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放浪編
転移門の起動
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「ふうっ……よし、いくぞ」
「ちょ、何する気だよレナ?あんまり触んない方がいいんじゃないのか?」
「レナ?」
台座の前に立ったレナに対してダインが心配した声を上げ、コトミンとゴンゾウも不思議そうにレナの行動を見守る。台座の中央部に浮かぶ銀色の輪に触れると弾かれる事を承知済みであり、それでもレナは敢えて台座に近付いて鍵穴の部分に掌を構えた。
この「転移門」を発動させるには「十字鍵」と呼ばれる特別な鍵が必要であり、アイリスの情報では残念ながらこの遺跡には十字鍵は残されていないという。だが、錬金術師であるレナならばどんな鍵だろうと解除する事が出来る。
(深く考えるな、いつも通りに鍵を開けるだけでいい)
自分の家の鍵を開く要領でレナは台座に掌を振れると「形状高速変化」の応用で鍵穴の内部の構造を変化させた瞬間、台座から鍵が解除された音が鳴り響き、同時に転移門の「輪」が光り輝く。
「よし!!」
「うわ、何だっ!?」
「これは……どうなっている!?」
「輪っかが煌めいてる……?」
転移門の発動に成功した事で台座の輪の内部に別の場所の映像が映し出され、それを確認したレナは台座の上に乗り込んで移動先を確認する。アイリスの情報では表示された映像が移動先を示し、転移したい場所を指示すれば転移門同士が繋がるという。
輪に表示された映像は5つ存在し、その内の1つを確認したレナは掌を伸ばして映像に触れた瞬間、輪の内部の空間が黒色の渦巻へと変化を果たす。まるでレナの空間魔法を発動させるときに生み出される「黒渦」と酷似しており、起動を確認したレナはコトミン達に振り返る。
「皆、この中に入るよ」
「嘘だろ!?そんな得体のしれない物の中に入るの!?」
「大丈夫なのか?」
「ちょっと怖い……」
「大丈夫だって……じゃあ、俺から先に入るからね」
皆が転移門の中に入る事に躊躇する中、先にレナは一人で黒渦の中を潜り抜け、身体が暗黒空間に飲み込まれる感覚を味わう。やがて数秒の時が経過すると、ゆっくりとレナの視界に光が戻り始め、見覚えのある場所に辿り着いた。
「ここは……成功したのか?」
レナの周囲には荒れ果てた遺跡が広がっており、最初は転移門の輪を潜り抜けただけかと思ったが、周囲の景色が微妙に異なっていた。まず聖剣レーヴァティンが封じられていた神殿の建物は見当たらず、代わりに見覚えのある漆黒の金属で構成された建築物が存在した。
(間違いない、ここは深淵の遺跡だ!!)
無事に転移に成功したらしく、レナは神器「黒夜叉」が保管されているアダマンタイト製の倉庫へ移動する。全体が漆黒の金属に覆われた建造物の中に封じられた巨人族専用の鎧一式を確認すると、ここが深淵の森の奥に存在する遺跡である事を再確認する。
(ここまで戻ってこれたのか……あ、こっちの転移門は地面に埋まっていたのか)
最初にこの場所に訪れたときに転移門の存在に気付かなかったのは転移門の輪の部分が地面に埋まっている事が判明し、どうやらこちらの遺跡では過去に起きた戦のせいで転移門が破壊されていたのか、台座の部分は見当たらず、代わりに輪の部分が地面に埋もれていた。
この状態でも転移門の起動は出来るらしく、輪の内部が黒渦に染まっていた。そして黒渦の中からコトミンたちも飛び出してくると、身体を風船のようにゆっくりと降下しながら地面に降り立つ。
「うおっ!?」
「わああっ!?」
「着地っ」
ゴンゾウとダインが地面に転んだのに対してコトミンは見事に着地を決め、3人は周囲の光景の変化に驚いた表情を浮かべ、本当に別の場所に転移した事を確信する。
「こ、ここってもしかして前に僕達が訪れた森の奥の遺跡か?まさか、本当にこんな場所まで移動出来るなんて……」
「信じられんな……いや、転移魔法自体は初めてではないが」
「あっ……輪が元に戻った」
3人が混乱している間に転移門が停止したのか輪の内部の黒渦が消えてしまい、機能を失ったように輝きも消えてしまう。その様子を確認したレナは獣魔の森に残したシークの事を思い出す。
「あ、しまった……シークの事を忘れてた。別れの挨拶ぐらいしておくべきだったな……」
「大丈夫じゃないか?俺達が戻らないときは自由に暮らすように告げておいただろう?」
「そうだね、シークならきっと大丈夫かな。食い意地の張った人魚族の女の子に見つからなければ……」
「むうっ……」
「シーク……?」
森にシークを残してしまった事は心残りだが、こちらの遺跡の転移門は台座が既に破壊されているのか見当たらず、ここから転移門を発動させて獣魔の森の転移門に移動する事は出来ない。仕方なく、シークが無事に生き残る事を祈りながらもレナは次の目的のために動く。
「よし……じゃあ、家に戻ろう。そこに俺達の事を待っている人がいるはずだから」
「家って……」
「レナの家?」
――転移門の行先を深淵の森にレナが指定したのは理由があり、かつて幼少期の自分が暮していた森の奥の屋敷に自分達を待つ人達が居る事を知ったからである。彼等の力は必ず王都に存在するナオ達の奪還に役立つため、すぐに迎えに行くためにレナは3人を連れて遺跡を抜け出す。
