不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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ダイン 監獄都市編

試合、まだ?(´・ω・)

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――時は少し前に遡り、監獄都市から呼び出されたリックは看守長の部屋にてミノルの元へ訪れる。リックの年齢は30代半ばを迎え、髪の毛は剃っており、右目には拷問でも受けたかのような酷い火傷の跡が残っていた。彼は闘技者として1年程活動し、試合は常に勝ち続けていた。

普通ならば闘技者として1年も活動し、しかも一度も敗北をした事がない有能な人材ならば外部の人間の中から買い取り手がいてもおかしくはない。だが、リックの場合は相手を殺す方法があまりにも惨すぎるため、誰も彼の事を買おうとはしない。実力はあるのに性格面に問題がある事からグシャスと違って人望はなく、暗殺者としての実力はグシャスを上回るのに彼が頭に慣れない理由でもあった。


「……リック、監獄所長からのお達しだ。貴様を闘技者として復帰させてやろう」
「ほう……それはどういう風の吹き回しですかね?」
「惚けるな、この程度の情報は事前に聞かされていたはずだ」


呼び出されたリックはミノルの言葉を聞いてわざとらしく尋ねるが、彼は三巨頭の中でも最も恐れられているグシャスの元で働いており、今回呼び出した理由は既に彼から聞かされているはずだった。それでもリックはわざとらしく理由を尋ねる。


「いえいえ、本当に驚いてるんですよ。まさか、あの監獄所長殿が俺なんかに目を掛けるとは思いもしませんでしたからね」
「勘違いするな、復帰させると言っても条件付きだ。次の試合、お前の対戦相手を事が出来たら正式に闘技者として復活させる。それが俺が受けた監獄所長の命令だ」
「次の試合の相手を殺せ……この俺を引っ張り出すあたり、監獄所長殿は余程次の対戦相手に恨みがあるようですね」


ミノルの言葉を聞いてリックは余裕の笑みを浮かべ、自分が負ける事など微塵も考えていなかった。そもそもこの監獄都市の中で自分に勝る存在などいるはずがない、そのようにリックは思い込んでいた。



――彼の考えは決して自惚れだけではなく、実際にリックの実力は監獄都市内でも指折りの実力者である事は間違いない。囚人の間ではよく議論されるが、この監獄都市で最も強い者は誰かという議論では必ずリックの名前が上がる。



三巨頭の中でも腕っぷしが強く、巨人族でもあるガルルこそが最強ではないかと言われるが、その一方で暗殺者の中でも腕が優れたリックの方こそが相応しいのではないかと思う人間は少なくはない。

暗殺者集団で構成されたグシャスの派閥の中でもリックは他の者と比べて秀でており、殺人術に関してはグシャスさえも彼には及ばない。グシャスも老いたとはいえ、若い頃は優秀な暗殺者だった。だが、その若かりし頃のグシャスさえもリックには及ばない事を本人も認めている。


「監獄所長はどのような殺し方をお望みですか?希望があればお応えしますよ」
「随分と余裕だな……言っておくが、お前の対戦相手も決して侮れない相手だぞ。サイク看守長のお墨付きをもらう程の男だ」
「ほほう、それは楽しみだ……今からどんな殺し方をすればいいのかわくわくしてきますよ」
「…………」


リックはミノルの話を聞いても動じはせず、それどころか監獄所長から直々に殺しが許可された事に興奮し、鼻息を荒くさせる。久々に他の人間を殺す事に彼は歓喜し、あろう事かミノルの前で興奮が抑えきれないとばかりに股間を抑えつけた。その様子を見て流石のミノルも無表情は保てず、嫌悪感を露にする。

闘技者の中でもリックは最も対戦相手を殺しており、時には棄権を申し込んだ者でも容赦なく殺す。彼が殺した人数は数十名、監獄に送り込まれる前を含めると100人の命を絶っている。彼は重度の殺人狂であり、人を殺す事が一番の快楽であると思い込んでいた。



――彼がこんな風に狂ってしまったのは生まれた育った環境が関係し、実を言えば彼の両親も暗殺者であった。幼少期からリックは両親の指導の元で人を殺す術を学び、やがて成人した時には人を殺す事に何の躊躇もない性格が出来上がっていた。



普通の人間とは異なる育て方をされたためにリックは人を殺す事に躊躇はなく、それどころか人を殺す事を一番の愉しみにしている節があった。だからこそ合法で相手を殺す事が出来る闘技者になる事を決意し、同業者のグシャスの元に従って彼の敵を排除してきた。

人殺しのためならばリックは手段は選ばず、実力があるのにわざわざ対戦相手を無惨な殺し方で外部の人間の興味を惹かれないようにしているのも闘技者ならば定期的に他の囚人を殺せるためである。そんなリックの性格を見抜いてミノルは彼から闘技者の資格を剥奪したのだが、よりにもよって監獄所長がダインの対戦相手として彼を指名してしまう。

本来であればリックのような殺人狂を野放しにするのも問題なのだが、彼がグシャスの右腕である事、そして暗殺者の腕は確かである事から始末するにしても被害が生まれる事を考慮し、今までは見逃していた。しかし、今回はそのリックを敢えて利用し、監獄所長はダインを殺そうとしている事にミノルは疑問を抱く。

監獄所長がどうしてダインを殺すためにリックまで引きずり出したのかはミノルも分からないが、それが監獄所長の意思ならば彼は逆らえない。だが、ミノルはサイクから直々に話を受けており、ダインという男も只者ではないと聞いていた。リックとダイン、どちらが勝つのかは彼も個人的には興味があった――




※ダイン「僕、何でそんなに恨まれてんの?(;´・ω・)」
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