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放浪編
ガブ男爵の息子
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「お、お前どうやってここに入ってきた……!?ここの鍵を持っているのは俺と男爵だけだぞ!?」
「その質問に答える義務があると思う?次にくだらない事を話したら切るぞ」
「ぐうっ……分かった」
ダルンの首筋に刃を構えたままレナは質問を行う。先ほどのダルンとガブの会話から二人がただの雇用主と雇用者ではない事は明白であり、最初に二人の関係を問う。
「お前と男爵はどういう関係だ?金で雇われた傭兵にしては随分と仲良さそうだったな」
「お、俺は元々はこの屋敷で働いていたんだ。その頃から男爵には色々と世話になっていた……」
「なるほど、それなら傭兵じゃないのか?」
「いや、今は俺は傭兵ギルドに所属している。俺のも手下も傭兵ギルドの下っ端だ。嘘は言ってない!!」
ガブの話ではダルンは傭兵ギルドから今回限り雇った傭兵だと語っていたが、どうやら実際の所はダルンが傭兵ギルドに入る前から面識があったらしく、未だに主従関係を築いているという。
「どうしてここを止めて傭兵ギルドに入った?」
「俺が傭兵ギルドに入ったのも男爵の指示だからだよ!!あの人に傭兵ギルドが仕入れてくる情報を教えるために俺は傭兵になったんだ」
「子供を誘拐した理由は?」
「そ、そこまで知ってるのか……子供を誘拐するように指示したのは男爵だ」
傭兵ギルドに入ったダルンは男爵の命令でギルドに入ってくる情報を共有し、彼の命令で街の子供を誘拐した事を白状する。既に子供は数十人も誘拐しており、その中で生き残っている子供はもう10人にも満たないという。
「どうして子供をさらった?あの檻に閉じ込められている男爵の子供が関係しているのか?」
「お前、あれを見たのか……そうだ、男爵がおかしくなったのは坊ちゃんがああなってからだ」
全てを知られていると知ったダルンは観念したように身体の力を抜き、座り込む。反抗する意思がないと判断したレナは剣を首筋から離すと、ダルンが知っている情報を全て吐くように伝えた――
――今から3年程前、ガブは最愛の息子と共に平穏に暮らしていたという。当時は数多くの使用人を抱えており、立派な領主として人々から信頼される人物だったらしく、ダルンも当時は存在した私兵の警備隊長として働いていたという。ガブの妻は子供を産んだ時に亡くなってしまい、それだけに唯一残された家族である息子を男爵を大切に育てていたという。
だが、全てが狂い始めたのはガブの息子が誤って馬車に轢かれて亡くなって頃からであり、大切な一人息子を失ったガブは嘆き悲しんだという。既に死亡した息子を抱えてガブは治療院に駆け込んで息子を生き返らせるように願うが、既に死亡した人間を生き返らせる術を持ち合わせた者はいなかった。
何日も息子の遺体に縋りついて咽び泣くガブに使用人や私兵達も悲しむが、いくら泣いたところで子供は生き返る事はなく、全員が埋葬するようにガブに伝える。しかし、どうしても諦めきれなかったガブは息子を取り戻す最後の手段として大金を支払ってとある「死霊使い」を呼び寄せる。
息子が死亡してから一か月後、流石に諦めかけていたガブの元に一人の死霊使いが訪れる。現れた死霊使いは女性だったらしく、彼女は息子を「死霊術」で生き返らせる条件としてガブに大金を要求した。だが、当時から幾つもの鉱山を所有していたガブは彼女の要求した金額を支払い、息子を蘇らせた。
しかし、既に死後から時間が経過していた息子の肉体は腐敗化が激しく、死霊術で「死霊人形」と化した息子は生前の面影がない化物と化していた。その姿を見たガブは激しく動揺し、息子を元の状態で生き返らせる事は出来ないのかと死霊使いに懇願する。
最初はガブの要求に面倒そうにあしらっていた彼女だったが、男爵家に伝わる家宝を差し出すという条件で死霊使いは息子に特別な術を施し、生身の肉体に戻す方法を教える。その内容とは若い子供の血肉を与えて食べさせる事で腐敗化した息子の肉体を再生させるという悍ましい方法だった。
死霊使いが立ち去った後、狂気に染まったガブは息子とそれほど年齢が離れていない子供を狙い、私兵を利用して何人もの子供を誘拐させた。そのお陰で息子は子供の肉体を喰らう事で徐々に肉体が生前の姿に戻り、その姿に歓喜したガブは子供を誘拐を続ける。
だが、ダルンを除いた私兵は何の罪もない子供を誘拐し続ける行為に罪悪感を抱き、次々と彼の元を立ち去る。狂気に陥る前は尊敬できる人物だっただけに立ち去った後も彼の凶行を他の人間に伝える事はしなかったが、そのせいで今に至るまで大勢の子供が命を落としてしまう。
ダルンだけはガブを見捨てずに彼に仕え続けたが、実際は自分も子供の誘拐に関与している時点で罪は免れず、彼の共犯者として生きていくしかないと諦めていた。それにダルンも過去に子供を失ったことがあり、どんな方法でも息子を取り戻そうとするガブの気持ちは理解できなくもなかった。だが、そんな同情心のせいで次々と子供達が犠牲になる姿を見て罪悪感を抱かずにはいられず、髪の毛は抜け落ちてしまった。
