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外伝 ~ヨツバ王国編~
交信妨害
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『問題なのは月光樹が地球産の植物である事ですね。前にも言いましたけど、私は異界人の魂を認識する事は出来ません。だからホネミンさんがレナさんと共に行動している時は交信も出来ませんし、状況も把握出来なかった事は説明しましたよね?』
『ああ、俺は異界人だけどアイリスの魂の一部を持っているから更新出来るんでしょ?』
狭間の世界の管理人であるアイリスはこちらの世界の情勢を全て把握する事は出来るが、地球から訪れた人間の行動は把握できない。但し、レナのような転生者の場合はアイリスが自分の力の一部を与える事で行動を把握出来る。しかし、召喚魔法等で狭間の世界を潜り抜けてこちらの世界に訪れた勇者に関してはアイリスは接触する事は出来ない。
ホネミンも元々はレナと同じ転生者であったが、彼女は魔物に飲み込まれた時に一度死亡しており、過去に召喚された勇者の聖遺物で復活を成し遂げる事は出来たがその時にアイリスが与えていた力を失ってしまう。その結果、彼女はアイリスと交信する事が出来なくなった。
『異界人の方が近くに居る場合はレナさんの行動を読み取る事が出来ません。その理由は異界人の魂が強すぎてレナさんの魂を感知出来ないからです。でも、夢の世界ならどうにか会う事も出来ますけどね』
『そういえばホネミンが王城に捕まっていた時も夢の世界でしか会えなかったな。よくよく考えたらあのアジト、そんなに王城から遠くなかったしな……』
『まあ、あの時は風の聖痕がレナさんに馴染み切っていなかったのでどちらにしろ交信も出来なかったんですけどね……それはともかく、問題なのは月光樹の方です』
『何が問題……待てよ、地球産という事は月光樹の魂は地球の魂なのか!?』
植物とはいえ生きている存在ならば魂が存在してもおかしくはなく、月光樹が地球産の魂である以上はアイリスでさえも感知する事は出来ない。そして月光樹の近くに存在するレナもアイリスとの交信を妨げられてもおかしくはない。
『まあ、魂の強さは人間の方の方が強いので現在のレナさんと月光樹の距離なら交信は出来ます。だけど、あまりに月光樹に接近し過ぎると私との交信が途絶えてしまう可能性が高いので気をつけて下さい。恐らくですが50メートル圏内にまで近寄ると交信は出来ませんから』
『それは困ったな……まあ、月光樹に近寄らなければいいのか』
『そういう事です。だけど、問題なのは月光樹がこの領地だけではなく、王都にも植えられている事です。外見が美しい事が理由で王都には至る箇所に月光樹が植え付けられています。なので私でも王都の様子を探るのは難しいんです』
『マジかよ……』
これまで通りにアイリスの力を駆使して情報を集めて行動する事は難しいらしく、王都付近には大量の月光樹が植え付けられている事で一部の場所の情報がアイリスでさえも把握できないという。但し、月光樹が存在しない場所はこれまで通りにアイリスでも見通す事が出来るため、今後の行動でも彼女の力を借りれるという。
『月光樹付近では私は力を貸せませんから気をつけて下さい』
『分かった。あ、ちなみに月光樹は元々は何の植物なの?』
『ラフレシアです』
『マジで!?』
『冗談ですよ。まあ、マイナーな植物なので名前を言っても分からないですからあんまり気にしないでください』
アイリスからの交信が切れると、レナは久々に頭痛を覚え、どうやら月光樹からそれほど離れていない場所で交信を行うと負担も大きいらしく、溜息を吐きながら座り込む。
「ふうっ……ちょっと疲れたな」
「眠っておけ、この様子では今夜はここで休むしかあるまい」
「見張りは拙者たちに任せるでござる!!」
「ウル達の事はあたしが面倒見てますから兄貴は休んでください」
「そうさせてもらう……ありがとう」
皆に礼を告げた後、一足先にレナは眠りにつく。ほんの少し仮眠するつもりだったが、起きた時には既に日が明け、他の者達は出発の準備を整えていた――
――数時間後、レナ達は月光樹から100メートル程離れた場所から様子を確認し、これ以上に近付くと兵士に気付かれる恐れがあるので迂闊には近づけなかった。兵士達の中には「観察眼」や「遠視」のスキルを覚えている者も多く、簡単には突破出来ない。
だが、ここを突破するためにレナは連れて来た魔獣達を利用して突破する方法を考え、後方を振り返ってウルとアインに合図を送る。
「よし、上手くやれよ二人とも……頃合いを見計らったらすぐに離れるんだぞ」
「ヒヒンッ」
「ウォンッ」
ユニコとアインは頷くと移動を開始し、残された面子はその様子を見送りながら兵士達の様子を伺う。既に夜が明けているため、月光樹の葉の輝きは収まって現在では普通の樹木にしか見えない。夜間の間よりも兵士の数が増えているようだが、その他に変わった点はない。
