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都市崩壊編
魔術師の極み
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「そういえば支援魔法は他の人の能力を引き上げる事も出来るんだっけ……くっ、盲点だった!!」
「いや……それが普通の使い方だと思いますが」
冷静なジャンヌの突っ込みを受けながらもレナは考え込み、まだこの世界に転生したばかりの頃からアイリスに告げられた話を思い出す。支援魔術師が不遇職として扱われているのは普通の魔術師が扱える砲撃魔法が覚えられず、能力を強化する支援魔法の場合は対象者の肉体に大きな負荷を与える事が原因だと聞いている。しかもレナの場合は能力が強化されており、下手に他の人間に支援魔法を施したらどのような事態に陥るのか分からない。
「でも、俺の支援魔法はかなり危険らしいけど……叔母様は俺に何をさせる気なの?」
この世界の支援魔法は効果が大きい反面に使用後の負荷も身体に大きく、例えばレナの「筋力超強化」をゴンゾウの肉体に注ぎ込めば一時的に彼の身体能力は底上げされる。だが、効果が切れた途端にゴンゾウは激しい筋肉痛に襲われてるだろう。このように支援魔法といってもよい効果だけを及ぼすわけではなく、場合によっては使用者に大きな負担を与えてしまう。しかし、マリアはそれを承知でレナの協力が必要であることを伝える。
「簡単な話よ。今から私と母が合成魔術を発動させるの。貴方にはその補助をお願いしたいわ」
「気は進みませんが……やるしかないでしょうね」
「合成魔術だと!?それも3人で!?」
複数の魔法を組み合わせる合成魔術は単独でも発動させる事は難しく、更に他人と共に発動する場合は難易度は上昇する。それでも地竜の暴発を防ぐにはマリアとハヅキ、そしてレナが力を合わせるしかなく、マリアは合成魔術の内容を伝える。
「レナにして欲しいのは私達に支援魔法を施してほしいの。私も母もここまでの道中で随分と魔力を消耗してしまったわ……だから最上級魔法も発動出来ない」
「ですが、私の精霊魔法と貴方の支援魔法の力を重ねれば最上級魔法に匹敵する魔法を発動出来るはずです。そのためには私達の力を合わせなければなりません」
「話は分かったけど、そんな事をすれば二人の身体に大きな負担が……」
「大丈夫よ。貴方の叔母と祖母を信じなさい……まだ15才の子供に心配される程衰えてはいないわ」
「マリアの言う通りです。まだまだ若い者には負けませんよ」
レナの心配に対してマリアとハヅキは安心させるように笑みを浮かべるが、二人が嘘を吐いている事はレナも理解できた。支援魔法は人体に最も負荷を与える魔法であり、いくら一流の魔術師であるマリアとハヅキであろうと無事では済まない。それでもこのまま地竜を放置すれば大惨害を引き起こす事態に陥るのは間違いなく、他に選択肢は残されていなかった。
「ハヅキさん、それに嬢ちゃん。精霊なら俺も使えるぞ?手伝ってやろうか?」
「いえ、下手に人数を増やす方が成功確率は低下するわ。それに貴方達は周囲の警戒をして欲しいの……大丈夫だとは思うけど、まだ敵が残っている可能性はあるわ」
「何?特に周囲に不穏な気配は感じませんが……」
マリアの言葉にロウガは周囲の様子を伺うが、怪しい気配や臭いは感じられなかった。だが、マリアは警戒心を緩めず、他の人間達に警護を任せる。
「ゴウライ、シュン、ロウガ、ジャンヌ……後は任せるわよ」
『うむ、任された!!』
「はっ!!」
「お気を付けてください」
「今更になるけど……私が雪月花をあの女に返さな得れば貴方にこんな真似をさせなかったのに」
「仕方ないよ。元はと言えば俺が不用意に紅蓮なんか使ったからこんな事態になったんだし……」
「レナ、頑張れ」
「シュン、貴方には色々と言いたい事がありますがその話は後にしましょう」
「聞きたくねえ……」
仲間達との会話を終えるとマリアとハヅキは地竜に接近し、お互いの杖を交差させて上空に掲げる。そんな二人の背中にレナは両手を押し付け、魔法を発動させる準備を行う。最後にハヅキはマリアを見て苦笑いを浮かべると、不審に思ったマリアは眉を顰めた。
「ふふっ……」
「……こんな時に何がおかしいの?」
「いえ、まさかこのような形で貴方と再び魔法を行う日が来るとは思いもよらなかったので……」
「そうね……その話は後でしましょう」
まだマリアが子供の頃に魔法を教えていたハヅキは勘当したはずの娘と再び魔法を共に行う日が来たことに内心喜び、マリアも複雑そうな表情を浮かべるが、決して嫌ではなかった。長い時は掛かったがやっと普通の親子のような関係を取り戻した気分に陥りながらも二人は同時に魔法を発動させる。
『集え、精霊よ』
二人が意識を集中させた瞬間、周囲から強烈な突風が発生し、大量の風の精霊が集まる。その数は100を超え、レナを含めた3人の周囲に小規模の竜巻が発生させる程に強い力を放つ。
「うおっ!?」
「こ、これは……!?」
「何と凄まじい……!!」
『おおっ……!!』
周囲の警戒を行っていたシズネ達も目を奪われ、普通の人間には精霊が目視出来ないので彼等にはレナ達の身体が竜巻に包まれたようにしか見えないが、それでも強力な魔力の波動を肌で感じ取る。
(凄い……これが魔術師を極めた森人族の力なのか?)
