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S級冒険者編
レベル99
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「うわっ……な、何だっ!?」
「何よこれは……!!」
「わわっ!?」
草原に生えていた黒色の雑草が急速的に成長すると、蔓のように変化してレナ達の身体にまとわりつく。銀色の光の球体を浴びた瞬間に植物が変化した事からレナは球体に視線を向け、手にしていた反鏡剣を放つ。
「このぉっ!!」
反鏡剣の特性は魔法を跳ね返す力を持ち、その性質を利用してレナは光球へ向けて放り投げると、反鏡剣は見事に光球に衝突して切り裂く。魔力で構成された光球は反鏡剣の刃によって切り裂かれた事で霧散した瞬間、植物の成長が止まり、レナ達の身体の拘束していた蔓が力を緩める。
「皆、動かないで!!雪月花!!」
「うわっ!?な、何だっ!?」
「おおっ……地面が凍っていく」
シズネは植物の成長が止まった瞬間、雪月花の刃を地面に突き刺して能力を発揮させる。その結果、地面を伝ってレナ達の身体を拘束していた植物だけを凍結させ、やがて粉々に砕けちる。更に念のために周囲一帯に生えている植物を氷結化させた。
植物を氷結化させたのは先ほどの攻撃が再び繰り出されても植物の成長を妨げ、既に凍り付いている植物が襲ってくる事はない。だが、氷竜の方は上空に対峙したままレナ達の様子を伺い、動く様子がない。それを見たレナはシズネの方へと向かい、彼女に話しかける。
「シズネ、何かいい方法は思いついた?」
「いいえ、はっきり言って全く勝てる気がしないわ……相手が氷の竜となると私の雪月花とも相性が悪そうね」
「この距離だと俺がカラドボルグを作り出しとしても攻撃が届くかどうか……」
カラドボルグの雷光の攻撃ならば氷竜に通じる可能性は十分にあったが、氷竜はそれを見越してか一定の距離を保ち、決して近づくことはない。レナは氷竜に視線を向け、実を言えば一撃だけならば確実に当てられる方法はあるのだが、その方法が失敗すればもう氷竜に勝つ手段はない。
(あの氷で作られた火竜……間違いない、口の中に誰かが隠れている。そいつが本体だとは思うけど……どうすればいいんだ)
氷竜の口内に人影を見たレナは氷竜の頭部の辺りに何者かが潜んでいると確信した。ならば狙うのは当然だが頭部なのだが、相手もそれを警戒しているのか距離を保って動く様子がない。
「く、くそっ……飛んでさえいなければ僕の影魔法で拘束して動けないようにすることが出来るのに!!」
「あんな巨体を捕まえる事が出来るのか?」
「大丈夫だ、何でか知らないけど今の僕は力が有り余っている気がする!!」
「……そうね、何故だか分からないけど私も同じ気分だわ。ここまで雪月花の力を使っているのに全然疲れた気がしないわ」
ここまでの連戦でレナ達は相応の体力や魔力を消耗していると思われたが、不思議と身体は軽く、それどころか逆に力が溢れているような感覚だった。その事に気づいたレナはステータス画面を開いて確認すると、いつの間にか画面が更新されてレベルが再び上昇している事に気づいた。
「……力が有り余っているのも当然だよ、俺達のレベルがまた上がってるよ」
「えっ!?嘘っ……僕、レベルが99になってる!?」
「何だって!?」
「お、俺もだ……どうなってるんだ?」
「信じられないわね……こんなレベルの上がり方、普通はあり得ないわ」
「おおうっ……これで私も英雄の領域に入った?」
全員がステータス画面を確認すると、そこにはレベルが「99」に統一されていた。この世界ではレベルの上限は99のため、必然的に全員のレベルが限界まで上がっている状態だった。レベル99に到達した人間など歴史上でも片手で数えるほどしか存在せず、恐らくはこの領域に到達した者は地球から召喚された「勇者」ぐらいしか存在しない。
これまでにもフェーズが更新されるた度にレベルは上昇していたが、やはり最終フェーズとなるとレベルの方も限界まで上がるらしく、同時にそれは敵対する相手の強さがレベル99に相応しい存在であることを示す。ダイン達の話によるとこの場所は遥か昔、史上最強の魔術師であるルノと魔王が戦った場所だった場合、今現在のレナ達が相対している敵の正体は恐らくはルノか魔王の人物像を参考にして作り出された存在だろう。
(俺達が相手をしているのは勇者か、あるいは魔王か……どっちにしろ、今までの敵の中でも一番やばいな)
これまでにミドルやホムラといった強敵と戦ってきたレナだが、上空に存在する氷竜を操る人間は二人を上回る危険な存在であることを見抜く。もしも単独で戦っていたら絶対に敵わない相手だろうが、それでもここまで来て諦めるわけにはいかず、恐らくこの最終フェーズをクリアすれば元の世界に戻れるという確信があった。
(どうする……どうやって倒せばいいんだ?)
