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放浪編
エリナ、王国四騎士の意地
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「そうだな、気のせいか……おい、迂闊に近づくな。この獣は油断出来ん、確実にここで仕留めろ」
「分かりました。では……蛇竜の毒を使用しますか?」
「それは……」
部下の言葉に隊長格の女は顔をしかめ、緑影の扱う毒物の中でも最も危険な毒が収められた小壺を部下の一人が取り出す。蛇竜とはこの世界では竜種の一体として指定されている「バジリスク」を指しており、森人族の間では「蛇竜」という異名で恐れられた存在である。
バジリスクの毒物は致死性が100%を誇り、毒物に対抗する「毒耐性」のスキルの持ち主でも助からない。暗殺の際には最も気を付けなけばならない毒物のため、隊長は部下の提案を却下した。
「駄目だ。その毒は危険すぎる……下手に扱えば我々も無事では済まない」
「ではどうしますか?」
「その白狼種の始末は後回しだ。まずは姫様を保護しろ……それが我々の任務だ」
緑影の隊長は部下を静止してウルの毛皮で安らかに眠っているティナの元へ近づき、彼女が暴れないように特別製の縄を取り出して身体を縛り付けようとした。だが、ティナの傍に近付こうとした瞬間、屋敷の外に広がる森の中から1本の矢が放たれる。
「隊長、危ない!?」
「くっ!?」
部下の言葉を耳にして咄嗟に隊長は腕を掲げて矢を受けようとしたが、腕に装着していた鋼鉄製の籠手を貫通して矢が左腕に突き刺さる。隊長は激痛で声を上げそうになったが、痛みに耐える訓練も受けているので必死に声を抑える。
「隊長!!大丈夫ですか!?」
「騒ぐなっ……毒は塗られていない、それよりも射手を探せ……!!」
「一体何処から……!?」
部下達が慌てて隊長を守るために武器を構え、屋敷の外に広がる森から射抜かれた事は間違いないのだが射手の姿を確認出来ない。しかも相手は「気配感知」のスキルで感知できる範囲外から攻撃した事から相当に離れた位置から攻撃を仕掛けたとしか考えられなかった。
籠手に突き刺さった矢を引き抜く事を諦めた隊長は部下に身を守られながら森の様子を伺い、敵の位置を探る。狩人の職業である隊長は「鷹の目」と呼ばれる特殊な視覚系のスキルを覚えており、これは「観察眼」「遠視」を極限にまで高める能力で樹木の間を潜り抜けて移動する存在を見つける。
「見つけた!!二時の方向、100メートル先に存在する茂みに隠れているぞ!!」
「二時の方向……!?」
隊長の言葉に部下達は弓矢を構えて森に視線を向けると、屋敷と森の間に鉄柵が阻まれているので分かりにくいが確かに茂美の中からボーガンを構える腕が飛び出しており、再び矢が射抜かれた。
「ぐあっ!?」
「シゲチ!?くそっ!!」
「早く撃て!!次のが来る前に殺せ!!」
部下の一人が右肩を射抜かれて倒れ込み、それを見た隊長は部下達に攻撃を指示する。だが、屋敷と森の間には鉄柵が存在し、更に相手は100メートルも離れた位置から狙撃しているため、緑影達が狙いを定めて矢を射抜こうとしても鉄柵に弾かれるか樹木に邪魔されて狙撃手には届かない。
一方で茂みに隠れている狙撃手は次の矢を装填すると今度は狙いを隊長を庇うように立っていた男の膝を狙う。狙撃手の撃ち込んだ矢は樹木を潜り抜け、鉄柵の隙間を見事に潜り抜けて標的の膝を射抜く。
「があっ!?」
「ダレン!!おのれ、エリナ!!」
「馬鹿者!!隊列を乱すな!?」
狙撃手の正体はエリナである事は間違いなく、彼女以外にここまで正確な射撃を行える人物がこの森の中に存在するはずがない。仲間が二人も倒れた事で怒りを抱いた部下の一人が鉄柵を飛び越えようと跳躍した瞬間、空中で浮かんだ男の右足に次の矢が貫通した。
「ぎゃあっ!?」
「何だと……!?」
空中で体勢を崩した男はそのまま地面に衝突し、その様子を見た隊長は動揺を隠せない。これ程までに狙撃には悪条件の環境で正確に相手を殺さずに戦闘不能に追い込む箇所を撃つエリナの技量に驚きを隠せず、腐っても相手が王国四騎士に認定された強敵であることを再認識する。
既にまともに動けるのは自分一人となった隊長は歯を食いしばり、次の狙撃を警戒して剣を構える。冷静に対処出来れば遠距離からの狙撃であろうと対応出来る自信はあるため、隊長はエリナの攻撃を待つ。
(さあ、どうする……お前の弱点は連射が出来ない事は知っている)
エリナは腕力が弱いのでボーガンの類しか扱えず、しかも遠距離からの狙撃は集中力を使うので矢を撃った後に次の矢を射抜くまで多少の時間は掛かる事はこれまでの攻撃で隊長も見抜いていた。なので最初の矢を防ぐことが出来れば反撃の機会も出来る。
(……失敗したなエリナ、お前は私を最初に狙った時に殺しておくべきだった)
隊長は人殺しを躊躇して自分を殺さなかったエリナを内心で嘲笑い、状況的に不利なのは負傷した自分達ではなく、人を殺す覚悟もないエリナであると確信していた。何故ならばこの場に集まった緑影は任務を果たすために命を落とす覚悟を決めており、自分達がどうなろうと任務を果たす覚悟があった。
