774 / 2,091
外伝 ~ヨツバ王国編~
西聖将の里
しおりを挟む
「おい、何を呆けている。黙ってじっと私の顔を見つめて……気持ち悪い奴だな」
「いや、ぼうっとしていたのは悪いけど口の悪い奴だな」
「ふん、お前との決着は後だ。それより、とっとと付いて来い。いつまでも一か所に留まっていると面倒な事になる」
「面倒な事?」
「ぷるんっ?」
クロに乗り込んだホムラは他の者達にもこの場を離れるように促し、彼女に従って皆もその場を移動するために魔獣達へ乗り込む。その際にレナは気になった事をエリナに問う。
「そういえばウルの奴はどうしたの?姿が見えないけど……」
「あ、実はここに来る途中で怪我をしちゃって……でも、大丈夫です。そんなに大きな怪我ではないのですぐに治るはずです。今は里の方で預かってもらっていますから」
「里?」
「私が管理している村だ。付いて来い」
ホムラを戦闘にレナ達は森の中を突き進み、しばらく移動するとやがて大きな岩山の前へと辿り着く。最初は迂回するのかと思ったが、ホムラは岩山の天頂を指差す。
「あそこが私の村だ。お前たちの事を事前に皆に報告してくる、ここを動くんじゃないぞ」
「あそこって……どうやって行くの?」
「いいから見ていろ」
「ヒヒンッ!!」
岩壁に向けてクロは駆け出すとそのまま跳躍を行い、重力を無視するかの如く岩壁を登っていく。岩壁の凹凸部分に蹄をめり込ませて移動を行うバイコーンにレナ達は驚かされ、やがてある程度まで登ると馬が一頭だけ通れるほどの道幅が存在する場所まで辿り着き、下に存在するレナ達に声を掛ける。
「お前達はそこで待っていろ!!いいか、今度は勝手に抜け出すんじゃないぞ!!」
「うぃっす!!」
「分かった~」
「全く……はあっ!!」
「ヒヒンッ!!」
山頂に向けてクロを走らせたホムラはそのまま立ち去ると、残されたレナ達は大人しくこの場で待機する一方、先に訪れたエリナとティナの間に何が起きたのかを問う。
「エリナたちの方はどうだったの?何事も問題なく辿り着けた?」
「それがですね、西聖将の領地のあと一歩という所で、ウルが怪我しちゃったんですよ」
「そういえばさっきもそんなことを言ってたな。あいつが怪我をするなんて、何かあったの?」
「うん、森の中で野生の甲殻獣の群れと遭遇しちゃって、それでウルちゃんは私達を守るために……」
「ヒィンッ……」
ティナ達が移動の際中に遭遇した甲殻獣の群れと戦闘になり、ウルは二人とユニコを守るために交戦したという。結果としては逃げ切る事には成功したがウルの方は右前脚に深手を負い、現在は治療中だという。
ここで疑問を抱いたのは回復魔法を扱えるティナがどうして治療しなかったのかだが、ウルは負傷した際に毒を受けたらしく、彼女の回復魔法だけでは手の施しようがなかった。
「野生の甲殻獣は偶に毒性を持つ個体も生まれるんです。ウルが交戦した甲殻獣がそうだったみたいで、負傷した箇所が紫色に腫れ上がって容体が悪化しました。ですけど、今は西聖将さんの里で解毒中です。しばらくは安静にしないといけませんけど、命に別状はないそうです」
「キュロロッ……」
「そうなのか……頑張ったんだなあいつ」
「レナ、ウルに会ったらいっぱい褒める」
「分かってるよ。あいつの好きな猫じゃらしで遊んであげよう」
「狼なのに猫じゃらしが好きなのでござるか!?変わってるでござるな……」
「ブモォッ」
ウルの心配をする一方でレナは二人を守り切った相棒を誇らしく思い、再会したら誉めてあげようと考えていると、岩山の方から複数の気配を感じ取り、振り返るとそこにはホムラを筆頭にダークエルフの男女が数名存在した。どうやら村の人間を連れて来たらしく、彼等はレナ達の姿を見ると警戒するように槍や剣を構える。
「皆、あれがティナ王女とその仲間達だ」
「……なんだあれは?森人族の護衛が1人しかいないじゃないか」
「後は人間が3人と、魔人族が2体、それにユニコーンが1体に人魚族が1匹か?」
「怪しいな……そもそも本当にあの娘は王女なのか?」
村人たちは警戒気味に様子を伺い、そんな彼等を見てレナは素朴が疑問を口にする。
「あれ、コトミンの場合は人じゃなくて匹なんだ」
「むうっ……心外」
「気にする所はそこだけでござるか!?」
「ていうか、本当にダークエルフしかいないんだな……僕、初めて見たよ」
ホムラも村人も全員がダークエルフであり、種族的には稀少な存在なのでダインは物珍し気に見ると、そんな彼を見て村人の一人が騒ぎ出す。
「何だあの男は?我々をじろじろと見おって……怪しい奴だな」
「ホムラ、本当にあれがヨツバ王国の王女なのか?」
「……あの魔力の異常な高さは一般人とは思えない。それにあの少女からは一切の悪意が感じられない、嘘を吐いているとは思えない」
「ホムラがそういうのなら嘘じゃねえな……仕方ない、村に受け入れてやるか」
西聖将であるホムラは村人たちに信頼されているらしく、彼女がティナ王女を擁護すると他の者達も納得し、レナ達を迎え入れる事を承諾した。
