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放浪編
閑話 〈王妃の子〉
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――王都に存在する王城の一室に一人の少年が窓から差す月光に照らされていた。少年の身の回りには砕けた魔石の破片が散らばり、少年の首元には王家の人間にしか所持が許されない「聖光石」のペンダントが掲げられていた。
「……満月か」
少年は窓から見える月を見上げて溜息を吐き出し、自分の胸元の聖光石を覗く。月の光に照らされた事で幻想的な美しさを放つ魔石のペンダントに対して少年は眉をしかめる。
「こんな物、いらないのに」
ペンダントを握り締めた少年はベッドの上に放り投げ、床に落ちていた魔石の破片を拾い上げる。砕けてしまった魔石は本来の効果を失い、ただの鉱石へと戻るだけなのだが不思議な事に少年が破片を拾い上げた瞬間に光り輝き、白色の光を放つ。
「はあっ……」
掌の中で光り続ける魔石の破片に視線を向け、少年は再び溜息を吐きながら床に放り捨てる。少年の手元を離れた途端に魔石の破片は光を失い、呆気なく砕け散ってしまう。その様子を見て少年はつまらなそうにベッドに座り込み、未だに戻らぬ両親の事を思い出す。
――少年の名前は「レア・バルトロス」バルトロス王国の「第二王子」であり、バルトロス13世と王妃の間から生まれた子供として世間からは認識されている。
レアという名前を名付けられたのはバルトロス帝国の時代に召喚された勇者の一人と同じ名前であり、彼のような勇敢で優しい人間に育ってほしいという王妃の願いから名付けられた。しかし、実際の理由は別に存在し、王妃の本名である「イレアビト」からレアという名前を切り出して名付けられた。
どうして王妃が自分の本名からレアという名前を授けたのかは不明であり、レア自身も自分の名前は気にしてはいなかった。だが、仮にも王族であるレアがどうして冒険都市で開かれる闘技祭の観光に参加出来なかったのかというと、それは王妃の命令でレアは生まれて一度も王城の外へ踏み出したことはない。
「……暇だな」
外の世界へ出る事を許されていないレアはつまらなそうにベッドの天蓋を見つめ、早く両親と自分の世話役を任されているミドルが戻ってくる事を願う。レアは部屋の外に一人で抜け出す事も許されておらず、必ず外に出向くときも誰かと行動を共にしなければならなかった。
何故、王妃が実の子であるレアを王城の一室に閉じ込めているのかというと、一つは外部からの危険から守るためである。王妃にはマリアを含めて敵対する存在が数多く、敵からの脅威から守るためにレアを監禁に近い生活を送らせていた。そのせいで遊び盛りの年齢を迎えたにも関わらずにレアは友達の一人も出来ず、それどころか他の人間と接触する機会も与えられない。
「ふうっ……もう勉強なんてしたくないな」
部屋の机の上には山積みの書物が置かれており、それを見たレアは頭を抱える。これらの書物は王妃が用意したレアへの宿題であり、内容は文字の読み書きや数字の暗算、自分の身を守るための護身術の心得が記された本も含まれている。
それだけならばまだしも本の中には「帝王学」に関する書籍も含まれており、人心の掌握術や演説などの手順、果てには敵対する人間と相対したときの態度の助言まで記されていた。普通の子供が学ぶような内容ではなく、嫌になったレアはベッドの上に寝転がった。
「母上……ちゃんと勉強したら今度は褒めてくれるかな」
自分の母親である王妃の顔を思い浮かべたレアはため息を吐き出し、彼は生まれてから一度も王妃が笑った顔を見た事がない。より正確に言えば自分に向けて笑いかける王妃の顔を見た事はなく、そもそも王妃と顔を合わせる機会も滅多にない。
王妃がこの部屋に訪れるときは国王がレアとの対面を希望する時だけでそれ以外の用事では部屋に近付く事もせず、時折配下を使ってレアの様子を確認する程度である。自分の子供ではない側近の少年や少女たちには愛情を惜しまないのに対し、王妃は実の子であるレアに対して必要以上の接触を避けていた。
「……何で母上は笑ってくれないんだろう」
レアは子供ながらに母親が自分に対して愛情を抱いていない事を感じ取り、どうして自分を愛してくれないのか思い悩む。唯一自分に愛情を示していた国王さえも最近は顔を合わせず、他の姉弟に関しても顔を合わせた事もない。孤独感に悩まされながらもレアは身体を起きあげ、窓の外の光景に視線を向ける。
「ん?」
一瞬だけ窓に人影のような物が横切り、不思議に思ったレアはベッドから起き上がって窓に近付くが、特に異変はない。そもそもこの部屋は3階に存在するので人間が通り過ぎる事など有り得ないのだが、確かに見えた人影にレアは疑問を抱く。