幸運と言えるのは兵士達の中に魔物使いが存在せず、魔獣を駆使して臭いなどでレナ達の存在を感づかれない事である。しばらく時間が経過した後、木々を潜り抜けて最初にユニコが月光樹の前で見張りを行う兵士達の前に現れた。
「ヒヒィンッ!!」
「うおっ!?何だ……ユニコーンの子供か?」
「何でこんな場所に……おい、こいつ鞍が付いてないぞ。もしかして野生のユニコーンじゃないのか?」
「何だって!?だが、この近辺でユニコーンの成馬が発見された報告は届いていないぞ?」
「もしかして例の旧都を支配していたユニコーンの子供かもしれない。おい、すぐに確保しろ!!」
ユニコが現れると兵士達は慌てて集まり、こちらを襲ってくる様子がない事を確かめるとユニコの元へ近づく。ヨツバ王国の森人族はユニコーンを大切に扱うため、子供のユニコーンが危険な森の中で彷徨っていたら放置するはずがない。
「ブルルルッ……」
「よしよし、興奮するなよ……それにしても綺麗な毛並みだな」
「こいつは大人になるのが楽しみだな」
「おい、縄を持ってきたぞ。刺激しないように気を付けて連れていけよ」
兵士達はユニコをそのまま連れて行こうとすると、頃合いを見計らって大樹に隠れていたウルが現れ、雄たけびを上げる。
「ウォオオオオンッ!!」
「な、何だ!?」
「この声は……まさか、例の変異体か!?」
「違う、あそこを見ろ!!は、白狼種だ!!」
狼の遠吠え尾を耳にした兵士達は慌てふためき、最初は北聖将から報告を受けていたコボルトの変異体が現れたのかと全員が警戒するが、姿を現したのは白狼種だと知って焦りを抱く。
「は、白狼種だと!?どうしてこんな場所に……おい、殺すのか!?」
「馬鹿を言うな!!白狼種は希少種だ、出来れば捕獲して……」
「ヒヒンッ!!」
「うわっ!?おい、暴れるな!!大丈夫だ、お前は俺たちが守るから……ひいっ!?」
ウルが姿を現すと兵士達はどのように対応するのか混乱を引き起こし、それを見たユニコは唐突に暴れ出す。傍から見れば白狼種が現れた事でユニコーンの子供が怯えたようにしか見えず、兵士達はウルを警戒しながらユニコを抑えつけようとした。
「よし、今だ……行くよ、皆!!」
「アイン殿は出来る限り声を抑えるでござるよ」
「キュロロッ……」
「俺が先行する、お前達は後に続け」
「突撃っす!!」
見張りの兵士達の意識が2匹に奪われている間、レナ達は見つからないように森の中を潜り抜け、潜入を試みる。ウルとユニコが騒動を起こしている間に月光樹を潜り抜け、東聖将の領地への侵入を行う。
『ああ、俺は異界人だけどアイリスの魂の一部を持っているから更新出来るんでしょ?』
狭間の世界の管理人であるアイリスはこちらの世界の情勢を全て把握する事は出来るが、地球から訪れた人間の行動は把握できない。但し、レナのような転生者の場合はアイリスが自分の力の一部を与える事で行動を把握出来る。しかし、召喚魔法等で狭間の世界を潜り抜けてこちらの世界に訪れた勇者に関してはアイリスは接触する事は出来ない。
ホネミンも元々はレナと同じ転生者であったが、彼女は魔物に飲み込まれた時に一度死亡しており、過去に召喚された勇者の聖遺物で復活を成し遂げる事は出来たがその時にアイリスが与えていた力を失ってしまう。その結果、彼女はアイリスと交信する事が出来なくなった。
『異界人の方が近くに居る場合はレナさんの行動を読み取る事が出来ません。その理由は異界人の魂が強すぎてレナさんの魂を感知出来ないからです。でも、夢の世界ならどうにか会う事も出来ますけどね』
『そういえばホネミンが王城に捕まっていた時も夢の世界でしか会えなかったな。よくよく考えたらあのアジト、そんなに王城から遠くなかったしな……』
『まあ、あの時は風の聖痕がレナさんに馴染み切っていなかったのでどちらにしろ交信も出来なかったんですけどね……それはともかく、問題なのは月光樹の方です』
『何が問題……待てよ、地球産という事は月光樹の魂は地球の魂なのか!?』
植物とはいえ生きている存在ならば魂が存在してもおかしくはなく、月光樹が地球産の魂である以上はアイリスでさえも感知する事は出来ない。そして月光樹の近くに存在するレナもアイリスとの交信を妨げられてもおかしくはない。
『まあ、魂の強さは人間の方の方が強いので現在のレナさんと月光樹の距離なら交信は出来ます。だけど、あまりに月光樹に接近し過ぎると私との交信が途絶えてしまう可能性が高いので気をつけて下さい。恐らくですが50メートル圏内にまで近寄ると交信は出来ませんから』
『それは困ったな……まあ、月光樹に近寄らなければいいのか』
『そういう事です。だけど、問題なのは月光樹がこの領地だけではなく、王都にも植えられている事です。外見が美しい事が理由で王都には至る箇所に月光樹が植え付けられています。なので私でも王都の様子を探るのは難しいんです』
