文字の大きさ
大
中
小
485 / 2,093
放浪編
閑話 〈王妃の子〉
――王都に存在する王城の一室に一人の少年が窓から差す月光に照らされていた。少年の身の回りには砕けた魔石の破片が散らばり、少年の首元には王家の人間にしか所持が許されない「聖光石」のペンダントが掲げられていた。
「……満月か」
少年は窓から見える月を見上げて溜息を吐き出し、自分の胸元の聖光石を覗く。月の光に照らされた事で幻想的な美しさを放つ魔石のペンダントに対して少年は眉をしかめる。
「こんな物、いらないのに」
ペンダントを握り締めた少年はベッドの上に放り投げ、床に落ちていた魔石の破片を拾い上げる。砕けてしまった魔石は本来の効果を失い、ただの鉱石へと戻るだけなのだが不思議な事に少年が破片を拾い上げた瞬間に光り輝き、白色の光を放つ。
「はあっ……」
掌の中で光り続ける魔石の破片に視線を向け、少年は再び溜息を吐きながら床に放り捨てる。少年の手元を離れた途端に魔石の破片は光を失い、呆気なく砕け散ってしまう。その様子を見て少年はつまらなそうにベッドに座り込み、未だに戻らぬ両親の事を思い出す。
――少年の名前は「レア・バルトロス」バルトロス王国の「第二王子」であり、バルトロス13世と王妃の間から生まれた子供として世間からは認識されている。
レアという名前を名付けられたのはバルトロス帝国の時代に召喚された勇者の一人と同じ名前であり、彼のような勇敢で優しい人間に育ってほしいという王妃の願いから名付けられた。しかし、実際の理由は別に存在し、王妃の本名である「イレアビト」からレアという名前を切り出して名付けられた。
どうして王妃が自分の本名からレアという名前を授けたのかは不明であり、レア自身も自分の名前は気にしてはいなかった。だが、仮にも王族であるレアがどうして冒険都市で開かれる闘技祭の観光に参加出来なかったのかというと、それは王妃の命令でレアは生まれて一度も王城の外へ踏み出したことはない。
「……暇だな」
外の世界へ出る事を許されていないレアはつまらなそうにベッドの天蓋を見つめ、早く両親と自分の世話役を任されているミドルが戻ってくる事を願う。レアは部屋の外に一人で抜け出す事も許されておらず、必ず外に出向くときも誰かと行動を共にしなければならなかった。
何故、王妃が実の子であるレアを王城の一室に閉じ込めているのかというと、一つは外部からの危険から守るためである。王妃にはマリアを含めて敵対する存在が数多く、敵からの脅威から守るためにレアを監禁に近い生活を送らせていた。そのせいで遊び盛りの年齢を迎えたにも関わらずにレアは友達の一人も出来ず、それどころか他の人間と接触する機会も与えられない。
「ふうっ……もう勉強なんてしたくないな」
部屋の机の上には山積みの書物が置かれており、それを見たレアは頭を抱える。これらの書物は王妃が用意したレアへの宿題であり、内容は文字の読み書きや数字の暗算、自分の身を守るための護身術の心得が記された本も含まれている。
それだけならばまだしも本の中には「帝王学」に関する書籍も含まれており、人心の掌握術や演説などの手順、果てには敵対する人間と相対したときの態度の助言まで記されていた。普通の子供が学ぶような内容ではなく、嫌になったレアはベッドの上に寝転がった。
「母上……ちゃんと勉強したら今度は褒めてくれるかな」
自分の母親である王妃の顔を思い浮かべたレアはため息を吐き出し、彼は生まれてから一度も王妃が笑った顔を見た事がない。より正確に言えば自分に向けて笑いかける王妃の顔を見た事はなく、そもそも王妃と顔を合わせる機会も滅多にない。
王妃がこの部屋に訪れるときは国王がレアとの対面を希望する時だけでそれ以外の用事では部屋に近付く事もせず、時折配下を使ってレアの様子を確認する程度である。自分の子供ではない側近の少年や少女たちには愛情を惜しまないのに対し、王妃は実の子であるレアに対して必要以上の接触を避けていた。
