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都市崩壊編
支援魔術師だからこそ
「マリアの嬢ちゃんはこいつに何が起きているのか知っているのか?」
「シュン……国を離れた身とはいえ、もう少し言葉遣いは何とか出来ないのですか?」
「おっと、これは失礼しましたハヅキさん……で、どうするんだ?」
「貴方と言う人は……」
「私は構わないわ。それより、本題に戻りたいのだけど?」
シュンの口調にハヅキは眉を顰めるが、マリアは時間が惜しいとばかりに話を切り上げ、地竜の様子を伺う。甲羅を中心に全体が赤身を帯びていき、亀裂から光を発する。この状態の地竜をマリアは過去に二度ほど見た事があり、過去に同じ状態に陥った地竜がどうなったのかを思い出す。
――まだマリアがアイラやバルと共に現役の冒険者として働いていた頃、彼女達はある竜種の討伐を引き受ける。別に竜種自体はこれまでに何度も倒しているので特に問題はないと思ったが、この時の依頼は彼女達だけではなく、他の大勢の冒険者も参加していた。
依頼内容は山岳に現れた地竜の討伐であり、当時のAランク冒険者50名を集め、更にバルトロス王国の軍隊も同行していた。万全の準備を整い、地竜の討伐に向かった部隊だったが、思いもよらぬ事態に陥る。最初に指揮官を任された王国軍の大将軍(レミアの祖母)は地竜を山奥の崖に追い込み、そこで魔術師の部隊による一斉攻撃で仕留めようと提案した。作戦内容自体は悪くはなく、冒険者も賛成したのだが、結果は予想外の事態を引き起こしてしまう。
作戦は軍隊が地竜を崖にまで誘き寄せ、待ち伏せていた魔術師が攻撃を仕掛ける手筈だったのだが、生憎と集めた魔術師の大半が火属性の攻撃魔法を仕掛けてしまう。集まった魔術師の殆どが人間であったこと、雷属性や風属性では地竜に影響を与えにくい事、そして水属性の使い手が少ない事が原因で結局は火属性を得意とする魔術師が集まってしまった。
作戦自体は成功に終わり、無事に地竜は軍隊の誘導の元で崖に追い込む事には成功した。だが、待ち伏せていた魔術師の砲撃魔法の連続攻撃によって地竜は追い詰められたと思われたが、身体全体に熱を帯びた地竜の肉体に異変が生じてしまう。
火属性の砲撃魔法を大量に浴びた地竜は最終的には全体に高熱を帯びた状態に陥り、身体全身が発光を始めた。異変に気付いた人間達は即座に避難を開始したが、時は既に遅く地竜の肉体がまるで火山の噴火のように大爆発を引き起こした。
結果的には全身が砕け散り、隕石を想像させる火山弾が地竜の背中の甲羅から放たれ、広範囲に被害が及ぶ。討伐部隊の半数近くが死傷し、危険を察知して結界魔法を発動させたマリア達はどうにか生き延びる事には成功したが、死傷者が数百名を超える事態に陥る。
嫌な記憶を呼び起こしたマリアは唇を噛みしめ、まさか自分の愛する街に地竜が現れるなど思いもよらず、この事態を引き起こしたであろう王妃に怒りを抱く。
(あの女……この件が終わり次第、必ず報いを受けさせるわ)
自分が最も大切にしている街を吹き飛ばそうとした王妃に対してマリアは今までにない怒りを抱き、そんな彼女の気迫を浴びた周囲の人間は気圧されるが、すぐに冷静さを取り戻したマリアは地竜の討伐方法を告げる。
「結論を言えばこのまま放置すれば地竜は爆発を引き起こすわ。恐らく……この街を壊滅させる程の規模のね」
「そんな!!」
『何と……傍迷惑な奴だな』
「……最悪ね」
