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S級冒険者編
施設の訓練場
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「さてと……これで私の知っている情報は全てレナさんに伝えました。一応、記憶を失う前も殆ど同じ話をしてたんですけどね」
「あ、そうだったんだ……う~ん、言われてみればそんな話をしたような気がする」
「簡単に言えばここは勇者のために作り出された施設で、勇者の血筋であるレナさんだったから私も管理者として強力したという話です」
「なるほど、分かりやすいな。まあ、ホネミンの治療が始まっているのなら俺達が来た目的は果たす事が出来たのか……でも、いつ復活するのかも分からないとなると報酬を貰うのは随分と先の話になりそうだな」
塔の大迷宮に挑んだ理由はホネミンからの依頼を引き受け、皆が集まったのだが肝心の依頼主が治療カプセルに閉じ込もってしまたので報酬を受け取る事が出来ない。別にレナはそれでも構わないのだが、ここまで付き合ってくれた他の者たちはそういうわけにはいかない。
特にダインは報酬を目当てで今回の依頼を引き受けた節があり、何かと金遣いが荒い彼は常に金欠状態である。ここまで苦労して辿り着いたのに報酬が先延ばしにされたら駄々をごねそうなのでレナはどのように誤魔化すのかを考えていると、リーリスは何かを思い出したようにレナに振り返る。
「あ、そういえば伝言を頼まれていたんでした。実はホネミンさんが治療カプセルに入る前に皆さんの報酬の件も伝えておくように言われてたんでしたっけ」
「え?ホネミンが?」
「はい、何でも報酬の方は第三階層の自分の家の方にあるとかなんとか……レナさんをそこへ連れて行けば分かるそうです」
「第三階層?」
リーリスの言葉にレナは塔の大迷宮の第三階層の事を思い返し、この大迷宮内でも第五階層に次いで環境が厳しい場所であった。第三階層は全体が砂漠と化しているため、熱気に襲われながら砂の大地を歩き続けるだけでも体力を消耗してしまう。
しかも第三階層には厄介な魔物も数多く、更には頻繁に砂嵐が発生するので殆どの冒険者は第三階層に訪れる事はない。しかし、ホネミンはこの第三階層に存在する古城の中で暮らしていたお陰で他の冒険者に見つかる事もなく安全に過ごす事が出来た(仮に見つかっても白骨死体に偽装していたので正体がバレる事はなかった)。
「何でも第三階層の自分の家の地下に貴重な魔石を隠していたようです。なんでも自分の身体を維持するために保管していたとか言ってましたが、どういう意味なんですか?」
「なるほど、そういう事だったのか……それなら第三階層にわざわざ引き返さないといけないのか、面倒だな」
ホネミンは魔鎧術で自分の肉体を維持するため、大量の魔力を外部から吸収しなければならない。そのために彼女は定期的に魔石などから魔力を吸収しているのだが、どうやらレナ達に隠して第三階層の地下には彼女が集めた貴重な魔石とやらが存在するらしく、それらが報酬だとしたらわざわざ第三階層へ向かわなければならない。
「たく、あそこにまた逆戻りなんて面倒だな……あ、でも今回は空間魔法でここに出入口を作っておけば帰りは楽かな。いや、その前にあの古城が地上に出現しているといいんだけど……運が悪いとあの城、砂漠の砂で埋もれるからな」
「私を置いてけぼりにしないでくださいよぅっ」
「うわわ、身体を揺らすな……子供かお前は!?」
「いえ、こう見えても実年齢は300才を超えています」
「お婆ちゃんか!!」
「むかっ!!失礼な、心は今でも17才です!!」
レナの発言にリーリスは怒ったように両腕を振り上げ、ぽかぽかと叩き込む。その行為は正に人間らしく、とてもではないがロボットとは思えなかった。最もアンドロイドをロボットと表現するのが正しいのかは分からないが、少なくとも話している限りでは人間のようにしか感じられない。
その後はリーリスの案内でレナは施設内の全ての部屋を回り、育成施設という名の通りに勇者が宿泊できるように宿舎も用意されていた。20人分の個室が存在し、更にはシャワーや風呂なども完備されていた。久々の地球の技術で作り出された機器を見てレナは感動を覚える。
「うわ、凄い……本当に地球へ戻ったみたいだ。なんか、感動しちゃった」
「まあ、それはそうでしょうね。この世界は地球と比べると少しだけ不便ですからね」
「明かりをつける度に蝋燭に火を灯さないだけでも感動だよ。まあ、俺の場合は光球の魔法で照らせるから問題はないけど……」
「私としてはレナさんの方が羨ましいですね。アンドロイドの私は魔法が使えませんから」
「え?そうなの?」
「私の動力源は少々特別でして、この世界の方と違って肉体に魔力を宿す事はありません。その代わりに魔法に対する絶対的な耐性を持ってますよ。なんなら試してみますか?」
「試すって……何を?」
