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外伝 ~ヨツバ王国編~
ただの時間稼ぎ
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『ねえ、カゲさんの能力ならデブリ国王にも変装したりとか出来る?』
『可能だが……どうしてそんな事を聞く?』
『それなら今すぐに変装してナオを助けて欲しいんだけど……』
レナに頼み込まれたカゲマルはデブリに「変装」し、声音や口調に関しては以前にデブリ国王がマリアの元へ訪れたときに把握しているため、声を変える「変声」と呼ばれるスキルを利用して完璧にデブリを演じる。結果として使者の誰もが彼の事を本物のデブリ国王だと信じ込み、今頃は計画が狂った事で焦っているだろう。
彼等全員がカレハに従った家臣である事は間違いないが、本来ならば国を治める立場のデブリ国王が現れれば急いで帰国してカレハに事態を話さなければならない。カレハの計画では国王が不在の間に国を掌握する算段だったが、国王が健在と知れば計画そのものが破綻し、また隔離生活を送る羽目になる。それどころか国を乱した罪人として厳しい処罰を受ける可能性もあった。
「カレハがデブリ国王が無事だと知った時の反応を想像すると面白いね」
「だが、これはあくまでも時間稼ぎにしかならんぞ。すぐにカレハもデブリ国王が本当に石化から逃れたのか確認しようとするはずだ」
「分かってる。だから俺達もすぐに行動を移さないとならない」
カレハがデブリ国王が王国で健在という報告を聞けばすぐに審議を確かめるため、今度は新しい使者を送り込むだろう。恐らくは本人かどうかを確かめるために「鑑定」のスキルを所持する人材を派遣するため、そうなった場合はカゲマルの変装でも見破られてしまう。
鑑定のスキルを使用すればその人間のステータスが表示されてしまうため、いくら外見を上手く化けようと正体を見破られてしまう。そうなれば王国はデブリ国王の偽物を使って自分達を謀ったと宣言して軍勢を送り込む理由を与える事になる。そうなる前にレナ達は動く必要があり、早急にヨツバ王国に忍び込んで捕縛されているマリアの救出、そしてキラウを捕縛して石化されたデブリ国王達を元に戻さなければならない。
「使者が王都にまで戻るのにどれくらい掛かるかな?」
「そうですね、だいたい10日前後は掛かると思いますよ。ユニコーンの速度は人間の馬とは比べ物にならない程に速いですからね」
「そんなに早く辿り着けるのか……子供とはいえ、ユニコーンは足が速いんだな」
ヨツバ王国では大量のユニコーンが生息し、その幼生種(子供)をヨツバ王国の兵士達は騎獣として飼育している。ユニコーンは成長が遅い生物ではあるが、子供の頃から力は強く、足も速いために重宝され、その額の角は万能薬の素材にもなると言われている魔獣である。
レナ達が移動するとしたらウルやアインに狼車を運ばせてヨツバ王国に向かう事になるが、ヨツバ王国の領地内は殆どが樹海のため、途中から馬車を降りなければならない。だが、馬車でなければ大人数は移動出来ず、いくらウルやアインでも大人数を抱えて森の中を移動する事は出来ない。
「こちらの移動手段はどうする気だ?普通の馬で移動すると一か月は掛かるのだろう?それでは到底間に合わんぞ」
「拙者と兄者も足の速さなら自信はあるでござるが、流石に何日も走り続ける事は出来ないでござるよ」
「他に移動用の魔獣を借りるにしてもウルやアインと同じ速度で動ける魔獣は限られているわね」
「え?大丈夫だよ。移動するのは俺とエリナだけで十分だよ」
「うえっ!?兄貴、それ本気で言ってるんですか!?」
移動手段を相談し合う皆に対してレナは何事もなく答えると、エリナは驚いた声を上げるが、すぐにダインがレナの意図を察する。
