1,103 / 2,090
真・闘技祭 本選編
聖痕の血族
しおりを挟む
「コトミン、どうして今まで黙ってたんだ?聖痕の所有者を探していたなんて知らなかった」
「……正直に言えば見つかるとは思わなかった。この広い世界で誰が聖痕を受け継いだのかも分からない、私一人でどうにか出来るとは思っていなかった。でも、シズネと出会った時に何となく最初の頃から気になってはいた。人魚族の血を継いでいるし、魔剣を操れる強い精神力を持っている……それにシズネのお母さんの話を聞いたときにすぐに分かった。シズネは私の従妹だって……」
「そんな……何故、黙っていたの!?」
「……シズネのお母さんが一族の掟を破って里を抜け出した。私もシズネのお母さんに関する事は何も話してはいけないと言われていた」
「血族の掟か……聖痕の秘密を外部の者に知られるわけにはいかなかったんだな?」
コトミンの言葉にシズネは動揺を隠せず、彼女は自分の母親がまさかコトミンの母親の妹とは思いもしなかった。二人は従妹の関係だが、コトミンによるとシズネの母親は一族の掟を破って外の世界へ赴いたという。
「シズネのお母さんの話を聞いたとき、私はシズネが聖痕の所有者じゃないかと思った。そして今日の試合で確信した、私の中の聖痕の欠片を渡せばシズネは水の聖痕を発現させると……」
「……話は分かったわ。でも、どうして私にこの力を託したの?この聖痕の欠片を渡せば貴女も無事ではいられないはずでしょう?」
「それが私の……一族の役目、聖痕は相応しい者しか手にしてはいけない」
聖痕の欠片をシズネに渡したコトミンは肉体の負担も大きく、支えられなければ経ってもいられないほどに疲労困憊の状態だった。それでも彼女は長年の目的を果たすため、危険を承知でシズネに水の聖痕を託す。
「もう私達以外の一族は死んだ……お母さんも血族の掟に拘る必要はないと言っていた。だから、その水の聖痕はシズネの自由にすればいい」
「そんな事を急に言われても……だいたい、どうして貴女の一族はこんな物を守っていたの?」
「私達の一族は遥か昔、初代勇者によって救われた人魚族の末裔……勇者の頼みを引き受けて水の聖痕を代々守り通してきた。けど、もう一族は私達以外は残っていない。ここから先は私も貴女も自由に生きる」
「本当に勝手ね……こんな物を私に託して自分は楽になろうというの?」
「不満があるならシズネも聖痕を他の誰かに託せばいい……でも、きっと貴女にとってもその聖痕の力は必要な物のはず」
「ええ、その通りね……」
シズネはコトミンの言葉に頷き、確かに彼女にとって水の聖痕は最も欲しい力だった。彼女は雪月花を引き抜き、刀身に視線を向けると、今まで以上の力を引き出せると確信した。聖痕の力によって現在の彼女は魔力が増幅しており、今まで以上に魔力を引き出せると確信に至る。
7人目の聖痕所有者が誕生し、これで全ての聖痕の所有者がこの地に集まった。レナ達は互いの顔を見合わせ、何を言えば良いのか分からず、結局は解散してしまう。別に聖痕の所有者が集まったからと言って何かするべき事があるわけでもなく、次の戦いに備えてレナ達は準備を進めた――
――同時刻、王都の郊外にて一人の少年が空を見上げていた。その少年はかつてバルトロス王国の王子として育てられていたが、王妃の失脚の後に姿を消し、今日まで目立たずに生きてきた。少年は冒険都市の方角に視線を向け、首を傾げる。
「……何だろう、不思議な感じがするな」
少年は自分の掌に視線を向け、何となくではあるが母親の事を思い出した。少年は背中に槍を抱え、その場を立ち去る――
カタナヅキ「や、やっと終わった……(;´・ω・)」
アイリス「結局、私は出てきてないじゃないですか(´Д`)」
(´・ω・`)パ-ン ←アイリス
