不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
931 / 2,091
S級冒険者編

圧倒的な力の差

しおりを挟む
「なっ……まずい、ダイン!!シャドウマンを早く!!」
「えっ!?わ、分かった!!」


氷竜の異変に気付いたレナはダインに声をかけ、彼の影魔法で防御しようと促す。レナの言葉に慌ててダインは影魔法を発動させ、影人形を作り出そうとしたが、その前に氷竜は氷柱状の巨大な氷塊を吐き出す。



螺旋氷弾ドリルガン!!」



何処からともなく少年の声が響き渡り、氷竜の口元で作り上げられた巨大な氷塊の砲弾がレナ達に迫りくる。高速回転が咥えられた氷の塊が迫る光景を見てレナはダインの影魔法は間に合わないと判断すると、退魔刀を握りしめて一か八かの賭けに出る。


(間に合うかっ!?)


迫りくる巨大な氷塊に対してレナは退魔刀を両手で構えると、物質変換を発動させて退魔刀を変形させ、やがて「カラドボルグ」を作り出す。オリジナルのカラドボルグよりも巨大な剣だが、性能に関しては変わりはなく、全力で振り放つ。

聖剣と化した退魔刀から金色の雷光が放たれると、そのまま迫りくる氷塊に衝突して轟音が鳴り響く。雷撃は見事に氷塊を破壊する事に成功したが、周囲に電流を帯びた氷の破片が散らばる。


「うわぁっ!?」
「ぬおっ!?」
「ひいいっ!?」


氷の破片に当たらないように全員が身を伏せる中、レナは聖剣を手にした状態で氷竜と向き直り、口元の部分に視線を向ける。そして氷竜の口内に人間らしき姿を発見した。それを確認したレナは狙いを定め、続けて雷撃を放つ。


「はああっ!!」
氷盾シールド!!」


氷竜の顔面に向けて放たれた雷撃に対して、口の中に隠れていた人物は両手を差し出すと再び魔法を発動させて巨大な円盤状の氷を作り出す。結果としては円盤型の氷塊によって雷撃は妨げられ、氷塊を破壊する事には成功したが、氷竜の元には雷撃は届かなかった。

聖剣の攻撃さえも防ぐ氷塊を見てレナは驚きを隠せず、同時にこの魔法の正体を見抜く。先ほどから疑問を抱いていたのだが、相手が使用する魔法はレナも見覚えがあり、驚くべき事に相手は「初級魔法」の「氷塊」を駆使して戦っている。


(まさか、初級魔法なのか……でも俺のと比べて規模が違いすぎる!!)


相手が使用している魔法が初級魔法だと見抜いたレナは焦りを隠せず、レナが扱う氷塊の魔法とは規模も密度も違いすぎた。レナの場合は作り出せる氷はせいぜい10メートル程度があり、それ以上の大きさの氷を作り出す事は出来ない。正確に言えばそれ以上の大きさを作ろうとしてもレナでは維持は出来ないというのが正しいかった。

氷塊の魔法は規模が大きいほどに負担も大きく、魔力を消耗してしまう。だが、レナの魔力量を考えれば10メートル以上の氷塊を作り出す事は絶対に不可能というわけではないが、高い集中力がなければ氷塊を維持する事は出来ない。しかし、レナ達の前に存在する氷竜は少なくとも体長は30メートル近くは存在した。


(信じられない……ここが仮想空間だとしても、少なくとも元々はこれぐらいの力を持つ人物を参考に作り出されているとしたら、本当にこれだけの魔力と技術を持つ奴がいたのか!?)


アイラ、バル、火竜の強さに関してはオリジナルを参考に作り出されたとしか思えず、その強さは本物にも劣らない。しかし、目の前に現れた敵はレナが聖剣を使用しても倒せず、それどころか逆に追い詰められようとしていた。


「黒炎!!」
「なっ……まずい!?闇属性と火属性の合成魔術だ!!」


氷竜の口内に存在するに人間は今度は黒色の炎を想像させる魔法を放ち、レナ達の元に火炎放射の如く、黒炎が放たれた。それを見たダインはいち早く敵の攻撃の性質に気づき、咄嗟にレナは聖剣を使用しようとしたが、立て続けの連続攻撃で魔力を消耗して片足が崩れてしまう。


「うわっ!?」
「レナ君!?危ないっ!!」
「雪月花!!」


レナが崩れたのを見てミナが慌てて駆け出そうとしたが、その前にシズネが動いて彼女は雪月花を構えると、魔剣の力を最大限に利用して迫りくる黒炎に向けて刃を振る。結果的には雪月花から生み出された冷気の斬撃が黒炎と衝突して防ぐことには成功したが、左右に切り裂かれた黒炎は草原を焼き尽くす。


「ひいいっ!?な、何だよこれ!?」
「この炎の威力は……前に見た死霊魔術師のキラウが扱っていた魔法よりも凄い」
「……格が違いすぎる」
「こ、こんなの……どうしようも出来ないよ!!逃げようよ!!」
「逃げ場なんて……もうないわよ」


自分達の周囲が黒炎によって塞がれた事でレナ達は逃げ場を失ってしまい、そんな彼等に対して氷竜は飛び上がると、今度は上空から攻撃を行うつもりなのか空中に静止した。翼が生えているにも関わらずに空を飛ぶ際には両翼を羽ばたかせる事もないため、氷竜の正体が氷塊の魔法で作り出した物だと嫌でも思い知らされる。

やがて氷竜の中に存在する人物は今度は銀色に光り輝く球体を作り出し、レナ達の頭上を照らす。攻撃されると思ったレナ達だったが、特に光を浴びても身体に異変はなく、その代わりに足元の植物が唐突に成長を始めてレナ達の身体にまとわりつく。
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。