不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
1,102 / 2,091
真・闘技祭 本選編

七人目の聖痕所有者

しおりを挟む
「貴方達、こんな所で何をしているの?」
「……シズネ?」
「やっぱり、そう思った」


レナ達は振り返ると、そこに立っていたのはシズネだった。彼女は胸元を抑え、少し苦し気な表情を浮かべており、それを見たコトミンは納得したように頷く。彼女の言葉がどういう意味なのかとレナが尋ねる前にコトミンはシズネの元へ向かう。


「シズネ、手を出して」
「……手?」
「いいから、早く」


コトミンの言葉にシズネは戸惑いながらも手を伸ばすと、コトミンがその手を掴む。すると、コトミンの身体が光り輝き、やがて光はシズネの元へと伝わり、彼女は身体の中に何かが入り込む感覚に驚く。


「うっ、くぅっ……!?」
「大丈夫、受け入れて……」
「あああっ!?」


シズネは目を見開くと、次の瞬間に彼女の胸元の部分に紋様が浮き上がると強い光を生み出す。やがて光が収まると、シズネは自分の身体に視線を向け、今までにないほどに力が満ち溢れている事に気付いた。その一方でコトミンの方は顔色が悪くなり、倒れ込みそうになった。

慌ててレナがコトミンを後ろから支えると、コトミンの身体が急激に熱くなっている事に気付き、このままではまずいと思ったレナは彼女の身体を抱きかかえる。一方でシズネは自分自身に何が起きたのか理解できず、戸惑いの表情を浮かべる。


「コトミン、貴女……私に何をしたの?」
「……私の中の聖痕の欠片を託した。そして聖痕はシズネの事を認めた……貴女が本当の水の聖痕の継承者」
「私が、聖痕の……!?」
「なるほど、そういう事か。お前も聖痕を管理する血族だったのか」
「血族?」
「い、いったい何の話だよ!?」


ホムラはコトミンの様子を見て納得した表情を浮かべるが、他の者達は意味が分からずに戸惑う。そんな彼等に対してホムラは自分の聖痕を示しながら語り出す。


「ヨツバ王国のハヅキ家、そして私の一族は代々風の聖痕と炎の聖痕を守り続けてきた。お前もその話ぐらいは聞いた事があるだろう?」
「それは……」
「この国でも呪術師の家系の人間が闇の聖痕を管理していたはずだ。レミア、お前の一族も聖痕を管理していたのだろう?」
「えっ……私の一族も!?」
「そんな話、聞いた事がない……いや、でも、もしかしたら……」
「おいおい、何の話だよ?」


ダインとレミアはホムラの話を聞いて自分達の一族が聖痕を管理していたなど初耳だが、ダインの方は何か心当たりがあった。まだ子供の頃、彼が家を追放される前にそのような話を聞いた事があるような気がした。そしてレミアは自分の額に手を伸ばし、何時頃からこの聖痕が自分の身に宿ったのかを考える。


「……私のこの力は母上が死んだときに芽生えたと思います。ですが、聖痕の事なんて母は何も……」
「そういえば僕の聖痕も、あのくそ爺を倒した時に手に入れた……まさか、僕があの爺の血を継いでいるから?」
「そういう事だ。代々の聖痕の継承者は先代の血を継いだ物が引き継ぐことが多い。だからヨツバ王国ではハヅキ家と守人家が代々聖痕を管理していた」
「なら、私のこの力も……?」


ホムラはハルナに視線を向けると、彼女は不思議そうに自分の聖痕を見つめる。ハルナの場合は捨て子なので親は分からず、もしかしたら両親のどちらかが聖痕を所有していた可能性もある。最も聖痕の所有者は本来ならば先代の聖痕の所有者に継承されない限り、他の人間の手に渡る事はない。

アイリスによれば聖痕の所有者が突発的に死亡した場合、世界の何処かで新たな聖痕の所有者が誕生する。ハルナの場合はそれに当てはまる可能性もあった。だが、コトミンとシズネの場合は少々事情が異なるらしい。


「レナ、今まで私は嘘を吐いていた。実は私が一人で旅をしていたのは聖痕の継承者を探すため……本当はもう、私の家族はいない」
「えっ……そんな、どうして?」
「私のお母さんは……私に聖痕を託そうとして死んでしまった。でも、私は聖痕の力を使いこなせなかった……私は聖痕に選ばれなかった」
「なるほど……そういう事か」
「聖痕に選ばれなかったって……ど、どうしてだよ?」


聖痕を所有する者は他の者に聖痕を譲渡する力を持つが、コトミンは悲し気な表情を浮かべて亡き母親の事を語る。彼女の母親は水の聖痕の所有者ではあったが、残念ながら大病を患い、死ぬ前にコトミンに水の聖痕を託そうとした。しかし、水の聖痕はコトミンに完全に託す前に死亡したという。


「私のお母さんが託してくれた水の聖痕はただの欠片……完全に聖痕を継承する前にお母さんは死んでしまった。だから、私は聖痕の欠片しか手に入らなかった。死んでしまったお母さんが分け与える事が出来なかった聖痕は他の誰かに継承されてしまった……そして、それがシズネ」
「そ、そんな……でも、どうして私なの!?」
「きっと、シズネは私のお母さんの妹の娘……だから、シズネも私と同じ血族……お母さんが死んだとき、私が受け取れなかった聖痕はシズネへ継承された」
「私が……血族?そんな……そんな話、聞いていない」


明かされた真実にシズネは動揺し、一方でコトミンの方も涙を流す。彼女はずっと旅を続けてきた理由、それは水の聖痕の所有者を探し出し、自分の持っている聖痕の欠片を渡すために生きてきたという。



※コミカライズ版の更新再開日を記念し、連載中の「不遇職とバカにされましたが、それほど悪くない」と「力と魔法も半人前、なら二つ合わせれば一人前ですよね?」を12時まで連続投稿中!!

(・ω・)パ-ン    ← スラミン
 ⊂彡凸    ←公開ボタン
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。