不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
942 / 2,091
S級冒険者編

リーリスとの戦闘

しおりを挟む
――リーリスの要望通りにレナは訓練場に移動すると、その殺風景な風景に驚かされる。訓練場といっても鍛錬器具は一切存在せず、学校の体育館程度の広さを誇っていた。地面や天井はコンクリートのような素材で形成されているが、ただのコンクリートではないのかレナが力任せに大剣を叩きつけても掠り傷程度しか与えられない。


「どうですか?中々広いでしょう、ここは勇者が訓練する事を想定して作り出された場所なので簡単には壊れませんよ」
「なるほど、確かに思いっきり戦えそうだけど……これ、どういう素材なの?」
「地球のコンクリートを参考にして作り出された特殊な素材です。そこいらの竜種が暴れても壊れる事はないので安心してください」
「なるほど、それなら安心だ」


竜種級の存在が暴れたとしても壊れないのならばレナが聖剣を作り出して攻撃しても問題はなく、そもそも聖剣を扱う機会が訪れるかは分からない。退魔刀と大太刀を引き抜いたレナはリーリスと向かい合うと、彼女は素手のままで向き直る。

いきなり勝負を挑まれた時は驚いたが、リーリスによると彼女は久しく戦闘訓練を行っていなかったので自分の力を試したいらしい。元々は勇者のサポート役として作り出された彼女だが、勇者の育成のための練習相手として戦う事を想定され、戦闘機能も搭載されているという。


「さあ、遠慮しないで思いっきり戦ってくださいね!!私も手加減はしませんから!!」
「どうなっても知らないぞ……壊れた時はどうするの?」
「大丈夫です、その時はスペアがありますから!!」
「スペアあるの!?」


冗談なのか本気で言っているのかは分からないがリーリスも引く気はないらしく、彼女は身構えるとレナも両手の剣を構える。見た限りではリーリスには何らかの武術を極めた達人のような雰囲気は感じられないが、仮にも勇者の練習相手を自称するので戦闘能力は高いのだろう。

勇者と実際に会ったことがないのでレナは勇者がどの程度の存在なのかは計りかねるが、仮想世界で最後に戦った相手はリーリスによると勇者に匹敵する力を持つ存在という。ちなみに氷竜の中に入っていた人間の正体までは聞かされておらず、レナは知らず知らずに勇者級の実力を持つ相手と戦っていた事になる。


(さあ、どう動くかな……とりあえず、近づいてみるか)


レナはリーリスの様子を確認しながら近づこうとした瞬間、一瞬にしてリーリスの姿が消えた。その光景にレナは目を見開き、いったい何処に消えたのかと探す。


(消えた!?まさか、高速移動!?)


姿が消えてしまったリーリスをレナは慌てて探すが、周囲を見渡しても彼女の影も形も確認できず、焦りを抱く。しかし、ここでレナはある疑問を抱いて試しに瞼を閉じて「心眼」を発動させる。

視覚を封じる事で五感を研ぎ澄ませ、心の目で相手の動きを読む。やがてレナはこっそりと自分の背後に近付く存在を感知すると、後方に向けて剣を放つ。


「そこかっ!!」
『おっと、気づかれましたか!?』


背中に大剣を振りかざすとリーリスの声が響き、彼女はどうやらカメレオンのように周囲の風景に擬態して姿を隠していたらしく、迷彩機能とでも言えば良いのか見事に姿を隠蔽していた。それを確認したレナは彼女に追撃を加えようと大太刀を構えると、リーリスは今度は何処から取り出したのか拳銃のような武器を取り出す。


「発砲!!」
「あぶなっ!?」


リボルバー式のマグナムのような銃器を取り出したリーリスは容赦なく発砲を行い、慌ててレナは頭を伏せて弾丸を回避する。まさか銃を取り出すとは予想外だったが、事前にリーリスの動作を確認して回避行動を取っていれば避けるのは容易い。

銃弾さえも躱したレナに対してリーリスは焦る様子もなく銃器を投げ捨てると、今度はレイピアのような武器を取り出す。ここでレナはリーリスが取り出した武器は先ほどの彼女のように迷彩機能で隠蔽していた事を見抜き、最初から彼女は複数の武器を所持していた事を見抜く。


「シル……いえ、ホワイトチャリオッツです!!」
「その名前はマジで止めろ!!」


危うくとんでもない名前を口にしそうになったリーリスだが、見事なレイピア捌きでレナに鋭い突きを繰り出す。しかし、純粋な剣技ならばシズネが勝り、普段から彼女と組み手を行っているレナにとってはリーリスの放つ突きなど簡単に対処できた。

大太刀を振り上げてレイピアを弾くと、リーリスは武器を失って後退する。そして次に取り出した彼女の武器は「ガトリング砲」だった。


「これが私のとっておき、リーリス・ガトリングです!!」
「ちょ、それありか!?」
「安心してください、全てゴム弾ですので死ぬことはありません!!多分ですけど!!」
「いや、ゴム弾でも普通に死ぬわ!!」
「問答無用!!うりゃあああっ!!」


リーリスはガトリング砲を撃ち込んだ瞬間、仕方なくレナは掌を前に差し出して黒渦を作り出す。そして黒渦を利用して撃ち込まれた弾丸を異空間に取り込む。





※な、何だこのアンドロイド……サイコ〇スか!?
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。