなら臭いを嗅いでレナの元へ戻ってくる」
「どうかな……川で流されたから臭いが消えてるかもしれないけど、川を辿ってくれば会えるかな」


ダインを救助したウルが川に流されたレナ達を追いかけてくるまで一旦休憩を行い、濡れた衣服から水分を絞り出し、準備を整える。


(すぐにバルと母上の元へ向かわないといけないのに……焦るな、まずは体力を取り戻せ)


川に流された影響で大分体力と消耗してしまい、この状況で敵と遭遇すれば真面に魔法や戦技を使えない可能性も高い。焦燥感を抑えながらもレナはウルが自分の元に訪れるまで身体を休めようと座ると、不意にコトミンの周囲に青色の光の球体が張り付いている事に気付く。


「コトミン、その身体に張り付ているのは精霊?」
「……そう、レナも見えるの?」
「薄らとだけどね」


今までコトミンが魔法を使用する際には見えなかった精霊が見えるようになり、レナは彼女の周囲に張り付いている精霊に触れようとする。しかし、風の精霊と同様にレナが触れようとすると嫌がるように光の球体は離れてしまう。


「やっぱり駄目か、俺が触ろうとしても逃げるや」
「やんっ……だからって私のお腹を撫でちゃ駄目、んっ……」


精霊に触れられない腹いせにコトミンの腹部を撫でまわし、身体を休ませる事に集中する。こうしている間にも街中で魔獣兵やキラウが暴れている事を考えると焦りを抱かずにはいられず、レナはアイリスと交信を行う。


(アイリス……アイリス?)


だが、どう言う事なのかアイリスと交信を行おうとしても繋がらず、何度か彼女の名前を心の中で思い浮かべても反応はない。何事かと思ったが、すぐにレナは原因がホネミンである事と判断する。


(まさかホネミンが近くにいるのか?でも、どうして……闘技場に向かったんじゃないのか?)


アイリスと交信を行えないのは闘技場の調査を任せたホネミンが都市に戻ってきたとしか考えられず、どうしてこの状況で彼女が都市に戻ってきたのかレナは疑問を抱く。
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