770 / 2,091
外伝 ~ヨツバ王国編~
ダークエルフ
しおりを挟む
――ヒヒィイインッ!!
森の中に馬の咆哮が響き渡り、それを聞いたレナ達は慌ててその場を離れようとしたが、大きくなったスラミンを持ち上げるのに時間が掛かってしまう。
「ちょ、スラミンどれだけ水を吸ったの!?重いんだけど……!!」
「キュロロロッ……!?」
「ブモォッ……!?」
「ぶるるんっ……」
「鳴き声まで変わってるし……本当に何があったの!?」
アイン、ミノが二人がかりでもスラミンを持ち上げるのがやっとであり、体積から考えてもそれほど水分は吸収していないはずだが、何故か現在のスラミンは途轍もない重量になっていた。このままでは逃げる事も出来ず、仕方なくレナはハンゾウに接近する反応がどの方角から訪れようとしているのかを聞いて迎え撃つ事を提案する。
「ハンゾウ!!何処から来る!?」
「レナ殿の正面からでござるが……気を付けて欲しいでござる!!この気配、ゴウライ殿に匹敵するでござる!!」
「何だって!?」
バルトロス王国最強の剣士であるゴウライにも匹敵する気配が接近するという言葉にレナは驚き、退魔刀と反鏡剣を引き抜いて身構える。しばらくすると、木々を潜り抜けて額に二本の角を生やした「黒馬」に乗り込んだ人物が現れ、それを見たレナは驚きを隠せない。
「何だ!?」
「……侵入者か、排除する」
「レナ殿!!気を付けるでござる!!」
「ヒヒイイインッ!!」
黒馬は二本の角を振り翳してレナの元へ突進し、その背中に乗る黒色の鎧と剣を身に着けた「女騎士」はレナを睨みつける。
――女性の容姿は褐色の肌に美しい黒髪を越本まで伸ばし、細長い耳を持つ事から森人族だと思われた。容姿に関しては凛々しい顔立ちに無駄な肉がない体型、その手元には刀身が異様に長く、レナの退魔刀と同様に黒色の刃の長剣を握り締めていた。
女性は黒馬に跨ったまま退く様子はなく、それを確認したレナは両手の剣を振り翳し、正面から迎え撃つ。
「来いやぁっ!!」
「何!?」
「ヒヒンッ!?」
「嘘ぉっ!?」
レナは逃げもせずに堂々と黒馬の衝突を退魔刀で受け止め、そのまま数メートルは押し込まれるが、やがて黒馬の方が勢いを失って止まってしまう。その光景に誰もが驚き、一方でレナは相手を大人しくさせるために次の手に移る。
黒馬を正面から受け取めたレナはまずは地面に突き刺した退魔刀を引き抜き、殺さないように手加減をしながら刀身部分で黒馬に振り翳す。刃に触れないように気を付けて放たれた大剣は黒馬の側頭部に命中し、体長が3メートル近く存在する黒馬は悲鳴をあげて倒れ込む。
「ヒヒンッ!?」
「くっ……よくもクロを」
「それがその馬の名前?ちょっと安直過ぎない?」
「やかましい!!」
女性はクロと呼んだ黒馬から下りるとレナと向き合い、剣を振り翳す。それを見てレナも両手の剣で応戦を行い、刃同士が触れて金属音が鳴り響く。
「はああっ!!」
「くっ!?」
「れ、レナが押されている!?」
「あの者、強いでござる……!!」
「レナ、頑張って!!」
数十合ほど両者は打ち合い、その光景を見てコトミン達は驚きを隠せない。レナの実力を知っているだけにそれと互角に張り合う女性の力量に動揺を隠せず、一方でレナの方もレベルが80を超えた自分と互角に打ち合える相手に戸惑う。
(こいつ、かなり強い!!こんな細腕なのに剣撃が重い……ここまでの相手はミドル以来だ!!)
女性の繰り出す剣の重さは尋常ではなく、しかも彼女は戦技すら発動していない。両者は互角に渡り合い、やがて女性の方が距離を置くと剣を構える。
「中々やるな……これほど手応えのある相手は先代か、クレナイ以来だ」
「何だって?」
「だが、ここまでだ」
クレナイの名前を口にした女性にレナは驚くが、彼女はそんな黒色の剣を構えると、刀身に掌を伸ばす。そして次の瞬間、刀身に「真紅の炎」が纏い、それを見たレナ達は驚愕した。基本的に森人族は火属性を苦手とするはずだが、褐色肌の女性は刀身に凄まじい熱気を誇る炎を刃に纏わせてレナに挑む。
(魔法剣……いや、この感じは違う!!)