街を滅ぼす程の規模の爆発を引き起こすという言葉に全員が愕然とするが、マリアは周囲を確認して不思議そうに首を傾げ、レナに質問を行う。
「その前に聞きたいことがあるのだけど……レナ、貴方はシノビを見た?」
「シノビ?ああ、カゲマルさんならさっきまで俺達と一緒に居たけど……」
「ハンゾウの奴が心配だからって何処かに消えちまったぞ」
「……会ったのね?なら私の伝言は聞いていないの?」
「伝言?」
レナはカゲマルと殆ど会話をしておらず、マリアが彼に頼んでいた伝言など聞いていない。氷雨のギルドの中でも元も忠誠心の厚い男がマリアの命令を後回しにしてハンゾウの救出に向かった事になるが、仕方ないのでマリアは自分からレナに頼みごとを行う。
「レナ、この地竜を倒すには貴方の力が必要なの」
「え、俺が……?」
「まずは先に地竜の倒す方法を教えるわ。この地竜は熱を与え過ぎると大爆発を引き起こすの……だけど、逆に体温を冷やせば爆発を食い止める事が出来る。そのために貴方の力が必要不可欠なのよ」
「……どうして?」
地竜を倒すには熱を下げて完全に凍り付かせればよい事は理解したが、どうしてこの状況で自分の力が必要なのかレナは疑問を抱く。確かに氷属性の魔法はレナも扱えるが、本職の魔術師の砲撃魔法やアルミナのような複雑な工夫を施した初級魔法を扱えないレナでは地竜を凍り付かせる事など出来ないはずだが、マリアは何事もないように告げる。
「だって貴方は支援魔術師じゃないの。支援魔術師の能力は他者の力を強化させる事でしょう?」
「あっ……そういえばそうだった」
「あ、貴方ね……自分の職業の事を忘れていたの?」
「レナ……」
マリアの言葉に自分の職業の本質を思い出したレナに他の人間は呆気に取られ、もしもアイリスが話しかけられる状態ならば彼女も呆れた言葉を掛けていただろう。
※主人公なのに自分の職業の真価を忘れるとは……
「シュン……国を離れた身とはいえ、もう少し言葉遣いは何とか出来ないのですか?」
「おっと、これは失礼しましたハヅキさん……で、どうするんだ?」
「貴方と言う人は……」
「私は構わないわ。それより、本題に戻りたいのだけど?」
シュンの口調にハヅキは眉を顰めるが、マリアは時間が惜しいとばかりに話を切り上げ、地竜の様子を伺う。甲羅を中心に全体が赤身を帯びていき、亀裂から光を発する。この状態の地竜をマリアは過去に二度ほど見た事があり、過去に同じ状態に陥った地竜がどうなったのかを思い出す。
――まだマリアがアイラやバルと共に現役の冒険者として働いていた頃、彼女達はある竜種の討伐を引き受ける。別に竜種自体はこれまでに何度も倒しているので特に問題はないと思ったが、この時の依頼は彼女達だけではなく、他の大勢の冒険者も参加していた。
依頼内容は山岳に現れた地竜の討伐であり、当時のAランク冒険者50名を集め、更にバルトロス王国の軍隊も同行していた。万全の準備を整い、地竜の討伐に向かった部隊だったが、思いもよらぬ事態に陥る。最初に指揮官を任された王国軍の大将軍(レミアの祖母)は地竜を山奥の崖に追い込み、そこで魔術師の部隊による一斉攻撃で仕留めようと提案した。作戦内容自体は悪くはなく、冒険者も賛成したのだが、結果は予想外の事態を引き起こしてしまう。
作戦は軍隊が地竜を崖にまで誘き寄せ、待ち伏せていた魔術師が攻撃を仕掛ける手筈だったのだが、生憎と集めた魔術師の大半が火属性の攻撃魔法を仕掛けてしまう。集まった魔術師の殆どが人間であったこと、雷属性や風属性では地竜に影響を与えにくい事、そして水属性の使い手が少ない事が原因で結局は火属性を得意とする魔術師が集まってしまった。