「あ、お前また空間魔法を使った移動法の事を言ってるんだろ!?」
「そうそう、空間魔法を使えば俺一人で移動するだけで十分でしょ?エリナは案内役として同行して貰う必要があるけど……」
「話は聞いているけど……その空間魔法を利用した移動法というのは貴方の身体に大きな負担が掛かるんじゃないの?」
「また倒れたら大変……レナはもっと身体を大事にする」
空間魔法の「黒渦」を二か所に設置すれば一瞬で移動出来る方法を利用し、レナは先に自分とエリナが侵入してヨツバ王国に忍び込み、安全な場所に待機させた仲間達を招く方法を考えていた。しかし、この方法は常に黒渦を維持し続けるために魔力を消耗するため、レナの身体に負担が大きい。その点を心配した皆が反対しようとしたが、カゲマルはレナにある物を差しだす。
「……それならばこれを持っていけ」
「え、これって……水晶札!?」
「以前、マリア様が俺に預けていた物だ。これを使えば一度訪れた場所ならば一瞬で移動出来るのだろう?」
カゲマルが差しだしたのはマリアが制作した「水晶札」と呼ばれる魔道具であり、こちらには「転移魔法陣」の魔法が封じ込められているため、これを使用すれば頭の中に思い浮かべた場所に転移する事が出来る。但し、使用条件として必ず自分が過去に訪れた場所にしか使えず、一度使用すれば効力を失うため、連続使用は出来ない。
この水晶札は貴重な素材のため、マリアも片手で数える程しか制作しておらず、その内の一つをカゲマルに預けていたという。これを利用すればレナは何時でも王城に帰還する事が出来るため、レナは肉体に大きな負担を掛けずに他の仲間を呼び寄せる事が出来る。
「お前達が先にヨツバ王国に忍び込み、我等を招く準備をした後に水晶札を使用して王城に戻れば問題はない。この方法ならばお前の肉体に負担も掛からずに全員が安全にヨツバ王国内に忍び込めるはずだ」
「なるほど……その手があったか」
「確かにその方法が確実ね。でも、この方法だと結局貴方には先にヨツバ王国に忍び込んで貰う事になるわね」
「大丈夫っす!!あたしが責任を持って兄貴を安全に王国の領地まで案内します!!」
「ならばやはり俺も同行するぞ。潜入捜査は忍者の専門分野だ、必ず役に立つ」
「それならば拙者も同行するでござる。4人ならばウルとアインだけでもどうにか運ぶことは出来るのでは?」
「問題ないと思うけど……」
移動の際にはウルとアインの力を借りる必要があるため、レナはエリナ、カゲマル、ハンゾウの3人と共に向かう事が決まった。他の者達は城内に待機して貰い、準備を整えれば迎え入れる必要がある。
「計画の段取りを説明するわよ。まずは先にレナ、エリナ、ハンゾウ、カゲマルの4人が先にヨツバ王国に侵入する。その間に待機組の私達は準備を整えて城内にて待機、ヨツバ王国に侵入した後にレナが水晶札を利用して王城に帰還して待機組と合流、ヨツバ王国へ全員を移動させる。これで間違っていないかしら?」
「うん、合ってるよ」
「でも、ヨツバ王国に侵入して早々に皆さんを呼び寄せるのは難しいと思います。潜伏先も探さないといけないし、それに大人数で行動すると見つかる恐れもありますから……」
「その点に関してはエリナ、貴方に任せるわ。現状、ヨツバ王国内で私達に味方してくれる勢力はいないの?」
「う~ん……ツバサさんなら話せば分かってくれると思いますけど、流石に王都へ忍び込むのは難しいと思いますし……」
「ねえねえエリナ、ギンタロウおじさんなら力を貸してくれないかな?」
「あ、そうでした!!ギンタロウさんならきっとティナ様がお願いすれば味方してくれますよ!!」
「ギンタロウ……おじさん?」
ギンタロウというのは東聖将の名前であることを思い出したレナ達だが、どうしてティナが「おじさん」と呼んでいるのか不思議に思うと、エリナが代わりに説明してくれた。
