不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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ダイン 監獄都市編

なんかまたやばそうな奴が出てきたんだけど……(;´・ω・)

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――試合の開始時刻を間もなく迎えようとしている頃、闘技場の観客席には貴族や商人風の格好をした人間が集まっていた。彼等は外の世界から訪れた貴族や奴隷商人であり、今回は囚人の姿はない。

監獄都市に送り込まれる囚人は「死合場」と呼ばれる闘技台で戦わされ、勝ち残った囚人のみが監獄都市に暮らす事を許される。しかし、闘技者となった囚人同士の試合の場合は観客席に立ち寄る事が許されるのは外部の人間だけであり、囚人が観客席に入る事は許されない。外部の人間の安全性のため、闘技者同士の試合では囚人の立ち入りは禁止されていた。

但し、闘技者が奴隷囚人の場合は主人である囚人は兵士の監視下で観客席にて観戦する事が許されていた。そのため、ミイネはゴブとと共に観客席の隅の方に座り込み、闘技区の兵士に囲まれる形で座り込む。


「……僕一人を見張るためにこんなに大勢で囲む必要があるんですか?それにゴブさんを鎖で拘束するなんて」
「す、すいません……これも規則なので」
「ギギィッ……」


ミイネが文句を告げると闘技区の兵士は申し訳なさそうな表情を浮かべ、ミイネの隣に座るゴブに視線を向けた。現在の彼は首輪に手錠を施されており、自由に動けない状態だった。理由としては魔物であるゴブが間違っても他の観客に被害を加えないための処置であるが、それがミイネには気に入らなかった。


「全く、外の世界の人間に気を使いすぎなんですよ」
「ちょ、ちょっと……声をもう少し抑えてください。観客の中には我々を支援してくれる方も多いんですから」


兵士達はミイネの言葉が他の観客に聞かれていないのか慌てふためき、その態度もミイネは気に入らない。どうして外の人間なんかにここまで気を遣わないといけないのかと思うが、実際にこの場所に集まっている貴族や商人の中には監獄都市の支援者が大半を占めている。

監獄都市は国が管理する施設だが、環境は最悪で外部からの支援がなければ管理も難しい。そのため、闘技区が設立された理由は娯楽隙の貴族を呼び寄せたり、有能な力を持つ囚人を商人に売り込むために作られた面もある。そのため、ミイネとしても彼等の不興を買うわけにも行かず、黙り込む。


「お待たせしました皆様、本日の第一試合を行いたいと思います!!本日の組み合わせはこの二人!!38人の一般人を殺し、更に12名の冒険者を殺した恐るべき切り裂き魔!!リック・ザ・ジャッパー!!」
『おおおおっ!!』


死合場に司会を務める兵士が現れると、試合に登場する選手の紹介を行う。兵士の言葉を着た観客席の獣人たちは湧き上がり、やがて扉が開かれると全身に鎖を巻きつけられた男が現れた。その姿を見たミイネは目を見開き、彼女にしては珍しく動揺したように立ち上がる。


「なっ!?リック!?あいつは闘技者の資格を剥奪されたんじゃ……」
「ギギィッ……」


リックと呼ばれる囚人は闘技者の中でも有名な存在であり、三巨頭のグシャスの右腕と言っても過言ではない。しかし、彼は普段は滅多に表に姿を出さず、しかもミイネの記憶が駄々しければリックは前の試合の時に闘技者の資格を剥奪されていた。



――前回の試合の際、リックは相手の選手が殺すだけでは飽き足らず、あまりにも無惨な殺し方を披露した。その試合を見ていた外部から訪れた観戦者は気分を害し、中には都市への支援を打ち切ろうとした者もいた。



そのせいでリックは闘技者の資格を剥奪され、もう二度と試合には出場されないと思っていたが、そのリックがダインの対戦相手に選ばれた事にミイネは動揺を隠せない。いったいどういう事なのかと兵士に問い質す。


「どうしてあの男を闘技者として復帰させたんですか!?」
「い、いや!!我々も今日知らされたばかりで何も知らないんです!!」
「くっ……なら、試合は棄権させます!!今すぐにダインさんを棄権にしてください!!」
「ギギィッ!?」


ミイネはダインとリックを戦わせないために試合の棄権を申し込み、奴隷囚人が闘技者として参加する場合、主人が試合を棄権させる事も出来る。ここでダインを失うわけにはいかず、ミイネはリックとの試合を中止させようとするが、そんな彼女を止めたのは兵士ではなかった。


「我儘はそこまでにしておけ、ミイネよ」
「なっ……!?」
「ミ、ミノル看守長!?」


背後から声を掛けられたミイネは振り返ると、そこには闘技区を管理する看守長のミノルが立っていた。流石のミイネもミノルの圧倒的な威圧感に気圧されるが、彼がどうして自分の邪魔をするのか問い質す。


「試合は中止して下さい!!ダインさんは僕の奴隷囚人です、だから僕が棄権させてもいいはずです!!」
「それは許さん、この試合に限り、お前の選手の棄権は認められない」
「どうしてですか!?貴方とダインさんには何の因縁もないはずです!!何故、邪魔を……」
「これは上からの命令だ。俺の言っている意味が分かるな?」
「まさか……あの人が!?」


ミノルの言葉を聞いてミイネは愕然とした。看守長よりも上の立場に立つ人間など監獄都市では一人しかおらず、この試合は監獄所長の命令によってダインの棄権は認められなかった――
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