不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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都市崩壊編

タザン襲来

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「アインがここまで二人を守っていたんだな。偉い偉いっ」
「キュロロッ♪」


レナに褒められてアインは照れ臭そうに頭を掻く動作を行う。戦闘能力という点に関しては魔獣兵を上回るサイクロプスだが、流石にティナとエリナを庇いながら戦う事は出来ず、ここまでの道中はアインが二人を守り続けた事になる。彼女の労を労いながらもレナはエリナに振り返り、護衛役でありながら彼女が武器を所持していない事に気付く。


「というか、エリナは武器を持ってきてなかったの?」
「いや、ここに来る途中で武器を落としちゃったんですよ。予備の武器を入れておいた収納石も何故か見つからなくて……」
「王国四騎士に選ばれるぐらいなんだからちゃんと武器ぐらい管理しておきなよ……仕方ないな、なら適当に俺が今から作るから待ってて」
「え、作る?」


護衛役が武器を所持していなければ護衛の意味がなく、適当にレナは倒れている魔獣兵の武器を拾い上げてエリナのために武器を作り出す。彼女が扱うのは普通の弓矢ではなく「ボーガン」のため、錬金術師の能力を生かして武器を作り出す。


「うわ、こいつらの鎧ってミスリル製なの?随分と金を賭けているな……でも、魔法金属だろうと今の俺には関係ない」
「何をしてるのレナたん?」
「しっ!!今は集中しているんだから……こんな感じかな」


錬金術師の「物質変換」と「形状高速変化」を利用してレナは魔獣兵の身に付けていた武具と防具を利用してミスリルのボーガンを生み出す。弦に関しては丁度いい具合に爆風で吹き飛ばされたハイ・ゴブリンが弓矢を装備しており、そちらを回収してボーガンの素材として利用する。


「ほら、急ごしらえだけどこれを使いなよ」
「おおっ!!凄い、ミスリル製のボーガンっすか!?」
「わあっ……レナたん、小髭族の人達みたいな事が出来るんだね!!」
「さすレナ」
「その言葉、久しぶりに聞いたな……」


久々に錬金術師の能力を生かして生み出した武器をエリナに手渡し、これで彼女も戦闘に参加できる。問題はここからの行動であり、ティナ達と合流した以上は彼女達を見捨てるわけにはいかなかった。


「仕方ないからティナ達も俺達と一緒に行動して貰うよ。それと……ティナには伝えておきたいことがある」
「え?何々?」
「……実はティナのお兄さんが」
「ティナ様、危ないっす!!」


レナがティナの兄であるアルンが誘拐されたことを伝えようとした時、エリナが大声を上げてティナの身体に抱き着いて地面に伏せる。その直後にレナも危険を感じ取り、背後に存在したコトミンを抱きかかえて伏せる。


「伏せろっ!!」
「わうっ……!?」
「キュロォッ!?」


エリナとレナが他の二人を抱えて伏せた瞬間、アインの驚愕と悲鳴が入り混じった声が響き渡り、地面に激しい衝撃が走った。何事かとレナは振り返ると、先ほどまで自分達が立っていた場所に巨大な鉄球が墜落している事に気付き、鉄球の傍でアインが倒れている姿が視界に入った。


「アイン!!」
「この……何者っすか!?」


即座にレナがアインに駆け寄り、エリナは鉄球に繋がっている鎖の元へボーガンを構える。エリナの視線の先には10メートル程離れた距離で右腕を突き出す半裸の男性が存在し、闘技場で見かけた人物が立っていた。


「あんたは……!?」
「うほぉおおおっ!!」


奇怪な咆哮が街中に響き渡ると地面に埋もれていた鉄球が引き寄せられ、ゴリラを想像させる程の巨体と筋肉を持つ「タザン」の元へ鉄球に戻る。どうして彼がここにいるのか、何故自分達を攻撃したのかという疑問を抱いたが、エリナは即座に攻撃を仕掛けてきた彼を敵と判断してボーガンの矢を撃ち抜く。


「喰らえっす!!」


風の精霊を呼び集め、鏃に風の魔力を付与させたエリナは矢を放つ。弾丸のように高速回転した矢がタザンの頭部に接近するが、相手はあろうことか頭を後ろに反らして矢を回避する。


「嘘っ!?」
「おおおおっ!!」


巨体でありながら身軽な動作で矢を回避した相手にエリナは目を見開き、その間に体勢を立て直したタザンは今度は左腕を振り翳し、腕に装着した拘束具に繋がった鉄球を今度は上空から振り下ろす。


「不味い……氷盾!!」
「駄目っ!!」


咄嗟に上空から迫りくる鉄球に対してレナは氷塊の盾を生み出すが、そんな彼にコトミンが飛びついて地面に伏せると、鉄球は空中に誕生した氷塊を破壊して再度地面に叩きつけられた。


「嘘だろおい……!?」
「ひうっ!?」
「ティナ様、下がって下さい!!」
「うほっ、うほほっ……!!」


粉々に砕け散った氷塊の盾を見てレナは動揺を隠せず、エリナはティナを庇うように前に出る。その一方で攻撃を仕掛けたタザンは本物のゴリラのように胸板を両拳で叩き、勝ち誇るように鳴き声を上げた。
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