「……何で母上は笑ってくれないんだろう」
レアは子供ながらに母親が自分に対して愛情を抱いていない事を感じ取り、どうして自分を愛してくれないのか思い悩む。唯一自分に愛情を示していた国王さえも最近は顔を合わせず、他の姉弟に関しても顔を合わせた事もない。孤独感に悩まされながらもレアは身体を起きあげ、窓の外の光景に視線を向ける。
「ん?」
一瞬だけ窓に人影のような物が横切り、不思議に思ったレアはベッドから起き上がって窓に近付くが、特に異変はない。そもそもこの部屋は3階に存在するので人間が通り過ぎる事など有り得ないのだが、確かに見えた人影にレアは疑問を抱く。
「何だ、今の……?」
一瞬だけ見えた影の事が気になったレアは窓を開こうとしたが、そんな彼の背後から忍び寄る影が存在した――
※昨日の晩の出来事……
カタナヅキ「ん?夜中なのに部屋に電気が……誰だ?」
アイリス「フリーイラストレーター……依頼方法」( ゚ω ゚)ノパソコン
カタナヅキ「こ、こいつ……自腹で自分の挿絵を描かせるつもりか!?」(;´・ω・)
「……満月か」
少年は窓から見える月を見上げて溜息を吐き出し、自分の胸元の聖光石を覗く。月の光に照らされた事で幻想的な美しさを放つ魔石のペンダントに対して少年は眉をしかめる。
「こんな物、いらないのに」
ペンダントを握り締めた少年はベッドの上に放り投げ、床に落ちていた魔石の破片を拾い上げる。砕けてしまった魔石は本来の効果を失い、ただの鉱石へと戻るだけなのだが不思議な事に少年が破片を拾い上げた瞬間に光り輝き、白色の光を放つ。
「はあっ……」
掌の中で光り続ける魔石の破片に視線を向け、少年は再び溜息を吐きながら床に放り捨てる。少年の手元を離れた途端に魔石の破片は光を失い、呆気なく砕け散ってしまう。その様子を見て少年はつまらなそうにベッドに座り込み、未だに戻らぬ両親の事を思い出す。
――少年の名前は「レア・バルトロス」バルトロス王国の「第二王子」であり、バルトロス13世と王妃の間から生まれた子供として世間からは認識されている。
レアという名前を名付けられたのはバルトロス帝国の時代に召喚された勇者の一人と同じ名前であり、彼のような勇敢で優しい人間に育ってほしいという王妃の願いから名付けられた。しかし、実際の理由は別に存在し、王妃の本名である「イレアビト」からレアという名前を切り出して名付けられた。
どうして王妃が自分の本名からレアという名前を授けたのかは不明であり、レア自身も自分の名前は気にしてはいなかった。だが、仮にも王族であるレアがどうして冒険都市で開かれる闘技祭の観光に参加出来なかったのかというと、それは王妃の命令でレアは生まれて一度も王城の外へ踏み出したことはない。
「……暇だな」
外の世界へ出る事を許されていないレアはつまらなそうにベッドの天蓋を見つめ、早く両親と自分の世話役を任されているミドルが戻ってくる事を願う。レアは部屋の外に一人で抜け出す事も許されておらず、必ず外に出向くときも誰かと行動を共にしなければならなかった。
何故、王妃が実の子であるレアを王城の一室に閉じ込めているのかというと、一つは外部からの危険から守るためである。王妃にはマリアを含めて敵対する存在が数多く、敵からの脅威から守るためにレアを監禁に近い生活を送らせていた。そのせいで遊び盛りの年齢を迎えたにも関わらずにレアは友達の一人も出来ず、それどころか他の人間と接触する機会も与えられない。
「ふうっ……もう勉強なんてしたくないな」
部屋の机の上には山積みの書物が置かれており、それを見たレアは頭を抱える。これらの書物は王妃が用意したレアへの宿題であり、内容は文字の読み書きや数字の暗算、自分の身を守るための護身術の心得が記された本も含まれている。
それだけならばまだしも本の中には「帝王学」に関する書籍も含まれており、人心の掌握術や演説などの手順、果てには敵対する人間と相対したときの態度の助言まで記されていた。普通の子供が学ぶような内容ではなく、嫌になったレアはベッドの上に寝転がった。