魔力感知の能力でレナは女性が刀身に纏わせた「真紅の炎」が只の魔法剣ではない事に気付き、この剣をまともに受けるのは危険だと判断したレナは縮地を発動させて攻撃を避ける。その直後、女性の振り下ろした刃が地面へ衝突して炎が正面に放たれる。
「なっ!?」
「ひいいっ!?」
「熱っ!?焼き魚にされる……!!」
「な、なんという威力!?」
振り下ろされた刀身から炎が放たれ、正面に存在した岩を焼き尽くす。岩石はあまりの炎の火力に原型を留めない程に溶かされ、もしもレナが避けなければ今頃は跡形もなく燃え尽きて板かもしれない。女性は剣を振り払うと、攻撃を回避したレナに笑みを浮かべた。
「なるほど、縮地を覚えているか……だが、その程度の芸当は私にもできる」
「何を……うわっ!?」
女性も縮地は扱えるらしく、一瞬にしてレナの背後へと移動すると、剣を振り払う。慌ててレナは頭を下げて回避する事に成功したが、女性が空振りした刃の炎が周囲に放たれ、今度は近くに立っていた大樹の樹皮を焼き払う。
森の中に馬の咆哮が響き渡り、それを聞いたレナ達は慌ててその場を離れようとしたが、大きくなったスラミンを持ち上げるのに時間が掛かってしまう。
「ちょ、スラミンどれだけ水を吸ったの!?重いんだけど……!!」
「キュロロロッ……!?」
「ブモォッ……!?」
「ぶるるんっ……」
「鳴き声まで変わってるし……本当に何があったの!?」
アイン、ミノが二人がかりでもスラミンを持ち上げるのがやっとであり、体積から考えてもそれほど水分は吸収していないはずだが、何故か現在のスラミンは途轍もない重量になっていた。このままでは逃げる事も出来ず、仕方なくレナはハンゾウに接近する反応がどの方角から訪れようとしているのかを聞いて迎え撃つ事を提案する。
「ハンゾウ!!何処から来る!?」
「レナ殿の正面からでござるが……気を付けて欲しいでござる!!この気配、ゴウライ殿に匹敵するでござる!!」
「何だって!?」
バルトロス王国最強の剣士であるゴウライにも匹敵する気配が接近するという言葉にレナは驚き、退魔刀と反鏡剣を引き抜いて身構える。しばらくすると、木々を潜り抜けて額に二本の角を生やした「黒馬」に乗り込んだ人物が現れ、それを見たレナは驚きを隠せない。
「何だ!?」
「……侵入者か、排除する」
「レナ殿!!気を付けるでござる!!」
「ヒヒイイインッ!!」
黒馬は二本の角を振り翳してレナの元へ突進し、その背中に乗る黒色の鎧と剣を身に着けた「女騎士」はレナを睨みつける。
――女性の容姿は褐色の肌に美しい黒髪を越本まで伸ばし、細長い耳を持つ事から森人族だと思われた。容姿に関しては凛々しい顔立ちに無駄な肉がない体型、その手元には刀身が異様に長く、レナの退魔刀と同様に黒色の刃の長剣を握り締めていた。
女性は黒馬に跨ったまま退く様子はなく、それを確認したレナは両手の剣を振り翳し、正面から迎え撃つ。
「来いやぁっ!!」
「何!?」
「ヒヒンッ!?」
「嘘ぉっ!?」
レナは逃げもせずに堂々と黒馬の衝突を退魔刀で受け止め、そのまま数メートルは押し込まれるが、やがて黒馬の方が勢いを失って止まってしまう。その光景に誰もが驚き、一方でレナは相手を大人しくさせるために次の手に移る。
黒馬を正面から受け取めたレナはまずは地面に突き刺した退魔刀を引き抜き、殺さないように手加減をしながら刀身部分で黒馬に振り翳す。刃に触れないように気を付けて放たれた大剣は黒馬の側頭部に命中し、体長が3メートル近く存在する黒馬は悲鳴をあげて倒れ込む。
「ヒヒンッ!?」
「くっ……よくもクロを」
「それがその馬の名前?ちょっと安直過ぎない?」
「やかましい!!」
女性はクロと呼んだ黒馬から下りるとレナと向き合い、剣を振り翳す。それを見てレナも両手の剣で応戦を行い、刃同士が触れて金属音が鳴り響く。
「はああっ!!」
「くっ!?」
「れ、レナが押されている!?」
「あの者、強いでござる……!!」
「レナ、頑張って!!」
数十合ほど両者は打ち合い、その光景を見てコトミン達は驚きを隠せない。レナの実力を知っているだけにそれと互角に張り合う女性の力量に動揺を隠せず、一方でレナの方もレベルが80を超えた自分と互角に打ち合える相手に戸惑う。
(こいつ、かなり強い!!こんな細腕なのに剣撃が重い……ここまでの相手はミドル以来だ!!)
女性の繰り出す剣の重さは尋常ではなく、しかも彼女は戦技すら発動していない。両者は互角に渡り合い、やがて女性の方が距離を置くと剣を構える。
「中々やるな……これほど手応えのある相手は先代か、クレナイ以来だ」
「何だって?」
「だが、ここまでだ」
クレナイの名前を口にした女性にレナは驚くが、彼女はそんな黒色の剣を構えると、刀身に掌を伸ばす。そして次の瞬間、刀身に「真紅の炎」が纏い、それを見たレナ達は驚愕した。基本的に森人族は火属性を苦手とするはずだが、褐色肌の女性は刀身に凄まじい熱気を誇る炎を刃に纏わせてレナに挑む。
(魔法剣……いや、この感じは違う!!)
魔力感知の能力でレナは女性が刀身に纏わせた「真紅の炎」が只の魔法剣ではない事に気付き、この剣をまともに受けるのは危険だと判断したレナは縮地を発動させて攻撃を避ける。その直後、女性の振り下ろした刃が地面へ衝突して炎が正面に放たれる。
「なっ!?」
「ひいいっ!?」
「熱っ!?焼き魚にされる……!!」
「な、なんという威力!?」
振り下ろされた刀身から炎が放たれ、正面に存在した岩を焼き尽くす。岩石はあまりの炎の火力に原型を留めない程に溶かされ、もしもレナが避けなければ今頃は跡形もなく燃え尽きて板かもしれない。女性は剣を振り払うと、攻撃を回避したレナに笑みを浮かべた。
「なるほど、縮地を覚えているか……だが、その程度の芸当は私にもできる」
「何を……うわっ!?」
女性も縮地は扱えるらしく、一瞬にしてレナの背後へと移動すると、剣を振り払う。慌ててレナは頭を下げて回避する事に成功したが、女性が空振りした刃の炎が周囲に放たれ、今度は近くに立っていた大樹の樹皮を焼き払う。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。