「あそこに訓練場があります。良かったら私と戦ってみますか?大丈夫です、怪我はさせませんから」
リーリスの思いもがけぬ相談にレナは驚くが、彼女は訓練場と記された表札の扉を指差し、中へと招く。
「あ、そうだったんだ……う~ん、言われてみればそんな話をしたような気がする」
「簡単に言えばここは勇者のために作り出された施設で、勇者の血筋であるレナさんだったから私も管理者として強力したという話です」
「なるほど、分かりやすいな。まあ、ホネミンの治療が始まっているのなら俺達が来た目的は果たす事が出来たのか……でも、いつ復活するのかも分からないとなると報酬を貰うのは随分と先の話になりそうだな」
塔の大迷宮に挑んだ理由はホネミンからの依頼を引き受け、皆が集まったのだが肝心の依頼主が治療カプセルに閉じ込もってしまたので報酬を受け取る事が出来ない。別にレナはそれでも構わないのだが、ここまで付き合ってくれた他の者たちはそういうわけにはいかない。
特にダインは報酬を目当てで今回の依頼を引き受けた節があり、何かと金遣いが荒い彼は常に金欠状態である。ここまで苦労して辿り着いたのに報酬が先延ばしにされたら駄々をごねそうなのでレナはどのように誤魔化すのかを考えていると、リーリスは何かを思い出したようにレナに振り返る。
「あ、そういえば伝言を頼まれていたんでした。実はホネミンさんが治療カプセルに入る前に皆さんの報酬の件も伝えておくように言われてたんでしたっけ」
「え?ホネミンが?」
「はい、何でも報酬の方は第三階層の自分の家の方にあるとかなんとか……レナさんをそこへ連れて行けば分かるそうです」
「第三階層?」
リーリスの言葉にレナは塔の大迷宮の第三階層の事を思い返し、この大迷宮内でも第五階層に次いで環境が厳しい場所であった。第三階層は全体が砂漠と化しているため、熱気に襲われながら砂の大地を歩き続けるだけでも体力を消耗してしまう。
しかも第三階層には厄介な魔物も数多く、更には頻繁に砂嵐が発生するので殆どの冒険者は第三階層に訪れる事はない。しかし、ホネミンはこの第三階層に存在する古城の中で暮らしていたお陰で他の冒険者に見つかる事もなく安全に過ごす事が出来た(仮に見つかっても白骨死体に偽装していたので正体がバレる事はなかった)。
「何でも第三階層の自分の家の地下に貴重な魔石を隠していたようです。なんでも自分の身体を維持するために保管していたとか言ってましたが、どういう意味なんですか?」
「なるほど、そういう事だったのか……それなら第三階層にわざわざ引き返さないといけないのか、面倒だな」
ホネミンは魔鎧術で自分の肉体を維持するため、大量の魔力を外部から吸収しなければならない。そのために彼女は定期的に魔石などから魔力を吸収しているのだが、どうやらレナ達に隠して第三階層の地下には彼女が集めた貴重な魔石とやらが存在するらしく、それらが報酬だとしたらわざわざ第三階層へ向かわなければならない。
「たく、あそこにまた逆戻りなんて面倒だな……あ、でも今回は空間魔法でここに出入口を作っておけば帰りは楽かな。いや、その前にあの古城が地上に出現しているといいんだけど……運が悪いとあの城、砂漠の砂で埋もれるからな」
「私を置いてけぼりにしないでくださいよぅっ」
「うわわ、身体を揺らすな……子供かお前は!?」
「いえ、こう見えても実年齢は300才を超えています」
「お婆ちゃんか!!」
「むかっ!!失礼な、心は今でも17才です!!」
レナの発言にリーリスは怒ったように両腕を振り上げ、ぽかぽかと叩き込む。その行為は正に人間らしく、とてもではないがロボットとは思えなかった。最もアンドロイドをロボットと表現するのが正しいのかは分からないが、少なくとも話している限りでは人間のようにしか感じられない。
その後はリーリスの案内でレナは施設内の全ての部屋を回り、育成施設という名の通りに勇者が宿泊できるように宿舎も用意されていた。20人分の個室が存在し、更にはシャワーや風呂なども完備されていた。久々の地球の技術で作り出された機器を見てレナは感動を覚える。
「うわ、凄い……本当に地球へ戻ったみたいだ。なんか、感動しちゃった」
「まあ、それはそうでしょうね。この世界は地球と比べると少しだけ不便ですからね」
「明かりをつける度に蝋燭に火を灯さないだけでも感動だよ。まあ、俺の場合は光球の魔法で照らせるから問題はないけど……」
「私としてはレナさんの方が羨ましいですね。アンドロイドの私は魔法が使えませんから」
「え?そうなの?」
「私の動力源は少々特別でして、この世界の方と違って肉体に魔力を宿す事はありません。その代わりに魔法に対する絶対的な耐性を持ってますよ。なんなら試してみますか?」
「試すって……何を?」
「あそこに訓練場があります。良かったら私と戦ってみますか?大丈夫です、怪我はさせませんから」
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