「母上……ちゃんと勉強したら今度は褒めてくれるかな」
自分の母親である王妃の顔を思い浮かべたレアはため息を吐き出し、彼は生まれてから一度も王妃が笑った顔を見た事がない。より正確に言えば自分に向けて笑いかける王妃の顔を見た事はなく、そもそも王妃と顔を合わせる機会も滅多にない。
王妃がこの部屋に訪れるときは国王がレアとの対面を希望する時だけでそれ以外の用事では部屋に近付く事もせず、時折配下を使ってレアの様子を確認する程度である。自分の子供ではない側近の少年や少女たちには愛情を惜しまないのに対し、王妃は実の子であるレアに対して必要以上の接触を避けていた。
「……何で母上は笑ってくれないんだろう」
レアは子供ながらに母親が自分に対して愛情を抱いていない事を感じ取り、どうして自分を愛してくれないのか思い悩む。唯一自分に愛情を示していた国王さえも最近は顔を合わせず、他の姉弟に関しても顔を合わせた事もない。孤独感に悩まされながらもレアは身体を起きあげ、窓の外の光景に視線を向ける。
「ん?」
一瞬だけ窓に人影のような物が横切り、不思議に思ったレアはベッドから起き上がって窓に近付くが、特に異変はない。そもそもこの部屋は3階に存在するので人間が通り過ぎる事など有り得ないのだが、確かに見えた人影にレアは疑問を抱く。
「何だ、今の……?」
一瞬だけ見えた影の事が気になったレアは窓を開こうとしたが、そんな彼の背後から忍び寄る影が存在した――
※昨日の晩の出来事……
カタナヅキ「ん?夜中なのに部屋に電気が……誰だ?」
アイリス「フリーイラストレーター……依頼方法」( ゚ω ゚)ノパソコン
カタナヅキ「こ、こいつ……自腹で自分の挿絵を描かせるつもりか!?」(;´・ω・)
感想 5,097
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『ベルンハルト・フォン・バーデンは平穏に暮らしたい』
GamaFrog男爵家三男、ベルンハルト・フォン・バーデン。
家督継承権はなく、本来ならどこかの官職に就くか、他家へ仕えるか、婿入りするか――そんな将来が待っているはずだった。
しかしベルは少しだけ優秀すぎた。
小遣い稼ぎのつもりで始めた商売は成功し、気付けば父親より金を持ち、長男より領地経営に詳しく、次男より商売が上手くなっていた。
本人に出しゃばる気はない。
ただ普通に生きていただけだ。
それでも、優秀すぎる三男の存在は家族との距離を少しずつ広げていった。
家に居場所がなくなった。
だからベルは学園へ来た。
貴族だから一応入学した。
家にいるより気楽だったから。
静かに暮らしたかったから。
寄付金を積んで手に入れた広い寮部屋で、本を読み、昼寝をし、卒業後は適当な文官になって平穏に生きる
そのはずだった。
だが現実は違った。
男装令嬢に懐かれ。
王太子に目を付けられ。
商会には囲い込まれ。
気付けば平穏はどこへやら。
本人はただ平穏に暮らしたいだけ。
周囲はなぜか放っておいてくれない。
これは、面倒事を嫌う規格外の天才が、静かな人生を目指して失敗し続ける物語である。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
クラス全員で異世界召喚されたが、俺だけ教室に取り残されたのでとりあえず帰宅した
中山(ほ) クラス全員で異世界召喚されたが、先生と俺が残っていた。
魔法もチートスキルもステータス画面すら表示されない、ただの「残され損」
異世界に行けなかった俺を待っていたのは、世知辛い現実だった。
AI使用状況
GoogleのGeminiさん使ってます〜
誤字脱字チェックと調べ物お願いしてます
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。