不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
1,020 / 2,091
真・闘技祭 予選編

聖痕の実力者

しおりを挟む
「さあ、世間話はここまでだ……どっちでもいいから掛かってきなよ。それとも二人相手にしてやろうか?」
「このガキ……あんまり大人を舐めるんじゃないぞ」
「……ダイゴの仇は私が取る。剣聖のシュン、お前は下がっていろ」


少女の言葉にシュンは軽く苛立ち、仮にも剣聖である自分と巨人族のS級冒険者であるムサシに対して自分一人で相手にしようとする少女の傲慢さにシュンが相手を使用としたが、それをムサシが引き留める。彼女は少女の一撃で倒れたダイゴに視線を向け、共に巨人族の代表として出場した仲間の仇を討つために彼女は棍棒を手にした。

先ほどの少女の攻撃から彼女が電撃を操る力を持つ事はムサシも理解していた。しかし、単純に雷属性の魔力の放電が行えるというだけではムサシの脅威とはなり得ない。彼女が手にする棍棒は只の棍棒ではなく、外見は塗装して誤魔化しているが、複数の魔法金属を組み合わせた貴重な代物である。


(私の黒金箍棒なら電撃を通さない……ダイゴが破れたのは奴がただの金属製の武器を使ったからだ)


ダイゴが装備していた武器は魔法金属ではなく、ただの鋼鉄の塊だった。ダイゴ程の巨体の武器を用意する事自体が難しく、彼自身が棍棒程度の武器しか扱える技量しなかったために仕方がない話だが、ムサシが所有する「黒金箍棒」は元々は過去に召喚された勇者が作り出した武器の一種である。

勇者が作り出した武器の中でも有名なのは「七大聖剣」と「神器」ではあるが、この二つ以外にも勇者が作り出した武器はいくつか存在する。その内の一つがムサシが所有する「黒金箍棒」で元々は孫悟空が扱う「如意棒」を意識して作り出された武具であった。

流石に西遊記の孫悟空が扱う如意棒のように自由自在に大きさや長さを変換する能力は再現できなかったが、重量に関しては内部に埋め込まれている地属性の魔石を利用して変化する事が出来る。この能力を使用して武蔵は棍棒の重量を攻撃に使用する際に増加したり、あるいは軽減させる事が出来る。


「巨人国の代表、ムサシ……参る」
「へえ……中々格好いい武器だな。気に入った、私が勝ったらそれを貰ってもいいか?」
「……いいだろう」
「お、おい……そんな約束していいのか?」


名乗り上げたにもかかわらずに少女の興味はムサシよりも彼女の持つ「黒金箍棒」に移り、そんな彼女の言葉にムサシは気を落とした風もなくあっさりと承諾した。そんなムサシに慌ててシュンが口を挟むが、ムサシは気にせずに棍棒を構える。


「……行くぞ」
「ああ、いつでもいいよ」


構えたムサシに対して少女の方は特に構えを取る事もなく、腕を組んだ状態のまま動かない。そんな彼女を見てシュンは余裕のつもりかと思ったが、ムサシは構わずに動いた。


(先ほどのダイゴへの攻撃、拳から電撃を撃ち込んでいた……ならば、狙うのは奴が拳を繰り出した瞬間!!)


少女はダイゴを打ち倒した時、そして先ほど電流を見せた時は「拳」を使用していた事からムサシは彼女が電流を生み出せるのは掌の部分だけではないかと判断した。無論、拳以外の箇所から電流を生み出せる可能性もあるが、最初にダイゴに攻撃を仕掛けた時に拳を使用していた事からムサシは少女が「格闘家」だと判断する。

接近しながらもムサシは少女の様子を伺い、どのように行動を取るのかを警戒し、距離を縮めていく。5メートルにまで接近した時、少女がやっと右手に拳を作り出してムサシに向けようと腕を伸ばす。


(ここっ!!)


相手の行動を観察していたムサシは「縮地」を発動させ、少女の背後へと一瞬で移動を行う。仮に一般人が二人の戦闘を見ていた場合、まるでムサシが瞬間移動をしたかの如く、一瞬で少女の背後に回ったように見えただろう。



――だが、その光景を見ていた剣聖のシュンは信じられない表情を浮かべる。彼の眼には少女の背後に移動したはずのムサシの背中に、何故か少女が拳を握りしめた状態で移動していた。ムサシは自分が背後を取ったつもりだったが、いつの間にか自分の方が回り込まれていた事に気づき、目を見開く。


「へえっ……中々早いじゃん、ちょっと焦ったよ」
「っ……!?」
「馬鹿なっ!?」


ムサシが縮地を発動して移動した瞬間、少女の方も縮地を発動させて彼女の背後に回り込んだのかとシュンは驚き、ムサシも驚愕を隠せない。だが、背後に回り込まれたムサシは反射的に棍棒を身体を回転させるように振り抜く。


「回転!!」
「おっと」


棍棒を振り抜いたムサシに対して少女は笑みを浮かべると、腰を屈めて攻撃を難なく回避する。ムサシも咄嗟の行動だったので単調な攻撃を繰り出してしまい、その一方で腰を屈めた少女は拳を握りしめると、凄まじい勢いでムサシの胴体に叩き込む。


「正拳!!」
「ぐはぁっ!?」
「馬鹿なっ……!?」


凄まじい速度で電流を帯びた拳がムサシの身体に叩き込まれ、彼女の身体が大きく吹き飛ぶ。その光景を目撃したシュンは信じられない表情を浮かべ、一方で少女の方は今度は彼に視線を向けた。
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。