「いや、ぼうっとしていたのは悪いけど口の悪い奴だな」
「ふん、お前との決着は後だ。それより、とっとと付いて来い。いつまでも一か所に留まっていると面倒な事になる」
「面倒な事?」
「ぷるんっ?」
クロに乗り込んだホムラは他の者達にもこの場を離れるように促し、彼女に従って皆もその場を移動するために魔獣達へ乗り込む。その際にレナは気になった事をエリナに問う。
「そういえばウルの奴はどうしたの?姿が見えないけど……」
「あ、実はここに来る途中で怪我をしちゃって……でも、大丈夫です。そんなに大きな怪我ではないのですぐに治るはずです。今は里の方で預かってもらっていますから」
「里?」
「私が管理している村だ。付いて来い」
ホムラを戦闘にレナ達は森の中を突き進み、しばらく移動するとやがて大きな岩山の前へと辿り着く。最初は迂回するのかと思ったが、ホムラは岩山の天頂を指差す。
「あそこが私の村だ。お前たちの事を事前に皆に報告してくる、ここを動くんじゃないぞ」
「あそこって……どうやって行くの?」
「いいから見ていろ」
「ヒヒンッ!!」
岩壁に向けてクロは駆け出すとそのまま跳躍を行い、重力を無視するかの如く岩壁を登っていく。岩壁の凹凸部分に蹄をめり込ませて移動を行うバイコーンにレナ達は驚かされ、やがてある程度まで登ると馬が一頭だけ通れるほどの道幅が存在する場所まで辿り着き、下に存在するレナ達に声を掛ける。
「お前達はそこで待っていろ!!いいか、今度は勝手に抜け出すんじゃないぞ!!」
「うぃっす!!」
「分かった~」
「全く……はあっ!!」
「ヒヒンッ!!」
山頂に向けてクロを走らせたホムラはそのまま立ち去ると、残されたレナ達は大人しくこの場で待機する一方、先に訪れたエリナとティナの間に何が起きたのかを問う。
「エリナたちの方はどうだったの?何事も問題なく辿り着けた?」
「それがですね、西聖将の領地のあと一歩という所で、ウルが怪我しちゃったんですよ」
「そういえばさっきもそんなことを言ってたな。あいつが怪我をするなんて、何かあったの?」
「うん、森の中で野生の甲殻獣の群れと遭遇しちゃって、それでウルちゃんは私達を守るために……」
「ヒィンッ……」
ティナ達が移動の際中に遭遇した甲殻獣の群れと戦闘になり、ウルは二人とユニコを守るために交戦したという。結果としては逃げ切る事には成功したがウルの方は右前脚に深手を負い、現在は治療中だという。
ここで疑問を抱いたのは回復魔法を扱えるティナがどうして治療しなかったのかだが、ウルは負傷した際に毒を受けたらしく、彼女の回復魔法だけでは手の施しようがなかった。
「野生の甲殻獣は偶に毒性を持つ個体も生まれるんです。ウルが交戦した甲殻獣がそうだったみたいで、負傷した箇所が紫色に腫れ上がって容体が悪化しました。ですけど、今は西聖将さんの里で解毒中です。しばらくは安静にしないといけませんけど、命に別状はないそうです」
「キュロロッ……」
「そうなのか……頑張ったんだなあいつ」
「レナ、ウルに会ったらいっぱい褒める」
「分かってるよ。あいつの好きな猫じゃらしで遊んであげよう」
「狼なのに猫じゃらしが好きなのでござるか!?変わってるでござるな……」
「ブモォッ」
ウルの心配をする一方でレナは二人を守り切った相棒を誇らしく思い、再会したら誉めてあげようと考えていると、岩山の方から複数の気配を感じ取り、振り返るとそこにはホムラを筆頭にダークエルフの男女が数名存在した。どうやら村の人間を連れて来たらしく、彼等はレナ達の姿を見ると警戒するように槍や剣を構える。
「皆、あれがティナ王女とその仲間達だ」
「……なんだあれは?森人族の護衛が1人しかいないじゃないか」
「後は人間が3人と、魔人族が2体、それにユニコーンが1体に人魚族が1匹か?」
「怪しいな……そもそも本当にあの娘は王女なのか?」
村人たちは警戒気味に様子を伺い、そんな彼等を見てレナは素朴が疑問を口にする。
「あれ、コトミンの場合は人じゃなくて匹なんだ」
「むうっ……心外」
「気にする所はそこだけでござるか!?」
「ていうか、本当にダークエルフしかいないんだな……僕、初めて見たよ」
ホムラも村人も全員がダークエルフであり、種族的には稀少な存在なのでダインは物珍し気に見ると、そんな彼を見て村人の一人が騒ぎ出す。
「何だあの男は?我々をじろじろと見おって……怪しい奴だな」
「ホムラ、本当にあれがヨツバ王国の王女なのか?」
「……あの魔力の異常な高さは一般人とは思えない。それにあの少女からは一切の悪意が感じられない、嘘を吐いているとは思えない」
「ホムラがそういうのなら嘘じゃねえな……仕方ない、村に受け入れてやるか」
西聖将であるホムラは村人たちに信頼されているらしく、彼女がティナ王女を擁護すると他の者達も納得し、レナ達を迎え入れる事を承諾した。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。