「何だ、今の……?」
一瞬だけ見えた影の事が気になったレアは窓を開こうとしたが、そんな彼の背後から忍び寄る影が存在した――
※昨日の晩の出来事……
カタナヅキ「ん?夜中なのに部屋に電気が……誰だ?」
アイリス「フリーイラストレーター……依頼方法」( ゚ω ゚)ノパソコン
カタナヅキ「こ、こいつ……自腹で自分の挿絵を描かせるつもりか!?」(;´・ω・)
「……満月か」
少年は窓から見える月を見上げて溜息を吐き出し、自分の胸元の聖光石を覗く。月の光に照らされた事で幻想的な美しさを放つ魔石のペンダントに対して少年は眉をしかめる。
「こんな物、いらないのに」
ペンダントを握り締めた少年はベッドの上に放り投げ、床に落ちていた魔石の破片を拾い上げる。砕けてしまった魔石は本来の効果を失い、ただの鉱石へと戻るだけなのだが不思議な事に少年が破片を拾い上げた瞬間に光り輝き、白色の光を放つ。
「はあっ……」
掌の中で光り続ける魔石の破片に視線を向け、少年は再び溜息を吐きながら床に放り捨てる。少年の手元を離れた途端に魔石の破片は光を失い、呆気なく砕け散ってしまう。その様子を見て少年はつまらなそうにベッドに座り込み、未だに戻らぬ両親の事を思い出す。
――少年の名前は「レア・バルトロス」バルトロス王国の「第二王子」であり、バルトロス13世と王妃の間から生まれた子供として世間からは認識されている。
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どうして王妃が自分の本名からレアという名前を授けたのかは不明であり、レア自身も自分の名前は気にしてはいなかった。だが、仮にも王族であるレアがどうして冒険都市で開かれる闘技祭の観光に参加出来なかったのかというと、それは王妃の命令でレアは生まれて一度も王城の外へ踏み出したことはない。
「……暇だな」
外の世界へ出る事を許されていないレアはつまらなそうにベッドの天蓋を見つめ、早く両親と自分の世話役を任されているミドルが戻ってくる事を願う。レアは部屋の外に一人で抜け出す事も許されておらず、必ず外に出向くときも誰かと行動を共にしなければならなかった。
何故、王妃が実の子であるレアを王城の一室に閉じ込めているのかというと、一つは外部からの危険から守るためである。王妃にはマリアを含めて敵対する存在が数多く、敵からの脅威から守るためにレアを監禁に近い生活を送らせていた。そのせいで遊び盛りの年齢を迎えたにも関わらずにレアは友達の一人も出来ず、それどころか他の人間と接触する機会も与えられない。
「ふうっ……もう勉強なんてしたくないな」
部屋の机の上には山積みの書物が置かれており、それを見たレアは頭を抱える。これらの書物は王妃が用意したレアへの宿題であり、内容は文字の読み書きや数字の暗算、自分の身を守るための護身術の心得が記された本も含まれている。
それだけならばまだしも本の中には「帝王学」に関する書籍も含まれており、人心の掌握術や演説などの手順、果てには敵対する人間と相対したときの態度の助言まで記されていた。普通の子供が学ぶような内容ではなく、嫌になったレアはベッドの上に寝転がった。
「母上……ちゃんと勉強したら今度は褒めてくれるかな」
自分の母親である王妃の顔を思い浮かべたレアはため息を吐き出し、彼は生まれてから一度も王妃が笑った顔を見た事がない。より正確に言えば自分に向けて笑いかける王妃の顔を見た事はなく、そもそも王妃と顔を合わせる機会も滅多にない。
王妃がこの部屋に訪れるときは国王がレアとの対面を希望する時だけでそれ以外の用事では部屋に近付く事もせず、時折配下を使ってレアの様子を確認する程度である。自分の子供ではない側近の少年や少女たちには愛情を惜しまないのに対し、王妃は実の子であるレアに対して必要以上の接触を避けていた。
「……何で母上は笑ってくれないんだろう」
レアは子供ながらに母親が自分に対して愛情を抱いていない事を感じ取り、どうして自分を愛してくれないのか思い悩む。唯一自分に愛情を示していた国王さえも最近は顔を合わせず、他の姉弟に関しても顔を合わせた事もない。孤独感に悩まされながらもレアは身体を起きあげ、窓の外の光景に視線を向ける。
「ん?」
一瞬だけ窓に人影のような物が横切り、不思議に思ったレアはベッドから起き上がって窓に近付くが、特に異変はない。そもそもこの部屋は3階に存在するので人間が通り過ぎる事など有り得ないのだが、確かに見えた人影にレアは疑問を抱く。
「何だ、今の……?」
一瞬だけ見えた影の事が気になったレアは窓を開こうとしたが、そんな彼の背後から忍び寄る影が存在した――
※昨日の晩の出来事……
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