『マジかよ……』
これまで通りにアイリスの力を駆使して情報を集めて行動する事は難しいらしく、王都付近には大量の月光樹が植え付けられている事で一部の場所の情報がアイリスでさえも把握できないという。但し、月光樹が存在しない場所はこれまで通りにアイリスでも見通す事が出来るため、今後の行動でも彼女の力を借りれるという。
『月光樹付近では私は力を貸せませんから気をつけて下さい』
『分かった。あ、ちなみに月光樹は元々は何の植物なの?』
『ラフレシアです』
『マジで!?』
『冗談ですよ。まあ、マイナーな植物なので名前を言っても分からないですからあんまり気にしないでください』
アイリスからの交信が切れると、レナは久々に頭痛を覚え、どうやら月光樹からそれほど離れていない場所で交信を行うと負担も大きいらしく、溜息を吐きながら座り込む。
「ふうっ……ちょっと疲れたな」
「眠っておけ、この様子では今夜はここで休むしかあるまい」
「見張りは拙者たちに任せるでござる!!」
「ウル達の事はあたしが面倒見てますから兄貴は休んでください」
「そうさせてもらう……ありがとう」
皆に礼を告げた後、一足先にレナは眠りにつく。ほんの少し仮眠するつもりだったが、起きた時には既に日が明け、他の者達は出発の準備を整えていた――
――数時間後、レナ達は月光樹から100メートル程離れた場所から様子を確認し、これ以上に近付くと兵士に気付かれる恐れがあるので迂闊には近づけなかった。兵士達の中には「観察眼」や「遠視」のスキルを覚えている者も多く、簡単には突破出来ない。
だが、ここを突破するためにレナは連れて来た魔獣達を利用して突破する方法を考え、後方を振り返ってウルとアインに合図を送る。
「よし、上手くやれよ二人とも……頃合いを見計らったらすぐに離れるんだぞ」
「ヒヒンッ」
「ウォンッ」
ユニコとアインは頷くと移動を開始し、残された面子はその様子を見送りながら兵士達の様子を伺う。既に夜が明けているため、月光樹の葉の輝きは収まって現在では普通の樹木にしか見えない。夜間の間よりも兵士の数が増えているようだが、その他に変わった点はない。
幸運と言えるのは兵士達の中に魔物使いが存在せず、魔獣を駆使して臭いなどでレナ達の存在を感づかれない事である。しばらく時間が経過した後、木々を潜り抜けて最初にユニコが月光樹の前で見張りを行う兵士達の前に現れた。
「ヒヒィンッ!!」
「うおっ!?何だ……ユニコーンの子供か?」
「何でこんな場所に……おい、こいつ鞍が付いてないぞ。もしかして野生のユニコーンじゃないのか?」
「何だって!?だが、この近辺でユニコーンの成馬が発見された報告は届いていないぞ?」
「もしかして例の旧都を支配していたユニコーンの子供かもしれない。おい、すぐに確保しろ!!」
ユニコが現れると兵士達は慌てて集まり、こちらを襲ってくる様子がない事を確かめるとユニコの元へ近づく。ヨツバ王国の森人族はユニコーンを大切に扱うため、子供のユニコーンが危険な森の中で彷徨っていたら放置するはずがない。
「ブルルルッ……」
「よしよし、興奮するなよ……それにしても綺麗な毛並みだな」
「こいつは大人になるのが楽しみだな」
「おい、縄を持ってきたぞ。刺激しないように気を付けて連れていけよ」
兵士達はユニコをそのまま連れて行こうとすると、頃合いを見計らって大樹に隠れていたウルが現れ、雄たけびを上げる。
「ウォオオオオンッ!!」
「な、何だ!?」
「この声は……まさか、例の変異体か!?」
「違う、あそこを見ろ!!は、白狼種だ!!」
狼の遠吠え尾を耳にした兵士達は慌てふためき、最初は北聖将から報告を受けていたコボルトの変異体が現れたのかと全員が警戒するが、姿を現したのは白狼種だと知って焦りを抱く。
「は、白狼種だと!?どうしてこんな場所に……おい、殺すのか!?」
「馬鹿を言うな!!白狼種は希少種だ、出来れば捕獲して……」
「ヒヒンッ!!」
「うわっ!?おい、暴れるな!!大丈夫だ、お前は俺たちが守るから……ひいっ!?」
ウルが姿を現すと兵士達はどのように対応するのか混乱を引き起こし、それを見たユニコは唐突に暴れ出す。傍から見れば白狼種が現れた事でユニコーンの子供が怯えたようにしか見えず、兵士達はウルを警戒しながらユニコを抑えつけようとした。
「よし、今だ……行くよ、皆!!」
「アイン殿は出来る限り声を抑えるでござるよ」
「キュロロッ……」
「俺が先行する、お前達は後に続け」
「突撃っす!!」
見張りの兵士達の意識が2匹に奪われている間、レナ達は見つからないように森の中を潜り抜け、潜入を試みる。ウルとユニコが騒動を起こしている間に月光樹を潜り抜け、東聖将の領地への侵入を行う。
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