「分かりました。では……蛇竜の毒を使用しますか?」
「それは……」
部下の言葉に隊長格の女は顔をしかめ、緑影の扱う毒物の中でも最も危険な毒が収められた小壺を部下の一人が取り出す。蛇竜とはこの世界では竜種の一体として指定されている「バジリスク」を指しており、森人族の間では「蛇竜」という異名で恐れられた存在である。
バジリスクの毒物は致死性が100%を誇り、毒物に対抗する「毒耐性」のスキルの持ち主でも助からない。暗殺の際には最も気を付けなけばならない毒物のため、隊長は部下の提案を却下した。
「駄目だ。その毒は危険すぎる……下手に扱えば我々も無事では済まない」
「ではどうしますか?」
「その白狼種の始末は後回しだ。まずは姫様を保護しろ……それが我々の任務だ」
緑影の隊長は部下を静止してウルの毛皮で安らかに眠っているティナの元へ近づき、彼女が暴れないように特別製の縄を取り出して身体を縛り付けようとした。だが、ティナの傍に近付こうとした瞬間、屋敷の外に広がる森の中から1本の矢が放たれる。
「隊長、危ない!?」
「くっ!?」
部下の言葉を耳にして咄嗟に隊長は腕を掲げて矢を受けようとしたが、腕に装着していた鋼鉄製の籠手を貫通して矢が左腕に突き刺さる。隊長は激痛で声を上げそうになったが、痛みに耐える訓練も受けているので必死に声を抑える。
「隊長!!大丈夫ですか!?」
「騒ぐなっ……毒は塗られていない、それよりも射手を探せ……!!」
「一体何処から……!?」
部下達が慌てて隊長を守るために武器を構え、屋敷の外に広がる森から射抜かれた事は間違いないのだが射手の姿を確認出来ない。しかも相手は「気配感知」のスキルで感知できる範囲外から攻撃した事から相当に離れた位置から攻撃を仕掛けたとしか考えられなかった。
籠手に突き刺さった矢を引き抜く事を諦めた隊長は部下に身を守られながら森の様子を伺い、敵の位置を探る。狩人の職業である隊長は「鷹の目」と呼ばれる特殊な視覚系のスキルを覚えており、これは「観察眼」「遠視」を極限にまで高める能力で樹木の間を潜り抜けて移動する存在を見つける。
「見つけた!!二時の方向、100メートル先に存在する茂みに隠れているぞ!!」
「二時の方向……!?」
隊長の言葉に部下達は弓矢を構えて森に視線を向けると、屋敷と森の間に鉄柵が阻まれているので分かりにくいが確かに茂美の中からボーガンを構える腕が飛び出しており、再び矢が射抜かれた。
「ぐあっ!?」
「シゲチ!?くそっ!!」
「早く撃て!!次のが来る前に殺せ!!」
部下の一人が右肩を射抜かれて倒れ込み、それを見た隊長は部下達に攻撃を指示する。だが、屋敷と森の間には鉄柵が存在し、更に相手は100メートルも離れた位置から狙撃しているため、緑影達が狙いを定めて矢を射抜こうとしても鉄柵に弾かれるか樹木に邪魔されて狙撃手には届かない。
一方で茂みに隠れている狙撃手は次の矢を装填すると今度は狙いを隊長を庇うように立っていた男の膝を狙う。狙撃手の撃ち込んだ矢は樹木を潜り抜け、鉄柵の隙間を見事に潜り抜けて標的の膝を射抜く。
「があっ!?」
「ダレン!!おのれ、エリナ!!」
「馬鹿者!!隊列を乱すな!?」
狙撃手の正体はエリナである事は間違いなく、彼女以外にここまで正確な射撃を行える人物がこの森の中に存在するはずがない。仲間が二人も倒れた事で怒りを抱いた部下の一人が鉄柵を飛び越えようと跳躍した瞬間、空中で浮かんだ男の右足に次の矢が貫通した。
「ぎゃあっ!?」
「何だと……!?」
空中で体勢を崩した男はそのまま地面に衝突し、その様子を見た隊長は動揺を隠せない。これ程までに狙撃には悪条件の環境で正確に相手を殺さずに戦闘不能に追い込む箇所を撃つエリナの技量に驚きを隠せず、腐っても相手が王国四騎士に認定された強敵であることを再認識する。
既にまともに動けるのは自分一人となった隊長は歯を食いしばり、次の狙撃を警戒して剣を構える。冷静に対処出来れば遠距離からの狙撃であろうと対応出来る自信はあるため、隊長はエリナの攻撃を待つ。
(さあ、どうする……お前の弱点は連射が出来ない事は知っている)
エリナは腕力が弱いのでボーガンの類しか扱えず、しかも遠距離からの狙撃は集中力を使うので矢を撃った後に次の矢を射抜くまで多少の時間は掛かる事はこれまでの攻撃で隊長も見抜いていた。なので最初の矢を防ぐことが出来れば反撃の機会も出来る。
(……失敗したなエリナ、お前は私を最初に狙った時に殺しておくべきだった)
隊長は人殺しを躊躇して自分を殺さなかったエリナを内心で嘲笑い、状況的に不利なのは負傷した自分達ではなく、人を殺す覚悟もないエリナであると確信していた。何故ならばこの場に集まった緑影は任務を果たすために命を落とす覚悟を決めており、自分達がどうなろうと任務を果たす覚悟があった。
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