作戦自体は成功に終わり、無事に地竜は軍隊の誘導の元で崖に追い込む事には成功した。だが、待ち伏せていた魔術師の砲撃魔法の連続攻撃によって地竜は追い詰められたと思われたが、身体全体に熱を帯びた地竜の肉体に異変が生じてしまう。
火属性の砲撃魔法を大量に浴びた地竜は最終的には全体に高熱を帯びた状態に陥り、身体全身が発光を始めた。異変に気付いた人間達は即座に避難を開始したが、時は既に遅く地竜の肉体がまるで火山の噴火のように大爆発を引き起こした。
結果的には全身が砕け散り、隕石を想像させる火山弾が地竜の背中の甲羅から放たれ、広範囲に被害が及ぶ。討伐部隊の半数近くが死傷し、危険を察知して結界魔法を発動させたマリア達はどうにか生き延びる事には成功したが、死傷者が数百名を超える事態に陥る。
嫌な記憶を呼び起こしたマリアは唇を噛みしめ、まさか自分の愛する街に地竜が現れるなど思いもよらず、この事態を引き起こしたであろう王妃に怒りを抱く。
(あの女……この件が終わり次第、必ず報いを受けさせるわ)
自分が最も大切にしている街を吹き飛ばそうとした王妃に対してマリアは今までにない怒りを抱き、そんな彼女の気迫を浴びた周囲の人間は気圧されるが、すぐに冷静さを取り戻したマリアは地竜の討伐方法を告げる。
「結論を言えばこのまま放置すれば地竜は爆発を引き起こすわ。恐らく……この街を壊滅させる程の規模のね」
「そんな!!」
『何と……傍迷惑な奴だな』
「……最悪ね」
街を滅ぼす程の規模の爆発を引き起こすという言葉に全員が愕然とするが、マリアは周囲を確認して不思議そうに首を傾げ、レナに質問を行う。
「その前に聞きたいことがあるのだけど……レナ、貴方はシノビを見た?」
「シノビ?ああ、カゲマルさんならさっきまで俺達と一緒に居たけど……」
「ハンゾウの奴が心配だからって何処かに消えちまったぞ」
「……会ったのね?なら私の伝言は聞いていないの?」
「伝言?」
レナはカゲマルと殆ど会話をしておらず、マリアが彼に頼んでいた伝言など聞いていない。氷雨のギルドの中でも元も忠誠心の厚い男がマリアの命令を後回しにしてハンゾウの救出に向かった事になるが、仕方ないのでマリアは自分からレナに頼みごとを行う。
「レナ、この地竜を倒すには貴方の力が必要なの」
「え、俺が……?」
「まずは先に地竜の倒す方法を教えるわ。この地竜は熱を与え過ぎると大爆発を引き起こすの……だけど、逆に体温を冷やせば爆発を食い止める事が出来る。そのために貴方の力が必要不可欠なのよ」
「……どうして?」
地竜を倒すには熱を下げて完全に凍り付かせればよい事は理解したが、どうしてこの状況で自分の力が必要なのかレナは疑問を抱く。確かに氷属性の魔法はレナも扱えるが、本職の魔術師の砲撃魔法やアルミナのような複雑な工夫を施した初級魔法を扱えないレナでは地竜を凍り付かせる事など出来ないはずだが、マリアは何事もないように告げる。
「だって貴方は支援魔術師じゃないの。支援魔術師の能力は他者の力を強化させる事でしょう?」
「あっ……そういえばそうだった」
「あ、貴方ね……自分の職業の事を忘れていたの?」
「レナ……」
マリアの言葉に自分の職業の本質を思い出したレナに他の人間は呆気に取られ、もしもアイリスが話しかけられる状態ならば彼女も呆れた言葉を掛けていただろう。
※主人公なのに自分の職業の真価を忘れるとは……
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