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外伝 ~ヨツバ王国編~
ダークエルフの村
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「早く上がって来い!!もうそろそろ魔物共が目覚める時間帯に陥る、死にたくなければここまでよじ登って来い!!」
「ええっ!?またこの岩壁を登るんすか!?」
「嫌ならそこでじっとしておけ!!また落ちても今度は助けないからな!!」
自力で岩壁を登るように催促してくるホムラに対してレナ達は顔を見合わせ、仕方なくレナが代表となって一番初めに壁に登る事にした。
「皆はここで待っててよ。すぐに迎えに行くから」
「迎えに行くって……あ、そうか。そういう事か」
レナの言葉の意図を察した仲間達は従い、その場に残って岩壁をレナが登り終えるまで待機する。その様子を見ていたホムラ達はどうしてレナだけが壁を登ってくるのか疑問を抱き、茶々を入れる者もいた。
「おい、どうした!!女はともかく、そこの男はこの程度の壁も登れないのか!!」
「この腰抜けめっ!!」
「な、なんだとっ!?くそ、僕だって……いや、止めとこ」
「流石はダイン……この状況でもへたれる」
「拙者たちが恥ずかしいでござる……」
「いや、この高さから落ちたら大怪我じゃ済まないじゃん!!僕は魔術師だからお前等みたいに化物みたいな身体能力はないんだよ!!」
ダークエルフたちの挑発を受けて岩壁に近付いたダインではあったが、岩山の高度を見て落ちたら大怪我では済まない事を悟るとレナに任せて自分は元の位置へ戻る。そんなダインの反応に仲間達は呆れる中、レナの方は難なく岩壁を登っていき、何事もなくホムラの元まで辿り着く。
「ふうっ、きつかった」
「……大した身体能力だ。お前、職業は何だ?」
「不遇職」
「はっ?」
ホムラの質問に対してレナは適当に答えると空間魔法を発動させ、自分の手元と事前に地上に設置しておいた「黒渦」を繋げて他の仲間達を安全に呼び寄せる。目の前で黒色の渦のような空間を生み出し、その中から次々とレナの仲間達が現れてホムラを含めたダークエルフの集団は驚かされた。
得体の知れない魔法を使用したレナにダークエルフたちは警戒するが、一方でホムラの方は自分と互角に戦える力量を持ちながら魔術師の如く魔法を使用した事に驚き、レナに興味を抱く。
「……お前、名前は?」
「レナだよ。一応はハヅキ家の人間だけど……」
「ハヅキ家だと!?」
「ヨツバ王国の三大貴族にして緑影の管理者であり、風の聖痕の管理も任されているあの有名な……」
「ほう……」
ハヅキ家の名前は西聖将の領地でも知れ渡っていたらしく、特にホムラはレナがハヅキ家の家系だと知ると途端に次々と質問を行う。
「ハヅキ家か……確か、当主には3人の娘が痛そうだが、全員が娘だったはず。そしてその中に人間の娘がいると聞いているが、お前はそいつの息子辺りか?」
「アイラ母さんを知っているの?」
「会ったことはない。だが、当主であるハヅキとは何度か顔を合わせている。あいつは良い奴だった、先代とも仲が良かった」
「へえ……」
ホムラがハヅキとも面識が会った事にレナは驚き、いったいどのような関係だったのかを尋ねようとした時、ホムラは殺気を放つ。
「そして、人間の領地で殺されたという報告も受けている。その後、ハヅキが宿していた風の聖痕は人間に奪われたとな」
異様なまでの威圧が周囲の人間に襲いかかり、ダークエルフの戦士達もダインたちも魔獣達でさえもホムラの放つ殺気に身体が硬直し、動けなかった。彼女はヨツバ王国からハヅキが死亡した事、そして何百年もハヅキ家が管理していた風の聖痕が人間によって奪われたという報告を受けていた。
勿論、彼女の元に届いた報告は虚偽であり、事前にカレハが情報を偽装して送り込んだ物である。しかし、その事実を知らないホムラは目の前に立つ「人間」でありながら異様な魔力を所有し、更に右腕の部分に聖痕らしき紋様を宿しているレナこそがハヅキから風の聖痕を奪い取った張本人ではないかと思いこむ。
しかし、そんな彼女の異常なまでの殺気を浴びながらもレナは怖気た様子もせず、黙ってホムラに振り返ると空間魔法を発動させ、ハヅキの遺品である銅製の髪飾りを見せつける。
「これ、知ってる?ハヅキ御婆様の旦那さんが作った髪飾りだよ」
「何だと?」
「ハヅキさんはこれをずっと大切に持っていた。そして娘であるアイラ母さんもマリア叔母様もこの髪飾りを持っていた。あんたはこの髪飾りを見た事はある?」
「……貸してみろ」
レナの言葉にホムラは髪飾りを受け取ると、確かに子供の頃にハヅキと会った時に彼女が所持していた物だと知る。最初はハヅキから奪い取った代物かと考えたが、この髪飾りがハヅキの亡き旦那が作ったという話を知っている人間は少ない。
髪飾りが本物である事を知るとホムラは殺気を収め、溜息を吐きながらレナに突き返す。そしてレナの顔を見つめ、何処となくハヅキの面影がある事を認めると、彼女は一言だけ告げる。
「お前の祖母は……私が父親以外に唯一尊敬する相手だった」