※シーク「シャアアッ……(置いてかれた)」(;´・ω・)
アイリス「仕方ないですね。私が面倒を見てあげましょう」(´ω`)ノコイコイ
「ちょ、何する気だよレナ?あんまり触んない方がいいんじゃないのか?」
「レナ?」
台座の前に立ったレナに対してダインが心配した声を上げ、コトミンとゴンゾウも不思議そうにレナの行動を見守る。台座の中央部に浮かぶ銀色の輪に触れると弾かれる事を承知済みであり、それでもレナは敢えて台座に近付いて鍵穴の部分に掌を構えた。
この「転移門」を発動させるには「十字鍵」と呼ばれる特別な鍵が必要であり、アイリスの情報では残念ながらこの遺跡には十字鍵は残されていないという。だが、錬金術師であるレナならばどんな鍵だろうと解除する事が出来る。
(深く考えるな、いつも通りに鍵を開けるだけでいい)
自分の家の鍵を開く要領でレナは台座に掌を振れると「形状高速変化」の応用で鍵穴の内部の構造を変化させた瞬間、台座から鍵が解除された音が鳴り響き、同時に転移門の「輪」が光り輝く。
「よし!!」
「うわ、何だっ!?」
「これは……どうなっている!?」
「輪っかが煌めいてる……?」
転移門の発動に成功した事で台座の輪の内部に別の場所の映像が映し出され、それを確認したレナは台座の上に乗り込んで移動先を確認する。アイリスの情報では表示された映像が移動先を示し、転移したい場所を指示すれば転移門同士が繋がるという。
輪に表示された映像は5つ存在し、その内の1つを確認したレナは掌を伸ばして映像に触れた瞬間、輪の内部の空間が黒色の渦巻へと変化を果たす。まるでレナの空間魔法を発動させるときに生み出される「黒渦」と酷似しており、起動を確認したレナはコトミン達に振り返る。
「皆、この中に入るよ」
「嘘だろ!?そんな得体のしれない物の中に入るの!?」
「大丈夫なのか?」
「ちょっと怖い……」
「大丈夫だって……じゃあ、俺から先に入るからね」
皆が転移門の中に入る事に躊躇する中、先にレナは一人で黒渦の中を潜り抜け、身体が暗黒空間に飲み込まれる感覚を味わう。やがて数秒の時が経過すると、ゆっくりとレナの視界に光が戻り始め、見覚えのある場所に辿り着いた。
「ここは……成功したのか?」
レナの周囲には荒れ果てた遺跡が広がっており、最初は転移門の輪を潜り抜けただけかと思ったが、周囲の景色が微妙に異なっていた。まず聖剣レーヴァティンが封じられていた神殿の建物は見当たらず、代わりに見覚えのある漆黒の金属で構成された建築物が存在した。
(間違いない、ここは深淵の遺跡だ!!)
無事に転移に成功したらしく、レナは神器「黒夜叉」が保管されているアダマンタイト製の倉庫へ移動する。全体が漆黒の金属に覆われた建造物の中に封じられた巨人族専用の鎧一式を確認すると、ここが深淵の森の奥に存在する遺跡である事を再確認する。
(ここまで戻ってこれたのか……あ、こっちの転移門は地面に埋まっていたのか)
最初にこの場所に訪れたときに転移門の存在に気付かなかったのは転移門の輪の部分が地面に埋まっている事が判明し、どうやらこちらの遺跡では過去に起きた戦のせいで転移門が破壊されていたのか、台座の部分は見当たらず、代わりに輪の部分が地面に埋もれていた。
この状態でも転移門の起動は出来るらしく、輪の内部が黒渦に染まっていた。そして黒渦の中からコトミンたちも飛び出してくると、身体を風船のようにゆっくりと降下しながら地面に降り立つ。
「うおっ!?」
「わああっ!?」
「着地っ」
ゴンゾウとダインが地面に転んだのに対してコトミンは見事に着地を決め、3人は周囲の光景の変化に驚いた表情を浮かべ、本当に別の場所に転移した事を確信する。
「こ、ここってもしかして前に僕達が訪れた森の奥の遺跡か?まさか、本当にこんな場所まで移動出来るなんて……」
「信じられんな……いや、転移魔法自体は初めてではないが」
「あっ……輪が元に戻った」
3人が混乱している間に転移門が停止したのか輪の内部の黒渦が消えてしまい、機能を失ったように輝きも消えてしまう。その様子を確認したレナは獣魔の森に残したシークの事を思い出す。
「あ、しまった……シークの事を忘れてた。別れの挨拶ぐらいしておくべきだったな……」
「大丈夫じゃないか?俺達が戻らないときは自由に暮らすように告げておいただろう?」
「そうだね、シークならきっと大丈夫かな。食い意地の張った人魚族の女の子に見つからなければ……」
「むうっ……」
「シーク……?」
森にシークを残してしまった事は心残りだが、こちらの遺跡の転移門は台座が既に破壊されているのか見当たらず、ここから転移門を発動させて獣魔の森の転移門に移動する事は出来ない。仕方なく、シークが無事に生き残る事を祈りながらもレナは次の目的のために動く。
「よし……じゃあ、家に戻ろう。そこに俺達の事を待っている人がいるはずだから」
「家って……」
「レナの家?」
――転移門の行先を深淵の森にレナが指定したのは理由があり、かつて幼少期の自分が暮していた森の奥の屋敷に自分達を待つ人達が居る事を知ったからである。彼等の力は必ず王都に存在するナオ達の奪還に役立つため、すぐに迎えに行くためにレナは3人を連れて遺跡を抜け出す。
※シーク「シャアアッ……(置いてかれた)」(;´・ω・)
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