不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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外伝 ~ヨツバ王国編~

作戦の第一段階

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――アイリスから助言を受けたレナは翌日の朝に目を覚まし、仲間達を起こして街へ向かう。適当に街を歩くふりを行いながらもレナはアイリスが事前に教えてくれた目的の人物の元へ向かう。


「なあ、レナ……こんな朝早くに外に出てどうするつもりなんだよ?」
「……眠い」
「いいから一緒に付いてきてよ。ほら、コトミンもヒトデのように俺に張り付いてないでちゃんと歩きなさい」
「ほら、いい加減に離れなさい……ちょ、ちょっと!!だからって私に張り付こうとするのは止めなさい!!」
「ぷるぷるっ」


レナが連れて来たのはダイン、コトミン、シズネの3人(+1匹)だけで他の面子はギンタロウの屋敷に残っていた。ゴンゾウは鍛錬に励み、ティナは怪我人の治療の手伝い疲れで眠りこけ、エリナは彼女の護衛のために傍に控え、魔獣達も屋敷の方で大人しく過ごしていた。


「なあ、レナ……スラミンの奴に勝手に人のカバンの中に潜り込むのを止めるように注意してくれよ。朝、開けた時にスラミンの顔が出てきてびっくりしたんだからさ」
「ぷるるんっ」
「まあまあ……ほら、スラミンもこんなに謝ってるんだから許してよ」
「いや、僕の目には呑気に身体を振って踊っているようにしか見えないんだけど……」


ダインに対してスラミンは謝罪の「ぷるぷるだんす」を披露する中、レナは目的の人物の家の前に立ち止まり、声を掛けた。


「すいません!!誰か居ますか!!」
「ちょっ!?」
「……ここの家に知り合いでも居るの?」
「ふぁっ……ここは何処?」


レナが声を掛けるとダインが驚き、コトミンを背中に背負ったシズネが不思議そうな表情を浮かべると、家の扉が開かれて不機嫌そうな表情の男が姿を現した。どうやら朝から酒でも飲んでいたのか頬が赤く、手元には酒瓶を抱えた状態で男はレナ達に視線を向ける。


「なんだぁっ……てめえ等?俺に何か用か?」
「あ、いや……お、おいレナ、誰だよこの人」
「前に街で通りがかった時に見かけた人だよ」
「え!?それだけ!?」
「何なんだてめえ等……?」


森人族の男はレナ達の顔を見て訝し気な表情を浮かべるが、レナの頭の上に乗っているスラミンに視線を向け、一瞬だけ何故か焦った表情を浮かべた。


「す、スライム!?どうしてこんな所に……」
「ぷるん?」
「うちの子がどうかしました?」
「い、いや……何でもない。そんな事よりお前等何者だ!?朝っぱらから人を起こしやがって……」


スラミンを抱えたレナに男は誤魔化すように怒鳴りつけると、レナは「鑑定眼」の固有スキルを発動させ、男の正体を見抜く。


「アル・チウ、職業は魔物使いの固有職、レベルは46か……あんたがレイビが送り込んだ斥候だな?」
「なっ!?」
「えっ!?ど、どういう事だよレナ!?」
「……なるほど、そういう事ね」


レナの言葉を聞いて男は目を見開き、ダインは驚愕するが、いち早く事情を理解したシズネは腰に差していた雪月花を引き抜くと男が動く前に首筋に刃を構えた。


「動かないで!!少しでも下手な真似をすれば命はないわよ?」
「ひいっ!?」
「お、おいシズネ!?いきなり何を……」
「ダイン、こいつはレイビの送り込んだ手下だよ。そうでしょアルさん?」
「ぷるんっ?」


慌てふためくダインをレナは落ち着かせながらシズネに捉えられた男に質問すると、スラミンが「そうなの?」とばかりに視線を向けると、男は慌てて否定する。


「ま、待て!!俺はそんな名前の男じゃない!!何なんだよお前等!?どうして急にこんな事を……」
「下手な芝居は止めなさい。私は傭兵よ、これまでに何十人もの悪党を捕まえては拷問して真実を吐かせてきた……貴方も同じ目に遭いたいの?」
「ひいいっ!?」
「れ、レナ?本当にこいつがレイビの手下なのか?」
「うん、間違いないよ。だって滅多に存在しない魔物使いの職業の人間がこの街で普通に暮らしている時点で怪しいからね」
「ぬ、濡れ衣だ!!」


男は必死に自分はレイビの配下ではないと言い張るが、シズネが彼をどうするべきかとレナに視線を向けて尋ねると、素直に白状しない彼に対してレナは仕方なく奥の手を使う事にした。


「本当にあんたはレイビの斥候じゃないと?」
「と、当然だ!!だいたい俺は1年も前からこの街で暮らしているんだぞ!?嘘だと思うなら近所の連中に聞いてみろ!!」
「なるほど、ならあんたが本当に善良な一般人かどうかを確かめさせてもらうよ」
「ぷるるんっ!!」


レナはスラミンを両手に抱えると玄関の方に近付き、スラミンを頭上に掲げて様子を調べる。するとスラミンが唐突に激しく震えだし、屋根の方に視線を向けた。


「ぷるるるるんっ!!ぷるるるるんっ!!」
「うわ!?ど、どうしたスラミン!?」
「スライムの優れた感知能力で家の中に隠れている奴の気配を感じ取ったんだよ。間違いなく、この屋敷の中に魔獣が隠れている」
「ぐうっ……!?」
「……どうやら図星のようね」


家の主の男はレナの言葉に言い返す事が出来ず、悔し気な表情を浮かべた時点でレナの言ば真実だと判明し、彼がレイビの配下である決定的な証拠を掴んだ。
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