※コミカライズ第二話の更新日です!!この時間帯に見れるのかは分かりませんが……(´ω`)
『可能だが……どうしてそんな事を聞く?』
『それなら今すぐに変装してナオを助けて欲しいんだけど……』
レナに頼み込まれたカゲマルはデブリに「変装」し、声音や口調に関しては以前にデブリ国王がマリアの元へ訪れたときに把握しているため、声を変える「変声」と呼ばれるスキルを利用して完璧にデブリを演じる。結果として使者の誰もが彼の事を本物のデブリ国王だと信じ込み、今頃は計画が狂った事で焦っているだろう。
彼等全員がカレハに従った家臣である事は間違いないが、本来ならば国を治める立場のデブリ国王が現れれば急いで帰国してカレハに事態を話さなければならない。カレハの計画では国王が不在の間に国を掌握する算段だったが、国王が健在と知れば計画そのものが破綻し、また隔離生活を送る羽目になる。それどころか国を乱した罪人として厳しい処罰を受ける可能性もあった。
「カレハがデブリ国王が無事だと知った時の反応を想像すると面白いね」
「だが、これはあくまでも時間稼ぎにしかならんぞ。すぐにカレハもデブリ国王が本当に石化から逃れたのか確認しようとするはずだ」
「分かってる。だから俺達もすぐに行動を移さないとならない」
カレハがデブリ国王が王国で健在という報告を聞けばすぐに審議を確かめるため、今度は新しい使者を送り込むだろう。恐らくは本人かどうかを確かめるために「鑑定」のスキルを所持する人材を派遣するため、そうなった場合はカゲマルの変装でも見破られてしまう。
鑑定のスキルを使用すればその人間のステータスが表示されてしまうため、いくら外見を上手く化けようと正体を見破られてしまう。そうなれば王国はデブリ国王の偽物を使って自分達を謀ったと宣言して軍勢を送り込む理由を与える事になる。そうなる前にレナ達は動く必要があり、早急にヨツバ王国に忍び込んで捕縛されているマリアの救出、そしてキラウを捕縛して石化されたデブリ国王達を元に戻さなければならない。
「使者が王都にまで戻るのにどれくらい掛かるかな?」
「そうですね、だいたい10日前後は掛かると思いますよ。ユニコーンの速度は人間の馬とは比べ物にならない程に速いですからね」
「そんなに早く辿り着けるのか……子供とはいえ、ユニコーンは足が速いんだな」
ヨツバ王国では大量のユニコーンが生息し、その幼生種(子供)をヨツバ王国の兵士達は騎獣として飼育している。ユニコーンは成長が遅い生物ではあるが、子供の頃から力は強く、足も速いために重宝され、その額の角は万能薬の素材にもなると言われている魔獣である。
レナ達が移動するとしたらウルやアインに狼車を運ばせてヨツバ王国に向かう事になるが、ヨツバ王国の領地内は殆どが樹海のため、途中から馬車を降りなければならない。だが、馬車でなければ大人数は移動出来ず、いくらウルやアインでも大人数を抱えて森の中を移動する事は出来ない。
「こちらの移動手段はどうする気だ?普通の馬で移動すると一か月は掛かるのだろう?それでは到底間に合わんぞ」
「拙者と兄者も足の速さなら自信はあるでござるが、流石に何日も走り続ける事は出来ないでござるよ」
「他に移動用の魔獣を借りるにしてもウルやアインと同じ速度で動ける魔獣は限られているわね」
「え?大丈夫だよ。移動するのは俺とエリナだけで十分だよ」
「うえっ!?兄貴、それ本気で言ってるんですか!?」
移動手段を相談し合う皆に対してレナは何事もなく答えると、エリナは驚いた声を上げるが、すぐにダインがレナの意図を察する。
「あ、お前また空間魔法を使った移動法の事を言ってるんだろ!?」
「そうそう、空間魔法を使えば俺一人で移動するだけで十分でしょ?エリナは案内役として同行して貰う必要があるけど……」