マリアとハヅキの背中を支えるレナは直接二人の身体から感じ取れる膨大な魔力に圧倒され、恐らくは自分が生涯を費やして修行したとしても到達する事はない魔法の領域に至った二人の力を直に思い知った。
「いや……それが普通の使い方だと思いますが」
冷静なジャンヌの突っ込みを受けながらもレナは考え込み、まだこの世界に転生したばかりの頃からアイリスに告げられた話を思い出す。支援魔術師が不遇職として扱われているのは普通の魔術師が扱える砲撃魔法が覚えられず、能力を強化する支援魔法の場合は対象者の肉体に大きな負荷を与える事が原因だと聞いている。しかもレナの場合は能力が強化されており、下手に他の人間に支援魔法を施したらどのような事態に陥るのか分からない。
「でも、俺の支援魔法はかなり危険らしいけど……叔母様は俺に何をさせる気なの?」
この世界の支援魔法は効果が大きい反面に使用後の負荷も身体に大きく、例えばレナの「筋力超強化」をゴンゾウの肉体に注ぎ込めば一時的に彼の身体能力は底上げされる。だが、効果が切れた途端にゴンゾウは激しい筋肉痛に襲われてるだろう。このように支援魔法といってもよい効果だけを及ぼすわけではなく、場合によっては使用者に大きな負担を与えてしまう。しかし、マリアはそれを承知でレナの協力が必要であることを伝える。
「簡単な話よ。今から私と母が合成魔術を発動させるの。貴方にはその補助をお願いしたいわ」
「気は進みませんが……やるしかないでしょうね」
「合成魔術だと!?それも3人で!?」
複数の魔法を組み合わせる合成魔術は単独でも発動させる事は難しく、更に他人と共に発動する場合は難易度は上昇する。それでも地竜の暴発を防ぐにはマリアとハヅキ、そしてレナが力を合わせるしかなく、マリアは合成魔術の内容を伝える。
「レナにして欲しいのは私達に支援魔法を施してほしいの。私も母もここまでの道中で随分と魔力を消耗してしまったわ……だから最上級魔法も発動出来ない」
「ですが、私の精霊魔法と貴方の支援魔法の力を重ねれば最上級魔法に匹敵する魔法を発動出来るはずです。そのためには私達の力を合わせなければなりません」
「話は分かったけど、そんな事をすれば二人の身体に大きな負担が……」
「大丈夫よ。貴方の叔母と祖母を信じなさい……まだ15才の子供に心配される程衰えてはいないわ」
「マリアの言う通りです。まだまだ若い者には負けませんよ」
レナの心配に対してマリアとハヅキは安心させるように笑みを浮かべるが、二人が嘘を吐いている事はレナも理解できた。支援魔法は人体に最も負荷を与える魔法であり、いくら一流の魔術師であるマリアとハヅキであろうと無事では済まない。それでもこのまま地竜を放置すれば大惨害を引き起こす事態に陥るのは間違いなく、他に選択肢は残されていなかった。
「ハヅキさん、それに嬢ちゃん。精霊なら俺も使えるぞ?手伝ってやろうか?」
「いえ、下手に人数を増やす方が成功確率は低下するわ。それに貴方達は周囲の警戒をして欲しいの……大丈夫だとは思うけど、まだ敵が残っている可能性はあるわ」
「何?特に周囲に不穏な気配は感じませんが……」
マリアの言葉にロウガは周囲の様子を伺うが、怪しい気配や臭いは感じられなかった。だが、マリアは警戒心を緩めず、他の人間達に警護を任せる。
「ゴウライ、シュン、ロウガ、ジャンヌ……後は任せるわよ」
『うむ、任された!!』
「はっ!!」
「お気を付けてください」
「今更になるけど……私が雪月花をあの女に返さな得れば貴方にこんな真似をさせなかったのに」
「仕方ないよ。元はと言えば俺が不用意に紅蓮なんか使ったからこんな事態になったんだし……」
「レナ、頑張れ」
「シュン、貴方には色々と言いたい事がありますがその話は後にしましょう」
「聞きたくねえ……」
仲間達との会話を終えるとマリアとハヅキは地竜に接近し、お互いの杖を交差させて上空に掲げる。そんな二人の背中にレナは両手を押し付け、魔法を発動させる準備を行う。最後にハヅキはマリアを見て苦笑いを浮かべると、不審に思ったマリアは眉を顰めた。
「ふふっ……」
「……こんな時に何がおかしいの?」
「いえ、まさかこのような形で貴方と再び魔法を行う日が来るとは思いもよらなかったので……」
「そうね……その話は後でしましょう」
まだマリアが子供の頃に魔法を教えていたハヅキは勘当したはずの娘と再び魔法を共に行う日が来たことに内心喜び、マリアも複雑そうな表情を浮かべるが、決して嫌ではなかった。長い時は掛かったがやっと普通の親子のような関係を取り戻した気分に陥りながらも二人は同時に魔法を発動させる。
『集え、精霊よ』
二人が意識を集中させた瞬間、周囲から強烈な突風が発生し、大量の風の精霊が集まる。その数は100を超え、レナを含めた3人の周囲に小規模の竜巻が発生させる程に強い力を放つ。
「うおっ!?」
「こ、これは……!?」
「何と凄まじい……!!」
『おおっ……!!』
周囲の警戒を行っていたシズネ達も目を奪われ、普通の人間には精霊が目視出来ないので彼等にはレナ達の身体が竜巻に包まれたようにしか見えないが、それでも強力な魔力の波動を肌で感じ取る。
(凄い……これが魔術師を極めた森人族の力なのか?)
マリアとハヅキの背中を支えるレナは直接二人の身体から感じ取れる膨大な魔力に圧倒され、恐らくは自分が生涯を費やして修行したとしても到達する事はない魔法の領域に至った二人の力を直に思い知った。
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