⊂彡☆))Д`)) ←カタナヅキ
「……正直に言えば見つかるとは思わなかった。この広い世界で誰が聖痕を受け継いだのかも分からない、私一人でどうにか出来るとは思っていなかった。でも、シズネと出会った時に何となく最初の頃から気になってはいた。人魚族の血を継いでいるし、魔剣を操れる強い精神力を持っている……それにシズネのお母さんの話を聞いたときにすぐに分かった。シズネは私の従妹だって……」
「そんな……何故、黙っていたの!?」
「……シズネのお母さんが一族の掟を破って里を抜け出した。私もシズネのお母さんに関する事は何も話してはいけないと言われていた」
「血族の掟か……聖痕の秘密を外部の者に知られるわけにはいかなかったんだな?」
コトミンの言葉にシズネは動揺を隠せず、彼女は自分の母親がまさかコトミンの母親の妹とは思いもしなかった。二人は従妹の関係だが、コトミンによるとシズネの母親は一族の掟を破って外の世界へ赴いたという。
「シズネのお母さんの話を聞いたとき、私はシズネが聖痕の所有者じゃないかと思った。そして今日の試合で確信した、私の中の聖痕の欠片を渡せばシズネは水の聖痕を発現させると……」
「……話は分かったわ。でも、どうして私にこの力を託したの?この聖痕の欠片を渡せば貴女も無事ではいられないはずでしょう?」
「それが私の……一族の役目、聖痕は相応しい者しか手にしてはいけない」
聖痕の欠片をシズネに渡したコトミンは肉体の負担も大きく、支えられなければ経ってもいられないほどに疲労困憊の状態だった。それでも彼女は長年の目的を果たすため、危険を承知でシズネに水の聖痕を託す。
「もう私達以外の一族は死んだ……お母さんも血族の掟に拘る必要はないと言っていた。だから、その水の聖痕はシズネの自由にすればいい」
「そんな事を急に言われても……だいたい、どうして貴女の一族はこんな物を守っていたの?」
「私達の一族は遥か昔、初代勇者によって救われた人魚族の末裔……勇者の頼みを引き受けて水の聖痕を代々守り通してきた。けど、もう一族は私達以外は残っていない。ここから先は私も貴女も自由に生きる」
「本当に勝手ね……こんな物を私に託して自分は楽になろうというの?」
「不満があるならシズネも聖痕を他の誰かに託せばいい……でも、きっと貴女にとってもその聖痕の力は必要な物のはず」
「ええ、その通りね……」
シズネはコトミンの言葉に頷き、確かに彼女にとって水の聖痕は最も欲しい力だった。彼女は雪月花を引き抜き、刀身に視線を向けると、今まで以上の力を引き出せると確信した。聖痕の力によって現在の彼女は魔力が増幅しており、今まで以上に魔力を引き出せると確信に至る。
7人目の聖痕所有者が誕生し、これで全ての聖痕の所有者がこの地に集まった。レナ達は互いの顔を見合わせ、何を言えば良いのか分からず、結局は解散してしまう。別に聖痕の所有者が集まったからと言って何かするべき事があるわけでもなく、次の戦いに備えてレナ達は準備を進めた――
――同時刻、王都の郊外にて一人の少年が空を見上げていた。その少年はかつてバルトロス王国の王子として育てられていたが、王妃の失脚の後に姿を消し、今日まで目立たずに生きてきた。少年は冒険都市の方角に視線を向け、首を傾げる。
「……何だろう、不思議な感じがするな」
少年は自分の掌に視線を向け、何となくではあるが母親の事を思い出した。少年は背中に槍を抱え、その場を立ち去る――
カタナヅキ「や、やっと終わった……(;´・ω・)」
アイリス「結局、私は出てきてないじゃないですか(´Д`)」
(´・ω・`)パ-ン ←アイリス
⊂彡☆))Д`)) ←カタナヅキ
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。