不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
464 / 2,091
放浪編

領主の息子

しおりを挟む
「よし、捕まえればこっちのもんだ!!すぐにそいつを屋敷へ運び出せ!!」
「縄で縛れ!!もう逃がさないからな!!」
「おい、ちょっと乱暴じゃないのか?」
「というか、勝手にうちの獲物に触らないでほしいんですけど」
「だからこいつは領主様の息子のペットだって言ってんだろ!?」


勝手に魚人を連れ出そうとする傭兵達にレナとゴンゾウが近寄ると、盗賊の頭が腰に差していたカトラスを引き抜いて構える。


「へへっ……悪いがこいつは俺達が連れて行く。見つけてくれたのは感謝するが、報酬は俺達の物だ!!」
「むうっ……私の昼ご飯なのに」
「本当に食べる気だったのか!?人魚族と魚人族は親戚みたいなもんだろうが!?」


不満そうに頬を膨らませて抗議を行うコトミンに傭兵の頭は戸惑うが、そんな彼に対してレナはため息を吐きながら近寄り、刀を持っていない右手を伸ばす。その行為を見て傭兵の頭は驚いた表情を浮かべ、慌てて刃を振り払う。


「ち、近づくんじゃねえ!!本当に切っちまうぞ!?ガキだからって容赦しないぞ!!」
「うるさいな……よっと」
「うおおっ!?」


カトラスの刃を人差し指と親指で挟んだレナは「形状高速変化」の能力を利用して刃の形を変形させ、刀身をくの字のように折り曲げる。傍目から見たらレナが恐ろしい怪力で刃を曲げたようにしか見えず、刃が完全に曲がってしまった傭兵の頭は慌ててカトラスを手放してしまう。

その光景を見た他の傭兵達も目を見開き、魚人を拘束する事を中断してレナに視線を向ける。全員に見られている事に気付きながらもレナは落ちたカトラスを拾い上げ、今度は刃を元の形に戻すように引き延ばすと、腰を抜かした傭兵の頭に差し出す。


「ほら、落としましたよ」
「あ、ああっ……!?」
「な、何だこのガキ……化物か!?」
「おい、こいつら本当は腕利きの冒険者なんじゃ……」


先ほどまでの威勢はどうしたのか、レナの行動を目の当たりにした傭兵達は怖気ついたように顔色を青くさせ、その光景を確認したゴンゾウは自分が出る必要はないと判断して待機する。


「ところでさ……あんたら、さっき報酬を貰えるとか言ってたけど、もしかしてこの鮫を領主の元へ送り返したら大金が貰えるの?」
「えっ……あっ、はい?」
「それ……いくらぐらい?」


報酬という言葉に反応したレナは傭兵達に笑みを浮かべ、都合よく金欠の状態だったので彼等の話す内容によっては鮫を引き渡しても構わない事を伝えた――




――十数分後、縄で縛りつけた魚人を荷車に乗せてレナ達は傭兵の案内の元で街の領主の元へ訪れ、傭兵を通して事情を話して自分達が川で泳いでいた魚人を捕まえた事を伝える。そして傭兵が受け取るはずだった報酬の半額を受け取る事を条件に魚人を引き渡す事を領主に申し込むと、相手は快く承諾してレナ達を屋敷の中に招く。


「改めまして私がこの街の領主を行っているガブと申します。此度の件、我が家が雇っている傭兵が皆さまに迷惑を掛けてしまい、誠に申し訳ない……」
「いえ、頭を上げてください。こちらは気にしていないので……」
「ゴンゾ、ここお菓子美味しい」
「うむ。お茶も美味いな……」


この街を領主を務めるのは「ガブ」という名前の獣人国の男爵らしく、傭兵が連れて来たレナ達の話を聞くために客室にまで案内を行い、高価なお菓子とお茶を用意して今回の件の謝罪を行う。傭兵達が無理やりにレナ達が捕まえた魚人を奪い取ろうとした件を聞いてガブ男爵は申し訳なさそうに頭を下げる。


「彼等は最近雇ったばかりの傭兵なのですが、どうも粗忽物が多くて我等も困っています……腕に自信があると言って雇ったのですが、やはり傭兵など当てになりませんな」
「そうなんですか……あの、どうして傭兵を雇っているんですか?」
「我が領地は土地が少なく、私兵を雇用する事も出来ません。なので用事が出来たときに傭兵ギルドに掛け合い、腕の立つ傭兵を雇うのですが……今回はどうも外れをひいたようです」


冒険者や巨人族が混じっているとはいえ、3人の子供を相手に情けなく魚人を譲り受けた傭兵達にガブ男爵は落胆を隠せないようであり、溜息を吐きながら紅茶をすする。その様子を見ながらレナは私兵が雇えない程に不味しいと言い張るにしては部屋の内装も用意されたお菓子も紅茶も高級品である事に疑問を抱く。


(私兵を雇う事も出来ない割には随分と羽振りが良さそうだけどな……何か兵士を雇えない理由でもあるのか?)


金銭面で困っているようには見えず、そもそも魚人を探し出すために傭兵を雇うという話自体がおかしく、不思議に思いながらもレナは本題に入る。


「それで報酬の件なんですが……」
「その事に関してなのですが、実は皆さまにお願いしたい事があります。報酬の件はその後という事でよろしいでしょうか?」
「……まあ、構いませんが」


嫌な予感を覚えながらも今後の旅費を稼ぐために報酬を受け取りたいレナはガブの話を聞く事にすると、ガブはベルを鳴らして使用人を呼ぶ。





※今回の投降の……面倒くさい!!

アイリス「はい、上記に書いてある通りにもう私が公開ボタンを押すまでの茶番は省略させてもらいます。これからは不定期に連続投稿します」(´ω`)ノ公開ボタン
レナ「もしも10時以外に投稿されていたら俺達の活躍で公開ボタンが押されたと考えてください」(・ω・)ノ
カタナヅキ「や、休ませてくれない……」(;´・ω・)
しおりを挟む
感想 5,095

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。