不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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外伝 ~ヨツバ王国編~

魔刀術とは?

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「さあ、本気で戦えっ!!お前の力を見せろ!!」
「くそっ……いい加減にしろっ!!」


レナは休む暇もなく攻撃を仕掛けてくる相手に斬れると、瞳の色を紅色に変色させて退魔刀を振り払う。予想以上の剣速と威力に女性は剣で防ぐ事に成功するが吹き飛ばされ、驚いた表情を浮かべながら着地する。


「この威力……お前、本当に人間か?」
「人間だよ……って、うわっ!?」


退魔刀に視線を向けたレナは驚いた声を上げ、アダマンタイトで構成されている刃の一部が溶解しており、どうやら相手の剣の刃が触れた際に少しずつ溶かされていたらしい。高い魔法耐性と硬度を誇るアダマンタイト製の退魔刀ですらも溶かす敵の「真紅の炎」を纏わせる魔法剣にレイナは焦りを抱き、アイリスと交信を行う。


『アイリス、こいつ誰?いったい何者?』
『おおっと、大切な愛刀が溶かされてご機嫌斜めですね。なら今回はボケは無しで真面目に答えましょう。彼女はこの地を守る二代目西聖将です』
『二代目?西聖将?』


アイリスの説明にレナは驚き、まさか自分が戦っている相手が探し求めていた「西聖将」なのかと動揺するが、二代目という言葉が気にかかり質問する。


『彼女の名前はホムラ、先代の西聖将が亡くなり、現在は二代目の西聖将として選ばれた剣士です。ダークエルフと呼ばれる種族で普通の森人族とは少々異なります』
『ダークエルフ?』
『まあ、分かりやすく言えば人間が白人や黒人と別れているように森人族の間にも様々な種類がいます。ダークエルフは普通の森人族とは異なり、火属性を得意とする森人族で全員が褐色肌です』


レナ達に襲いかかってきた女性はダークエルフという種族で名前はホムラというらしく、アイリスによれば彼女が二代目の西聖将であり、そして彼女が扱う魔法剣はクレナイと同様に「魔刀術」という技術を使用しているという。


『このホムラが使用している技は通常の魔法剣ではなく、魔刀術と呼ばれる特殊な剣術です。名前は知ってますよね?』
『ダインたちから六聖将のクレナイという人が扱っていたという話しは聞いてるし、アカイや白虎が使用していた剣に竜巻を纏わせる剣技も魔刀術でしょ?けど、この女の場合は風じゃなくて炎だけど……』
『魔刀術は個人の魔法の適性によって変化します。森人族であるアカイやクレナイは風属性を得意とするのに対し、ダークエルフであるホムラは火属性を得手とします。しかも彼女の火属性の適性が高すぎて他の属性は一切扱えませんが、その分に魔法の力が非常に強いんです』
『なるほど……あの真紅の炎は魔法の強さを示しているのか』


ホムラが扱う魔法剣と思われる剣技は火属性の魔刀術らしく、クレナイやアカイが使用する魔刀術とは大きく性質が異なり、彼女の魔刀術は超高温を発する火属性の魔力を刀身に纏わせているらしい。炎のように見えるのは実際の所は彼女の魔力その物らしく、本物の炎ではない。

しかし、本物でなかろうと刀身に纏う真紅の魔力がマグマを想像させる超高温を発しているという事実は変わりはなく、大抵の魔法ならば傷一つ付くことがないレイナの退魔刀さえも表面だけとはいえ溶かした。その火力、というよりは「熱」に対してレナはどう対処するべきか悩む。


『あの炎みたいな魔力、かなり厄介だ。近づきすぎると熱すぎてこっちが火傷しそうだし、その癖かなり強い……こいつのレベルはいくつだよ』
『軽く70は超えていますね。それに年齢は100才は超えていますし、実戦経験も豊富です。とんでもない奴に見つかりましたね』
『どうすればいい?反鏡剣をメインにして戦えばあの魔刀術を解除できるかな?』
『いえ、止めておいた方がいいですよ。彼女の魔刀術から発せられる熱は感情に伴って温度を上げます。現在の状態だと反鏡剣で受けようとしたら剣の刃が解かされる可能性があります』
『うえっ……マジか』


魔力を跳ね返す素材で構成されている反鏡剣ならば対抗出来るかと考えたレナだが、反鏡剣では魔力を切り裂くことが出来ても魔力によって発生した「高温」はどうしようもできず、刃が溶かされる可能性があるという。それならば退魔刀で対抗するしかないが、その退魔刀も魔刀術の熱の影響を受けて既に溶けかかっている。

他に方法があるとすれば魔法で遠距離攻撃を行う事ぐらいだが、戦ってみて分かったが相手は「縮地」も習得しており、距離を取ろうとしても一瞬で追いつかれてしまう。さらに問題なのはレナ一人だけならばともかく、他の仲間達を狙われたら大変な事になってしまう。


『くそっ……魔刀術がこんなに凄いなんて聞いてないよ』
『魔法剣を究極的に極めた技術といっても過言ではないですからね。ちなみにシュンやハヤテの風の斬撃も魔刀術の力で生み出してるんですよ。アカイやクレナイと比べると出力は大きな差がありますけど、精密さは二人の方が上です』
『さらっと重要な事を言うなよ』


ハヤテとシュンが扱う剣技も魔刀術の一種らしく、どうしてこの天使はそんな大事なことを今更いうのかとレナは呆れてしまう。
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