「その質問に答える義務があると思う?次にくだらない事を話したら切るぞ」
「ぐうっ……分かった」
ダルンの首筋に刃を構えたままレナは質問を行う。先ほどのダルンとガブの会話から二人がただの雇用主と雇用者ではない事は明白であり、最初に二人の関係を問う。
「お前と男爵はどういう関係だ?金で雇われた傭兵にしては随分と仲良さそうだったな」
「お、俺は元々はこの屋敷で働いていたんだ。その頃から男爵には色々と世話になっていた……」
「なるほど、それなら傭兵じゃないのか?」
「いや、今は俺は傭兵ギルドに所属している。俺のも手下も傭兵ギルドの下っ端だ。嘘は言ってない!!」
ガブの話ではダルンは傭兵ギルドから今回限り雇った傭兵だと語っていたが、どうやら実際の所はダルンが傭兵ギルドに入る前から面識があったらしく、未だに主従関係を築いているという。
「どうしてここを止めて傭兵ギルドに入った?」
「俺が傭兵ギルドに入ったのも男爵の指示だからだよ!!あの人に傭兵ギルドが仕入れてくる情報を教えるために俺は傭兵になったんだ」
「子供を誘拐した理由は?」
「そ、そこまで知ってるのか……子供を誘拐するように指示したのは男爵だ」
傭兵ギルドに入ったダルンは男爵の命令でギルドに入ってくる情報を共有し、彼の命令で街の子供を誘拐した事を白状する。既に子供は数十人も誘拐しており、その中で生き残っている子供はもう10人にも満たないという。
「どうして子供をさらった?あの檻に閉じ込められている男爵の子供が関係しているのか?」
「お前、あれを見たのか……そうだ、男爵がおかしくなったのは坊ちゃんがああなってからだ」
全てを知られていると知ったダルンは観念したように身体の力を抜き、座り込む。反抗する意思がないと判断したレナは剣を首筋から離すと、ダルンが知っている情報を全て吐くように伝えた――
――今から3年程前、ガブは最愛の息子と共に平穏に暮らしていたという。当時は数多くの使用人を抱えており、立派な領主として人々から信頼される人物だったらしく、ダルンも当時は存在した私兵の警備隊長として働いていたという。ガブの妻は子供を産んだ時に亡くなってしまい、それだけに唯一残された家族である息子を男爵を大切に育てていたという。
だが、全てが狂い始めたのはガブの息子が誤って馬車に轢かれて亡くなって頃からであり、大切な一人息子を失ったガブは嘆き悲しんだという。既に死亡した息子を抱えてガブは治療院に駆け込んで息子を生き返らせるように願うが、既に死亡した人間を生き返らせる術を持ち合わせた者はいなかった。
何日も息子の遺体に縋りついて咽び泣くガブに使用人や私兵達も悲しむが、いくら泣いたところで子供は生き返る事はなく、全員が埋葬するようにガブに伝える。しかし、どうしても諦めきれなかったガブは息子を取り戻す最後の手段として大金を支払ってとある「死霊使い」を呼び寄せる。
息子が死亡してから一か月後、流石に諦めかけていたガブの元に一人の死霊使いが訪れる。現れた死霊使いは女性だったらしく、彼女は息子を「死霊術」で生き返らせる条件としてガブに大金を要求した。だが、当時から幾つもの鉱山を所有していたガブは彼女の要求した金額を支払い、息子を蘇らせた。
しかし、既に死後から時間が経過していた息子の肉体は腐敗化が激しく、死霊術で「死霊人形」と化した息子は生前の面影がない化物と化していた。その姿を見たガブは激しく動揺し、息子を元の状態で生き返らせる事は出来ないのかと死霊使いに懇願する。
最初はガブの要求に面倒そうにあしらっていた彼女だったが、男爵家に伝わる家宝を差し出すという条件で死霊使いは息子に特別な術を施し、生身の肉体に戻す方法を教える。その内容とは若い子供の血肉を与えて食べさせる事で腐敗化した息子の肉体を再生させるという悍ましい方法だった。
死霊使いが立ち去った後、狂気に染まったガブは息子とそれほど年齢が離れていない子供を狙い、私兵を利用して何人もの子供を誘拐させた。そのお陰で息子は子供の肉体を喰らう事で徐々に肉体が生前の姿に戻り、その姿に歓喜したガブは子供を誘拐を続ける。
だが、ダルンを除いた私兵は何の罪もない子供を誘拐し続ける行為に罪悪感を抱き、次々と彼の元を立ち去る。狂気に陥る前は尊敬できる人物だっただけに立ち去った後も彼の凶行を他の人間に伝える事はしなかったが、そのせいで今に至るまで大勢の子供が命を落としてしまう。
ダルンだけはガブを見捨てずに彼に仕え続けたが、実際は自分も子供の誘拐に関与している時点で罪は免れず、彼の共犯者として生きていくしかないと諦めていた。それにダルンも過去に子供を失ったことがあり、どんな方法でも息子を取り戻そうとするガブの気持ちは理解できなくもなかった。だが、そんな同情心のせいで次々と子供達が犠牲になる姿を見て罪悪感を抱かずにはいられず、髪の毛は抜け落ちてしまった。
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