「そう……それは嬉しいね」
「ふん……こっちだ、付いて来い」
誤解は解けたがホムラはバツが悪そうな表情を浮かべて案内を行い、その様子を見てダークエルフの戦士達もレナの仲間達も安心した表情を浮かべた。
「ええっ!?またこの岩壁を登るんすか!?」
「嫌ならそこでじっとしておけ!!また落ちても今度は助けないからな!!」
自力で岩壁を登るように催促してくるホムラに対してレナ達は顔を見合わせ、仕方なくレナが代表となって一番初めに壁に登る事にした。
「皆はここで待っててよ。すぐに迎えに行くから」
「迎えに行くって……あ、そうか。そういう事か」
レナの言葉の意図を察した仲間達は従い、その場に残って岩壁をレナが登り終えるまで待機する。その様子を見ていたホムラ達はどうしてレナだけが壁を登ってくるのか疑問を抱き、茶々を入れる者もいた。
「おい、どうした!!女はともかく、そこの男はこの程度の壁も登れないのか!!」
「この腰抜けめっ!!」
「な、なんだとっ!?くそ、僕だって……いや、止めとこ」
「流石はダイン……この状況でもへたれる」
「拙者たちが恥ずかしいでござる……」
「いや、この高さから落ちたら大怪我じゃ済まないじゃん!!僕は魔術師だからお前等みたいに化物みたいな身体能力はないんだよ!!」
ダークエルフたちの挑発を受けて岩壁に近付いたダインではあったが、岩山の高度を見て落ちたら大怪我では済まない事を悟るとレナに任せて自分は元の位置へ戻る。そんなダインの反応に仲間達は呆れる中、レナの方は難なく岩壁を登っていき、何事もなくホムラの元まで辿り着く。
「ふうっ、きつかった」
「……大した身体能力だ。お前、職業は何だ?」
「不遇職」
「はっ?」
ホムラの質問に対してレナは適当に答えると空間魔法を発動させ、自分の手元と事前に地上に設置しておいた「黒渦」を繋げて他の仲間達を安全に呼び寄せる。目の前で黒色の渦のような空間を生み出し、その中から次々とレナの仲間達が現れてホムラを含めたダークエルフの集団は驚かされた。
得体の知れない魔法を使用したレナにダークエルフたちは警戒するが、一方でホムラの方は自分と互角に戦える力量を持ちながら魔術師の如く魔法を使用した事に驚き、レナに興味を抱く。
「……お前、名前は?」
「レナだよ。一応はハヅキ家の人間だけど……」
「ハヅキ家だと!?」
「ヨツバ王国の三大貴族にして緑影の管理者であり、風の聖痕の管理も任されているあの有名な……」
「ほう……」
ハヅキ家の名前は西聖将の領地でも知れ渡っていたらしく、特にホムラはレナがハヅキ家の家系だと知ると途端に次々と質問を行う。
「ハヅキ家か……確か、当主には3人の娘が痛そうだが、全員が娘だったはず。そしてその中に人間の娘がいると聞いているが、お前はそいつの息子辺りか?」
「アイラ母さんを知っているの?」
「会ったことはない。だが、当主であるハヅキとは何度か顔を合わせている。あいつは良い奴だった、先代とも仲が良かった」
「へえ……」
ホムラがハヅキとも面識が会った事にレナは驚き、いったいどのような関係だったのかを尋ねようとした時、ホムラは殺気を放つ。
「そして、人間の領地で殺されたという報告も受けている。その後、ハヅキが宿していた風の聖痕は人間に奪われたとな」
異様なまでの威圧が周囲の人間に襲いかかり、ダークエルフの戦士達もダインたちも魔獣達でさえもホムラの放つ殺気に身体が硬直し、動けなかった。彼女はヨツバ王国からハヅキが死亡した事、そして何百年もハヅキ家が管理していた風の聖痕が人間によって奪われたという報告を受けていた。
勿論、彼女の元に届いた報告は虚偽であり、事前にカレハが情報を偽装して送り込んだ物である。しかし、その事実を知らないホムラは目の前に立つ「人間」でありながら異様な魔力を所有し、更に右腕の部分に聖痕らしき紋様を宿しているレナこそがハヅキから風の聖痕を奪い取った張本人ではないかと思いこむ。
しかし、そんな彼女の異常なまでの殺気を浴びながらもレナは怖気た様子もせず、黙ってホムラに振り返ると空間魔法を発動させ、ハヅキの遺品である銅製の髪飾りを見せつける。
「これ、知ってる?ハヅキ御婆様の旦那さんが作った髪飾りだよ」
「何だと?」
「ハヅキさんはこれをずっと大切に持っていた。そして娘であるアイラ母さんもマリア叔母様もこの髪飾りを持っていた。あんたはこの髪飾りを見た事はある?」
「……貸してみろ」
レナの言葉にホムラは髪飾りを受け取ると、確かに子供の頃にハヅキと会った時に彼女が所持していた物だと知る。最初はハヅキから奪い取った代物かと考えたが、この髪飾りがハヅキの亡き旦那が作ったという話を知っている人間は少ない。
髪飾りが本物である事を知るとホムラは殺気を収め、溜息を吐きながらレナに突き返す。そしてレナの顔を見つめ、何処となくハヅキの面影がある事を認めると、彼女は一言だけ告げる。
「お前の祖母は……私が父親以外に唯一尊敬する相手だった」
「そう……それは嬉しいね」
「ふん……こっちだ、付いて来い」
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