レナが氷竜に勝つ方法があるとすれば聖剣を作り出し、攻撃を行うしかない。だが、最大火力を誇るカラドボルグの一撃でさえも氷竜を相手に何処まで通じるかは分からず、確実に一撃で倒す自信はなかった。しかし、ここでレナはこの場に聖剣にも匹敵する力を誇る人物がいる事を思い出す。
「何よこれは……!!」
「わわっ!?」
草原に生えていた黒色の雑草が急速的に成長すると、蔓のように変化してレナ達の身体にまとわりつく。銀色の光の球体を浴びた瞬間に植物が変化した事からレナは球体に視線を向け、手にしていた反鏡剣を放つ。
「このぉっ!!」
反鏡剣の特性は魔法を跳ね返す力を持ち、その性質を利用してレナは光球へ向けて放り投げると、反鏡剣は見事に光球に衝突して切り裂く。魔力で構成された光球は反鏡剣の刃によって切り裂かれた事で霧散した瞬間、植物の成長が止まり、レナ達の身体の拘束していた蔓が力を緩める。
「皆、動かないで!!雪月花!!」
「うわっ!?な、何だっ!?」
「おおっ……地面が凍っていく」
シズネは植物の成長が止まった瞬間、雪月花の刃を地面に突き刺して能力を発揮させる。その結果、地面を伝ってレナ達の身体を拘束していた植物だけを凍結させ、やがて粉々に砕けちる。更に念のために周囲一帯に生えている植物を氷結化させた。
植物を氷結化させたのは先ほどの攻撃が再び繰り出されても植物の成長を妨げ、既に凍り付いている植物が襲ってくる事はない。だが、氷竜の方は上空に対峙したままレナ達の様子を伺い、動く様子がない。それを見たレナはシズネの方へと向かい、彼女に話しかける。
「シズネ、何かいい方法は思いついた?」
「いいえ、はっきり言って全く勝てる気がしないわ……相手が氷の竜となると私の雪月花とも相性が悪そうね」
「この距離だと俺がカラドボルグを作り出しとしても攻撃が届くかどうか……」
カラドボルグの雷光の攻撃ならば氷竜に通じる可能性は十分にあったが、氷竜はそれを見越してか一定の距離を保ち、決して近づくことはない。レナは氷竜に視線を向け、実を言えば一撃だけならば確実に当てられる方法はあるのだが、その方法が失敗すればもう氷竜に勝つ手段はない。
(あの氷で作られた火竜……間違いない、口の中に誰かが隠れている。そいつが本体だとは思うけど……どうすればいいんだ)
氷竜の口内に人影を見たレナは氷竜の頭部の辺りに何者かが潜んでいると確信した。ならば狙うのは当然だが頭部なのだが、相手もそれを警戒しているのか距離を保って動く様子がない。
「く、くそっ……飛んでさえいなければ僕の影魔法で拘束して動けないようにすることが出来るのに!!」
「あんな巨体を捕まえる事が出来るのか?」
「大丈夫だ、何でか知らないけど今の僕は力が有り余っている気がする!!」
「……そうね、何故だか分からないけど私も同じ気分だわ。ここまで雪月花の力を使っているのに全然疲れた気がしないわ」
ここまでの連戦でレナ達は相応の体力や魔力を消耗していると思われたが、不思議と身体は軽く、それどころか逆に力が溢れているような感覚だった。その事に気づいたレナはステータス画面を開いて確認すると、いつの間にか画面が更新されてレベルが再び上昇している事に気づいた。
「……力が有り余っているのも当然だよ、俺達のレベルがまた上がってるよ」
「えっ!?嘘っ……僕、レベルが99になってる!?」
「何だって!?」
「お、俺もだ……どうなってるんだ?」
「信じられないわね……こんなレベルの上がり方、普通はあり得ないわ」
「おおうっ……これで私も英雄の領域に入った?」
全員がステータス画面を確認すると、そこにはレベルが「99」に統一されていた。この世界ではレベルの上限は99のため、必然的に全員のレベルが限界まで上がっている状態だった。レベル99に到達した人間など歴史上でも片手で数えるほどしか存在せず、恐らくはこの領域に到達した者は地球から召喚された「勇者」ぐらいしか存在しない。
これまでにもフェーズが更新されるた度にレベルは上昇していたが、やはり最終フェーズとなるとレベルの方も限界まで上がるらしく、同時にそれは敵対する相手の強さがレベル99に相応しい存在であることを示す。ダイン達の話によるとこの場所は遥か昔、史上最強の魔術師であるルノと魔王が戦った場所だった場合、今現在のレナ達が相対している敵の正体は恐らくはルノか魔王の人物像を参考にして作り出された存在だろう。
(俺達が相手をしているのは勇者か、あるいは魔王か……どっちにしろ、今までの敵の中でも一番やばいな)
これまでにミドルやホムラといった強敵と戦ってきたレナだが、上空に存在する氷竜を操る人間は二人を上回る危険な存在であることを見抜く。もしも単独で戦っていたら絶対に敵わない相手だろうが、それでもここまで来て諦めるわけにはいかず、恐らくこの最終フェーズをクリアすれば元の世界に戻れるという確信があった。
(どうする……どうやって倒せばいいんだ?)
レナが氷竜に勝つ方法があるとすれば聖剣を作り出し、攻撃を行うしかない。だが、最大火力を誇るカラドボルグの一撃でさえも氷竜を相手に何処まで通じるかは分からず、確実に一撃で倒す自信はなかった。しかし、ここでレナはこの場に聖剣にも匹敵する力を誇る人物がいる事を思い出す。
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