不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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放浪編

魚人族

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「おい、そこのガキ共!!その鮫……じゃなくて、魚人を渡しやがれ!!」
「何だお前達は?」
「お、おおう……兄貴、こいつ巨人族ですよ。ちょっと不味いんじゃ……」
「ば、馬鹿野郎!!びびってんじゃねえよ!!」


川原に現れた傭兵の集団に対してゴンゾウが前に出ると彼等は後ずさり、彼の巨体に圧倒される。冒険都市では巨人族は珍しくはないが、獣人国では巨人族は滅多にいないのか傭兵達はゴンゾウの外見を見て怖気つく。そんな彼等を見てレナが代わりに質問する。


「それで、あんた達は誰?俺達に何か用なの?」
「そ、そうだ!!お前等がこの魚人を捕まえたのか?」
「捕まえたといえば捕まえたけど、それがどうかしたの?というか、さっきから魚人って何のことを言って……」
「兄貴!!やっぱりこいつらが盗人ですぜ!!捕まえて警備兵に差し出しましょう!!」
「……はあっ?」


レナの言葉を聞いて下っ端と思われる低身長の痩せ男が騒ぎ出し、警備兵に突き出すという言葉にレナは目つきを鋭くさせ、手に持っていた紅蓮を握り締める。その様子を確認した傭兵は少年とは思えない威圧感を放つレナに怯え、傭兵の頭と思われる大男が慌てて言い繕う。


「ちょ、ちょっと待ちな!!俺達は別にあんたらと争う気はねえ……その、こいつを何処で捕まえたんだ?」
「そこの川で泳いでいたところをこの子が捕まえたんだよ。それで今から調理して食べようとしていたところだよ」
「いぇいっ」


男の質問にレナが答えると何故かコトミンは誇らしげにダブルピースを行い、彼女の容姿を見て人魚族だと判断した傭兵の頭は何かを悟ったように仲間達に頷く。


「そ、そうか……つまり、あんた達は偶然川に泳いでいたこいつを捕まえただけなんだな?なら、別に問題はないんだ。疑って悪かったな」
「それよりもさっきから気になってるんだけど、魚人というのはこいつの事?ただの鮫じゃないのこいつ?」
「馬鹿かお前は!!ただの鮫が街中に居るわけねえだろ!!」
「まあ、それもそうだけど……でも実際に居るじゃん」


レナの言葉に下っ端の痩せ男が言い返すが、実際に街中に鮫が存在するのは間違いなく、抜き身の刀で川原に横たわっている鮫を指差すレナに対して傭兵の頭が説明を行う。


「仕方ねえか……あんた等は魚人族というのを知っているか?人魚族よりも希少な種族だ」
「魚人族……いや、知らないな。コトミンは知ってる?」
「お母さんから聞いたことがある。私達のように水辺で暮らす種族だって……でも、人魚族と違って外見は魚と人間が合わさったような姿をしているはず」
「魚と人間か……でも、こいつは完全に鮫じゃん」


川原に横たわっている大きな鮫には人間としての特徴は見当たらず、人語を理解できるという点を覗けば普通の鮫にしか見えない。しかし、傭兵の頭によるとこちらの鮫が魚人族である証拠があるという。


「生まれたばかりの魚人族は魚の特徴を濃く受け継ぐが、時間が経過すれば人間としての特徴も浮き出るんだよ。そしてこいつはまだ生まれたばかりの魚人だ。あと何年かすれば人間のように手足が生えるんだ」
「じゃあ、俺が前に見た鮫人間も魚人族だったのか……本当に変わった世界だな」
「そんな事よりもその魚人を俺達に引き渡せ!!こいつは元々はこの街の領主様の息子が飼っていたペットなんだよ!!だけど、この間の大雨のせいで屋敷の池が溢れて外に逃げ出したせいで俺達はずっと探してたんだぞ!!」
「なるほど、そういう事ね」


話を聞く限りではレナ達が捕まえた鮫は「魚人族」であり、街の領主の屋敷に飼われていたが大雨の日に逃げ出したらしく、どのような経緯があったのかは不明だが川の中に逃げ込んで今まで生き延びていたらしい。そして偶然にも街に立ち寄っていたコトミンに捕縛され、現在に至るらしい。

レナ達の元に現れた傭兵の集団は屋敷の領主に雇われて魚人の捜索を行っていたらしく、偶然にもレナ達が捕縛した魚人を発見した事になる。事情を知ったレナ達は魚人をどうするべきか考え、とりあえずこのまま引き渡すべきか話し合う。


「レナ、どうする?こいつらにこの鮫を引き渡すか?」
「でも、話を聞く限りだとこの人達は鮫を領主に引き渡す事でお金を貰えるようだし……ここで只で渡すのも納得出来ないな。見つけたのは俺達だし」
「私も折角捕まえた獲物を渡すのは嫌」
「おい、こら!!こそこそと何を話し合ってんだ!?」


不穏な会話を行うレナ達に傭兵の頭が割って入ると、地面の上で横たわっていた鮫が隙を突いて川の中に飛び込もうと身体を跳ねる。


「っ……!!」
「あ、不味い!!兄貴、魚人の奴が……!!」
「しまった!?捕まえろ!!」


あと少しで川の中に飛び込もうとした鮫を傭兵達が慌てて取り抑え、逃げられないように拘束する。必死に鮫は逃げ出そうとするが外見ほど力は強くないのかあっさりと取り抑えられてしまう。
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