「話は聞いているけど……その空間魔法を利用した移動法というのは貴方の身体に大きな負担が掛かるんじゃないの?」
「また倒れたら大変……レナはもっと身体を大事にする」
空間魔法の「黒渦」を二か所に設置すれば一瞬で移動出来る方法を利用し、レナは先に自分とエリナが侵入してヨツバ王国に忍び込み、安全な場所に待機させた仲間達を招く方法を考えていた。しかし、この方法は常に黒渦を維持し続けるために魔力を消耗するため、レナの身体に負担が大きい。その点を心配した皆が反対しようとしたが、カゲマルはレナにある物を差しだす。
「……それならばこれを持っていけ」
「え、これって……水晶札!?」
「以前、マリア様が俺に預けていた物だ。これを使えば一度訪れた場所ならば一瞬で移動出来るのだろう?」
カゲマルが差しだしたのはマリアが制作した「水晶札」と呼ばれる魔道具であり、こちらには「転移魔法陣」の魔法が封じ込められているため、これを使用すれば頭の中に思い浮かべた場所に転移する事が出来る。但し、使用条件として必ず自分が過去に訪れた場所にしか使えず、一度使用すれば効力を失うため、連続使用は出来ない。
この水晶札は貴重な素材のため、マリアも片手で数える程しか制作しておらず、その内の一つをカゲマルに預けていたという。これを利用すればレナは何時でも王城に帰還する事が出来るため、レナは肉体に大きな負担を掛けずに他の仲間を呼び寄せる事が出来る。
「お前達が先にヨツバ王国に忍び込み、我等を招く準備をした後に水晶札を使用して王城に戻れば問題はない。この方法ならばお前の肉体に負担も掛からずに全員が安全にヨツバ王国内に忍び込めるはずだ」
「なるほど……その手があったか」
「確かにその方法が確実ね。でも、この方法だと結局貴方には先にヨツバ王国に忍び込んで貰う事になるわね」
「大丈夫っす!!あたしが責任を持って兄貴を安全に王国の領地まで案内します!!」
「ならばやはり俺も同行するぞ。潜入捜査は忍者の専門分野だ、必ず役に立つ」
「それならば拙者も同行するでござる。4人ならばウルとアインだけでもどうにか運ぶことは出来るのでは?」
「問題ないと思うけど……」
移動の際にはウルとアインの力を借りる必要があるため、レナはエリナ、カゲマル、ハンゾウの3人と共に向かう事が決まった。他の者達は城内に待機して貰い、準備を整えれば迎え入れる必要がある。
「計画の段取りを説明するわよ。まずは先にレナ、エリナ、ハンゾウ、カゲマルの4人が先にヨツバ王国に侵入する。その間に待機組の私達は準備を整えて城内にて待機、ヨツバ王国に侵入した後にレナが水晶札を利用して王城に帰還して待機組と合流、ヨツバ王国へ全員を移動させる。これで間違っていないかしら?」
「うん、合ってるよ」
「でも、ヨツバ王国に侵入して早々に皆さんを呼び寄せるのは難しいと思います。潜伏先も探さないといけないし、それに大人数で行動すると見つかる恐れもありますから……」
「その点に関してはエリナ、貴方に任せるわ。現状、ヨツバ王国内で私達に味方してくれる勢力はいないの?」
「う~ん……ツバサさんなら話せば分かってくれると思いますけど、流石に王都へ忍び込むのは難しいと思いますし……」
「ねえねえエリナ、ギンタロウおじさんなら力を貸してくれないかな?」
「あ、そうでした!!ギンタロウさんならきっとティナ様がお願いすれば味方してくれますよ!!」
「ギンタロウ……おじさん?」
ギンタロウというのは東聖将の名前であることを思い出したレナ達だが、どうしてティナが「おじさん」と呼んでいるのか不思議に思うと、エリナが代わりに説明してくれた。
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